回想の現場

浦島太郎で回想、奥深さにびっくり…横浜「想い出おしゃべり隊」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 JR東神奈川駅から徒歩15分ほどの老人福祉センター「横浜市うらしま荘」に11月6日、男女7人の高齢者が集まりました。うち6人は、横浜市神奈川区が開講した「回想法ファシリテーター(進行役)養成講座」の修了生ら。区の研修を受け、回想法の実践を側面支援する役割の人たちです。研修をきっかけに毎月、テーマを決めて昔の記憶を語り合う「想い出おしゃべり隊」と名付けたサークルを作り、活動しています。

 

 この日は独り暮らしの男性に声をかけて「ゲスト」として迎え、「昔話」や「自分の家族」について対話を楽しみました=写真=。「昔話」の題材は、浦島太郎伝説が残る浦島地区とあって、浦島太郎。司会を務める男性が「浦島太郎の話の筋を知っているようで知らない人もいます」と話すと、女性が粗筋をしゃべりました。

 <浦島太郎が、浜辺で子どもたちにいじめられている亀を助けた恩返しに、海中の竜宮に連れて行かれ、乙姫らのもてなしを受け、玉手箱を渡されました。 亀に乗って元の浜に戻り、玉手箱を開けると白髪のお年寄りに変わってしまう……>

 おなじみの粗筋ですが、司会の男性によると、この話は意外にも奥が深く、「人生、亀のように歩んでいきたい」というテーマが込められているそうです。物語の筋も一般に知られているより込み入っていて、男性が繰り出す話に参加者はいろいろな思いを巡らせたようでした。

 そこから、話題は広がりをみせ、他の参加者から「浦島という地名は神奈川区だけかと思っていたら、全国津々浦々にあるそうですね」という声が出たほか、それぞれの地区の彩りを添えた浦島伝説が伝わっているという話もありました。

 自分の家族の話にテーマが移ると、集まりに初めて顔を出したという男性が生い立ちを語り始めました。「東京で働いてきましたが、年齢を重ね、今は一人で神奈川区に住んでいます」と明かし、「母親が初めてパーマをかけて家に帰ってきた時、子供心に母はまだ若いんだなあと思ったことが鮮烈な思い出です」と続けました。

 「独り暮らしということで、あまり家族のことを聞いてはいけないかとも思いましたが、そのような話を聞くと、こちらまでうれしくなりました」という声が上がり、男性は照れた笑顔を浮かべていました。

 また、この日は大雨だったこともあって、浦島地区に幼い頃から住んでいるという女性が「一昔前は大雨になると低地の商店街がすぐ水害に遭って、買ったばかりのテレビを慌てて2階に持って逃げたこともありました」と振り返ると、「それは知らなかった」と驚きの声が口々に上がりました。

 回想しながらのおしゃべりは1時間ほどでしたが、地区の住民が幾人も参加して、おしゃべりの輪に入ることもあるといいます。福祉センターの神村宏館長によると、「おしゃべり隊」は2年ほど前から活動を始め、月に1回のペースで続けているそうです。

 参加者たちは「もっと隊の活動を活発化させたい」と意欲を見せていて、神村館長は「昔のことを鮮明に思い出すのは脳の活性化につながると思います。参加者が増え、回想法の活動がより盛んになるよう、福祉センターでも全面的にバックアップしたい」と話します。

 次回の「想い出おしゃべり隊」の活動は、12月6日午後1時半から午後3時まで、うらしま荘で、そして、同18日午後1時30分から午後3時まで、区内の新子安地域ケアプラザで、それぞれ予定されており、参加者を募集しています。

 問い合わせは、隊員の篠原佳子さん yoshi55go@icloud.com まで。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

回想の現場