回想の現場
回想サロン
バスガイドの経験とギターの生演奏で回想法実践~東京・日野
東京都日野市で福祉ボランティア活動を続けている山本晃子さん(75)は、団塊世代が多く住む近所のマンション住民を集め、DVD「よみうり回想サロン」を使って「記憶の門」と題する回想法の集会を開いています。
「シニアの司会でお年寄りの共感を」
山本さんは「読売新聞の紙面で若い記者が福祉施設などでDVDを使った『回想レク』をやっているのを知り、シニアの私が司会をすれば、よりお年寄りの共感が得られるのではないかと思って始めました。バスの添乗員もやっていますので、昔の歌をみんなで歌えば生き生きするのを実体験しています。レクリエーションの合間には、住民の方のボランティアによる生のギター演奏で懐かしの歌を合唱するようにしています」と話します。
「よみうり回想サロン」を使った集会は9月下旬に初めて開かれ、14人が「昭和20年代編」を題材にレクリエーションを楽しんだといいます。10月下旬、湯沢福祉センター(同市程久保)で開かれた2回目の集会を訪ねてみると、前回より多い18人が集まっていました。山本さんが司会をして、「昭和20年代編」のDVDを使って「記憶の門」が始まりました。
芸能界から政治まで 硬軟とり混ぜ思い出話
「第1回ミス日本は?」とたずねるクイズが画面で流れると、すぐに「伊東絹子!」「山本陽子!」などと、大きな声が次々と上がりました。山本さんは手持ちの写真資料などをお年寄りに見せながら、「ほんとうにおきれいですね」などと応じ、思い出話の輪ができて、大いに盛り上がりました。芸能界などの軟らかい話ばかりではなく、政治といった硬めの話題も、山本さんは巧みに男性に話を振り、思い出話を引き出して、次第に会場の一体感が生まれていきました。
戦後の人気を集めたラジオドラマの話題になったところで、ボランティアの男性によるギターの生演奏にのって、そのドラマの主題歌の合唱が始まり、事前に山本さんが用意していた歌詞の紙を見ながら合唱は続きました。レクリエーションの間にあわせて5曲を歌いましたが、生演奏だけあって、カラオケとはひと味違うメロディーの美しさがあり、参加者を上手にリードする演奏技術は「さすが」と思わせるものでした。
約1時間半のレクリエーションを終え、山本さんは「皆さんとてもいい笑顔になって、こちらまでうれしくなりました」と声を弾ませ、「知的活動は大切なことですし、脳を活性化するためにもみんなでしゃべることはプラスに働くと思います。『100歳まで元気でいましょうね』と呼びかけています」と、年齢を感じさせない歯切れの良さで話していました。12月には、第3回の集まりを開く予定で、「よみうり回想サロン 昭和30年代編」を使用するつもりだそうです。
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