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よい聴き手とはなにか?~研修会で回想法の基本を学ぶ
昔の様々な出来事を思い出すことで脳の活性化を図る「回想法」の基礎を学ぶ研修会が5月26日、東京・池袋で開かれた=写真=。地域で回想法を実践している約20人が、回想法研究の第一線で活動する野村豊子・日本福祉大客員教授らの話に耳を傾けました。
最初に野村客員教授が「回想法の基本 よい聴き手であり続けるために」と題して講演しました。回想法の聴き手が注意する点として、①今、相手が何を感じているのか、その気持ちを大事にする、②自分の話をしすぎて、相手の話をとってしまわないように気を付ける、③語られる内容が事実と違うことがはっきりしていても、訂正したほうがよいとは限らない――などの例を挙げ、「聴き手は半歩下がった同行者であってほしい」と強調しました。
具体的に回想法を行う際の聴き手の心構えとして、3例のうち、①を重視し、若い聴き手は人生経験が少ないために語り手の話した内容のうち、自分の知らない部分に注意を向けがちになるものの、相手が今、何を伝えたいのかに集中することが何よりも大事だと述べました。
さらに、高齢者と話す際には、心の通い合いを求めてじっくりと聴いてほしい、などとしました。
また、回想法の効果について、認知症高齢者への療法の一つとして展開していると指摘。アルツハイマー軽症グループでの回想法プログラムなどを例に挙げ、今後の可能性の広がりについても言及しました。
グループ回想法と個人回想法
研修会ではこのほか、内野聖子・岐阜医療科学大教授による「グループ回想法の実践」、埼玉医科大の臨床心理士・萩原裕子氏による「個人回想法の実践」と講演が続き、それぞれのメリットや注意点などについて説明しました。
グループ回想法では、グループ内の役割分担としてのリーダーの役割が大きいといったことや、参加は強制ではなく、心地良く楽しんでもらうもので、途中で場を抜けることもかまわない、といったアドバイスがありました。
個人回想法については、回想を多数の人に語ることに抵抗のある人などに向けたもので、静かでプライベートなことを落ち着いて話せるような場所を選んで行うというような気配りが必要と指摘。無理に回想を引き出さないことや否定的な回想などが出てきた時は、その重さや辛さを聴き手は受け止めなければならないことなどが示されました。。
研修会の最後には、「あなたは幼い頃に何をしてよく遊びましたか?」というテーマで参加者が最初は1対1で語り合い、続いて5~6人のグループで語り合った後、最後に参加者全員の前で数人がこのテーマについて語る、という回想法実践の様々なタイプを経験。和気あいあいとした雰囲気ながら、じっくりと回想法について考える研修会となりました。
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