辻仁成「太く長く生きる」(62)「健康を維持するために心がけていること」

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「中村江里子さん宅へ、出張料理人やりました。皆さま、美味しい、と喜んで頂きました。」

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 毎朝、5時過ぎに起きて、息子の朝ごはんの準備などをしています。7時に息子が起きてくるので朝ごはんを食べさせ、7時半に彼は学校に出かけていきます。「いってらっしゃい」と彼を送り出してから、私は部屋の掃除や洗濯をはじめます。来年60歳なので不安も大きいです。自分のことはさておき、息子が一人立ちするまでにあと10年という時間が横たわっています。これが日本での育児ならばまだ親戚とか知り合いもいるし、言葉の問題もないのでなんとか乗り越えていけるでしょう。しかし、ここはフランスです。日本に帰ることを何度も考えましたが、この段階での言語の変更には予想を超える負担を子供に与えてしまうことがわかり、まずはフランス語圏で生きることを決めたのです。

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 私にとって健康こそが一番大事な問題となりました。健康でい続けるために、私は生活習慣を考え始めています。大好きだったビールをまずやめました。やめると頭ごなしに決めると続かないので、買わないというルールを決めました。あまり出歩かない私は家飲みが多いので、ビールを買わないイコール酒量を減らすという効果がありました。でも、禁酒ではないので、飲みたければ近所のカフェに行って飲めると思うことで、次第に量が減ったのです。白米を玄米に変え、野菜やお肉などもすべて有機系のものに変更しました。あまり神経質にならないに越したことはないので、どれも徐々に変えていくことにしました。暴飲暴食というのは皆無となりました。もともと飲み歩くこともしないので、効果は出てきたと思います。60歳というのは、健康に気を付ける節目の年齢なのでしょう。今から少しずつ食生活を正していくことで、少なくとも健康は維持されていくはずです。

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 パリは排気ガスが多いので、外を走るのは危険だったりします。なので、室内で筋トレをするようになりました。エレベーターは一切使わず、4階の自宅まで毎日何度も階段の上り下りをするようにしました。ペットボトルを6本抱えて階段を上ります。私はロック歌手でもあるので、歌うことが健康維持に大きな貢献をしてくれています。2時間から2時間半のステージを休みなしで続ける体力はあります。この活動はビジネスというよりも、自分のためにもっと続けていくべきでしょうね。身体にいい生活習慣を身に付けることも大事だと気が付きました。食生活を改善し、適度な運動をし、歌い続けていけば、息子が社会人になるまであと10年はこの状態を維持できるのではないでしょうか?

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 基本は自炊ですから、外食はほとんどしません。これも健康に大きな影響を与えていると思います。グルテンフリーを目指すことはありませんが、極力グルテンを減らすよう工夫し、料理をしております。毎日、玄米を一膳頂き、野菜を中心の食事にしました。肉も食べますが、チキンが多いです。脂肪分の多い肉は出来る限り食べないようにしています。というのか、自然にそういう身体になってきました。牛肉であれば赤身しか食べません。魚は青魚を好んで食べます。甘いものは好きなので食べますが、ケーキなども自分で作っています。調味料も厳選して頂いております。一番の好物が実はお塩。塩分の取りすぎが健康に一番悪いので、ここは日々注意をしなければならないところです。あとは、水をよく飲むようにしました。調子の悪い時は、とにかく水を飲んで身体の流れをよくします。コップ1杯の水がその日の健康を維持してくれます。根を詰めて仕事をした後などは、まず水。朝起きたらコップ1杯の水を飲みます。その水を美味おいしいと思える時は健康なのでしょう。お酒も食べ物も美味しいと思えることが、人間大事なのだと思います。あと10年、息子のために健康を心がけて頑張らなければなりません。愛する人を悲しませないために生きるというのは、最も重要な心掛けなのかもしれませんね。

 

今日のひとこと。 『ゴールを目指さない生き方、毎日毎日の完走に全力を傾ける生き方』

辻さんプロフィール写真2016年10月21日WEBマガジン用

辻 仁成(Tsuji Hitonari)
 東京生まれ。1989年『ピアニシモ』ですばる文学賞を受賞。1997年『海峡の光』で芥川賞、1999年『白仏』のフランス語翻訳版「Le Bouddha blanc」で、仏フェミナ賞・外国小説賞を日本人として初めて受賞。著作はフランス、ドイツ、スペイン、イタリア、韓国、中国をはじめ各国で翻訳されている。著書に 『太陽待ち』 『サヨナライツカ』 『右岸』 『永遠者』 『クロ工とエンゾー』 『日付変更線』 『息子に贈ることば』『父Monpere』『エッグマン』『立ち直る力』『真夜中の子供』 など多数。新刊に『人生の十か条』(中公新書ラクレ) 。
 ミュージシャン、映画監督、演出家など文学以外の分野でも幅広く活動する。現在は拠点をフランスに置き、創作に取り組む。パリ在住。映画監督・音楽家・ 演出家の時は「つじ じんせい」。
 2016年10月にウェブマガジン「デザインストーリーズ」を開設。デザインと世界で活躍する日本人の物語、生きるヒントを届ける“ライフスタイルマガジン”。辻編集長のインタビューはこちら

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