辻仁成さんインタビュー、新刊「人生の十か条」を語る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 作家でミュージシャン、映画監督などとしても活躍し、ヨミドクタープラスで「太く長く生きる」を隔週で連載している辻仁成さんが10月に刊行した「人生の十か条」(中公新書ラクレ)の売れ行きが好調で、版を重ねている。シングルファーザーとして子育てをしながら日本とフランスを行き来して忙しく日々を送る辻さんに、このほどインタビューした。

――今回の本の内容は、「太く長く生きる」を主に基にしています。

 「ヨミドクタープラス」のあの欄は、間もなく60歳になる僕にとって、60歳以降をどうやって生きていくか、健康面とか子育てとか人生そのものとか……そういうものを書く欄だと思っています。ですので、本もそういった内容になったと思っています。60年も生きると思わなかったので、自分がもし死んだら息子がどうなるのか、とか考えて書いてしまいますね。

――小説の執筆に週刊誌の連載、映画撮影、音楽活動と超多忙な辻さんが、2週間に1度のペースでエッセーを書いてくださることに驚いているのですが。

 「今なら書ける、筆が進む」と思った時には、飛行場の待合室など場所を選ばず、スマホで書くこともあります。特に、締め切り間際にはスマホで書くことが多いですね。元々は手書き原稿から作家活動を始め、ワープロ、パソコンと変わっていきましたが、スマホまで使うようになるとは思ってもみませんでした。

――本のタイトルにもなっている「人生の十か条」は、辻さんのツイッターが元になっています。

 ツイッターは気晴らしにやっていたんです。シングルファーザーだし、友達も多くはいないので、アパートで一人、発信していたんです。ある時、ツイッターに良い出来の写真をあげたところ、一眠りして朝になったら、ものすごい数の「いいね」があって、こんなに応援してくれる人がいる、ありがたいな、と思いました。それで、ツイッターに本格的に取り組むようになり、今ではフォロワーは20万人いるんです。

――十か条をツイートするようになった理由はなんですか。

 140字というツイッターの文字数に、十か条ってぴったり入る容量なんですよ。長い字数を調節して140字に収める作業をするのはなかなか楽しいものです。たまに、十か条に達しない時がある(笑)。そんな時は苦しみながら考えています。

 この十か条(発信)の目的は、元々僕はボランティアができない人間なので、その代わりにツイッターで人を励ますことができるんじゃないか、って考えたところから始まっているんです。だから、「息子へ」と書いていても、その先にはツイッターを読んでくれている皆さんに向けて書いているんです。「がんばれよ、日本」って意味でね。長く生きた者として、後進に何か教えてあげたい、という思いも込めているんです。「愛」とでも言うのかな。作家ですから、言葉を使って伝える。

 あとは、フランスに僕は17年暮らしているんですよ。そこまで長く暮らしている作家は、ほかにさほどいないと思うんです。これからも住み続け、文化の違いを研究し、それを発信したいという気持ちもありますね。

――コンスタントに十か条を考えるのは大変じゃないですか。

 老いるというのは、学ぶことをやめ、考えることをやめることだと思っているんです。だから、確かにツイッターを続けるのは大変ですけれども、表現活動という土俵に上がり続けるか、下りるか、と考えたら、僕は上がり続けたい。それは、作家活動にとどまらず、音楽、映画にも言えることです。来年の夏にはまた映画を撮ります。自分の上がるべきステージを作り上げ、そこに上がる。それが大事だと思います。ツイッター、続けますよ。

 

「人生の十か条」
辻さんが考えた様々な十か条にまつわるエッセーを集めた新書。幸運、悩み、人間関係、健康、老い、生と死、人生など、様々なテーマに即して十か条と文章をつづっている。820円(税抜き)。全国の書店で好評発売中。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

辻仁成「太く長く生きる」