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回想法のポイントは?…さいたまで認知症サポーターの講習会
認知症の人や家族を地域で支える「認知症サポーター」に、回想法について理解を深めてもらう埼玉県主催の講習会が10月末、さいたま市大宮区で開かれました。
県は、2008年度から、認知症の基本的な知識や認知症の人への対応の仕方などを学んでもらい、職場や地域で認知症の人や家族を見守るサポーターを養成しています。今回の講習会は、こうしたサポーターや介護事業所などの職員、市町村職員を対象に、回想法を認知症の人や家族の支援に役立ててもらおうと開かれ、約30人が参加しました。
◇埼玉県の認知症サポーターについての情報はこちら。
臨床心理士として回想法に取り組んでいる埼玉医科大学の萩原裕子さんが講師を務めました。萩原さんは、回想法について、①話し手が過去を思い出し、よい聴き手にそれを話して自身の人生を振り返ることで、話し手の心の安定や周囲の人との交流の実現を援助する方法②話し手が過去を振り返り、自身の人生に折り合いをつけ、受け入れるための方法――の二つの側面を挙げました。
そして、「重要なのは聴き手の存在です。無理に聞き出さず、話す内容や範囲を決めるのは話し手です」と注意点を示し、②に関して、「若い時には無理でも、人は様々な経験を経て人生と折り合いをつけられるようになります。それが回想法の大事な役割です」と指摘しました。
萩原さんは回想の現場に話を進め、1対1で話を聴く「個人回想法」、8人ぐらいが参加する「グループ回想法」があるとし、それぞれの特色や難しさなどについて具体例をまじえて説明しました。
この中で、個人回想法は、対象となる個人に合った目的に沿って、話題を決めて、道具などを活用できるのに対し、グループ回想法では、知らない人との会話をきっかけに昔を回想できるなどの特色があると指摘。過去の回想法の活動を収めた映像を題材にしながら、それぞれの特色を生かした活動の重要性を強調しました。
良い聴き手の条件についても触れ、①相手と真っすぐ向かい合う②腕や足を組んだりせず、胸を張った姿勢でいる③相手に少し体を傾ける④適切に視線を合わせる⑤十分にリラックスして話を聴く――などを挙げました。そして、「相手が話したくないことは、それが重要でも無理やり尋ねないでください。つらい体験や苦しい思いが語られる時には、静かに耳を傾け、深く共感してください。あわてて慰めたり、『そんなことはない』などと即座に否定したりしないでください」と呼びかけました。
講義の後、参加者は1対1と、グループの二つの場面に応じて話を聴く練習に取り組みました。
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