なつかしスポット巡り

ドラマや映画のロケ地セットで、過去を歩く…ワープステーション江戸(茨城・つくばみらい市)

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 東京・銀座に路面電車が走っていたことを覚えているのは、60歳以上の首都圏在住者でしょうか。新聞のデータベースで検索してみると、1967年(昭和42年)に銀座通りから都電が姿を消したそうです。

 それから50年以上の月日を経て、今年6月、茨城県つくばみらい市の「ワープステーション江戸」に当時の銀座がよみがえりました。正確に言うと、「あの頃の銀座を彷彿ほうふつとさせる街角」が出現したのです。

路面電車がノスタルジーを……

 銀座4丁目交差点のランドマークとして印象的なデパート「和光」を思い起こさせるビル、頑丈そうなレンガ積みの低層の建物、劇場などが軒を並べ、路面をチンチン電車が走ります。間違いなくテレビ映画で見たことがある、かつての銀座の街角です。

 ちょっと角を曲がると、こちらも昭和っぽい作りの住宅や長屋、小さな飲み屋などが次々に姿を現します。銀座を出て、新橋、築地、京橋あたりの裏通りの風情、かもしれません。

数々の名ドラマのロケ舞台を

江戸時代のセット。堀端には白壁の土蔵が立ち並ぶ

お侍さんが出てきそう

 「ワープステーション江戸」には、名称の通り、戦国時代から江戸時代にかけての街並みなどが再現されています。本来はテレビドラマや映画の撮影用のオープンセットで、4.5㌶の広大な敷地に江戸時代の城郭、戦国時代のとりで、宿場町、武家屋敷など、撮影で必要なシーンに対応できる舞台がぎっしりと並んでいます。2000年の完成以来、テーマパークとして一般入場者にも公開しています。

 施設の運営はNHKエンタープライズで、「坂の上の雲」「真田丸」「花燃ゆ」などの大河ドラマ、連続テレビ小説などの舞台となってきました。NHKの作品だけではなく、「天皇の料理番」「JIN―仁―」「信長協奏曲」など、民法の人気テレビドラマのロケにも使われています。

かつての浅草? 今とは違ったにぎわいを感じさせます

 さらに今年6月には、明治、大正、昭和時代のセットが完成しました。時代劇のファンだけではなく、昭和世代にもたまらないノスタルジーを呼び起こしてくれる場所になりました。銀座がモデルとなった街並みもその一画で、こちらには武家屋敷の代わりに、昭和の繁華街にあったような重厚なオフィス街や郵便局、銀行などが軒を並べます。木造建築が並ぶエリアに歩みを進めると、かつてはどこの街でも見つけられた理髪店、本屋、お菓子屋などが次々に現れます。浅草のにぎわいを思い出させるエリアもあります。

こんな普通の街角にも昭和のにおいが

 現在は、来年1月放送開始予定の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピックばなし~」の撮影がこの施設を使って進んでいます。

 あくまでも撮影用のセットであり、展示物ではありませんので、建物の名称も出ておらず、解説もありません。もちろん、東京ディズニーランドのミッキーマウスや日光江戸村の忍者のように、舞台演出のキャラクターも登場しません。自分の知識をたどりつつ、脳内の記憶に重ね合わせながら進んでいくのです。

昭和30年代も、すでに「時代劇」に

 とはいえ、再現されている街並みも建物も、4K、8Kといったスーパーハイビジョン映像に使われるリアルさです。年季の入った古い長屋の木材や雨どいなど、かつて使われていた本物を移設しているものも多く、高度成長期を過ごした人々にとって「そうそう、こんな感じだったな!」と記憶がフラッシュバックする場面がたくさん見つかります。

武家屋敷……でしょうか?

 江戸時代のセットはさらにスケールが大きく、ぶらぶら歩いているだけで、江戸城の大手門や宿場町、武家屋敷、町家通り、商家通り、廻船かいせん問屋、茶店通りなどが目の前に次々に現れます。テレビや映画で覚えのあるシーンが見つかり、画面の中に入り込んだような錯覚を感じるかもしれません。しっかり見て回ると、タイムトラベル気分をたっぷり2時間は味わえます。

 山中一郎所長は、「昭和30年代ももう時代劇なんですよ」と笑顔で話します。

 確かに!

 現代には、腰に刀を差したお侍さん同様、「太陽族」の若者も、髪にスカーフをあしらった「真知子巻き」の女性ももういません。昭和30年代の日本の姿も、すでに時代劇の舞台になっているのかもしれません。

 テレビ画面や映画のスクリーンで、自分自身の古い記憶に出会うことはしばしばあります。ドキュメンタリーやニュースなどの映像だけではなく、フィクションのドラマでも同じことは起こります。

 ワープステーション江戸では、目の前に広がる「リアルな作り物」、そして自分自身の「脳内の幻影」の間を行ったり来たりできる不思議な体験が最大の醍醐だいご味なのです。

 (染谷 一)

 

ワープステーション江戸
【所在地】〒300‐2306  茨城県つくばみらい市南太田1176
【電話】0297-47-6000
【アクセス】「つくばエクスプレス」の「守谷駅」、または「みらい平駅」からタクシー
【開館時間】午前9時30分~午後4時(入場受け付けは午後3時30分まで)。月曜日定休。
【料金】大人400円、中学生以下200円(未就学児は無料)
【ホームページ】http://www.warpstationedo.com/

 

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