回想の現場

ホタルの明かりで夜道歩いた~民話の里・遠野で回想法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 回想法の研究で第一人者とされる野村豊子・日本福祉大学客員教授が主宰する「語りと回想研究会」の講演会が9月下旬、東京・池袋で行われました。「遠野物語」の舞台で民話の里、岩手県遠野市で2006年度から13年度にかけて市の支援を受けて「グループ回想法」を展開した本山潤一郎さんが報告し、「公的な事業としての回想法の活動はストップしていますが、いずれ再開して遠野に回想法を根付かせたい」と目標を語りました=写真=。

 研究会は、各地の事例を参照しながら、全国に回想法の輪を広げていこうとする取り組みで、この日は静岡県富士宮市や東京都葛飾区で回想法を実践する約20人が出席しました。

 遠野市の介護老人保健施設「とおの」に勤める本山さんは、地元の古い商家などを利用したグループ回想法の様子を、録画映像を交えて説明。お年寄りたちが、「昔は蚊帳をつって寝たものですが、蚊帳の中にホタルを入れて楽しみました」「夜道を歩く時は、ハンカチにホタルを入れて袋の形にして、その明かりを頼りに峠を越えたことがありました」と思い出話をする様子が映像で流れ、参加者は「貴重な証言ですね」「興味深いエピソードで驚きます」などと感想を口にしていました。

 しかし、この事業は「コストや時間をかけても、回想法の参加者は限られた人数になってしまうという問題があった」ことから13年度で終わり、現在は行政主導では行われていないそうです。本山さんは「映像を見ても皆さん楽しそうな様子なのが分かると思いますので、今後も地元で続けていくための働きかけをしていきたいと思います」と将来の復活を見据えていました。

 野村教授は遠野での取り組みについて、「画一的な公民館などとは違う商家を使った回想法は、天井の板一枚からして雰囲気が違う。現場では少し前の世代が実際に手にしていた古い民具や生活用具が使われていて、ほかの地域にも参考になると思います」とコメントしました。

 研究会の参加者からは、本山さんや野村教授にグループ回想法に関する様々な質問や提案が出て、終始、活発な意見交換が行われました。

 野村教授らは、10月20日に岩手県宮古市でも回想法の実践、啓発活動を行う予定で、全国各地に回想法を根付かせる地道な活動を続けています。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

回想の現場