なつかしスポット巡り
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激動の昭和という時代を振り返る~昭和天皇記念館(東京・立川市)
JR立川駅から歩いて15分ほど、国営昭和記念公園の中に立つ花みどり文化センター内に、「昭和天皇記念館」はあります。公園は四季折々にその姿と色彩を変え、公園内を記念館に向かう途中、ビルの立ち並ぶ立川中心部を忘れ、一服の清涼感を得られます。
2005年11月に開館した記念館は、昭和天皇の87年に及ぶ生涯を振り返ることのできる貴重な場です。昭和天皇の崩御の後、その遺徳を広めようという趣旨で、企業や個人からの寄付をもとに昭和聖徳記念財団が1991年に設立され、記念館の建設を経て、運営にあたっています。
入り口を抜けると、まず目にするのは、写真パネルや豊富な文書類で昭和天皇の生涯を回顧できるコーナーです。「ご誕生・ご幼少時」「皇太子・摂政時」「ご即位・激動の日々」「巡幸・復興の日々」「ご公務」「儀式・行事と行幸」「国際親善」「平穏の日々・崩御」の8コーナーに分かれています。
再現された執務室や生物学御研究所 特別列車の模型も
貴重な写真の数々のほか、学習院初等科時代の制服や制帽、関東大震災直後や終戦を決めた御前会議といった歴史の節目に臨んだ昭和天皇を描いた絵画などが目に入るほか、執務室を再現したり、特別列車の模型が展示されています。
ほかに目につくのは、昭和天皇が乗った堅ろうな自動車「ニッサン プリンス ロイヤル」や、儀式用の豪華な椅子、そして生物学の研究者でもあった昭和天皇の皇居内にあった生物学御研究所の一部を再現したコーナーなどで、興味を引き付けます。
年間に約1万5000人が訪れ、来館者は間もなく延べ30万人になります。昭和という時代を生きて懐かしむ年齢層の人に交じって、若い人や外国人の来館者も増えているそうです。
近づく改元 よみがえる遠い記憶
展示品には臨場感がありますが、その理由について、記念館の斎藤誠治館長は「宮内庁の協力を得て、展示品の多くを借りています」と話します。そして、「平成も終わりに近づき、昭和は遠くなるという声もある中で、このような激動の時代もあったということを伝え続けていきたいですね」と感慨深げに話していました。
斎藤館長に、印象に残っている来館者を聞くと、「80歳ぐらいの方が、この場で流れている終戦の玉音放送を聴いて、懐かしがって感動していました。『当時は小さな子どもで、内容がよく分かりませんでしたが、ここで聴くことができて、その当時の記憶がよみがえりました』と話していました」と振り返ります。
平成生まれの人が多くなり、昭和という時代を記憶する人は今後、減っていく一方ですが、改元を目の前に控えた今こそ、昭和を振り返ってみるのも、「回想」の一助になるのではないでしょうか。
(塩崎 淳一郎)
昭和天皇記念館
【所在地】〒190-0014 東京都立川市緑町3173 国営昭和記念公園 花みどり文化センター内
【電話】042-540-0429
【アクセス】JR立川駅から徒歩13分、多摩都市モノレール立川北駅から徒歩11分
【開館時間】午前9時30分~午後4時30分(11月1日~2月末日)、午前9時30分~午後5時(3月1日~10月31日) ※入館は閉館時間の30分前まで
【休館日】毎週月曜日(休日の場合は直後の平日)、12月31日~1月1日、公園の休園日、特別展示・企画展示開催前後の整理期間(各約1週間)
【入館料(記念館のみ)】一般510円、大学生・高校生300円、中学生・小学生100円、シルバー(65歳以上)410円
【ホームページ】】http://www.f-showa.or.jp
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