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【回想インタビュー】「輝いた頃の記憶、刺激を」…吉田勝明・横浜相原病院長

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 読売新聞社は、過去の新聞記事やニュース映像をまとめたDVD「よみうり回想サロン昭和20年代編」を制作しました。過去の経験を高齢者が語り合う回想法は、認知症の進行を抑えると期待されています。6月4日の販売開始を前に、日本老年精神医学会専門医の吉田勝明・横浜相原病院長に、院内でも実施している回想法の有効性やDVDへの評価を聞きました。

認知症の人の話を認める

――認知症の人の特徴を教えてください。

 自分ではどうしようもない物忘れを、周囲の人に気づかれないようにと、作り話をしてしまう傾向があります。プライドは残っており、子供扱いされるとバカにされていると感じます。

――周囲の人はどう対応すればいいでしょうか?

 まず本人の話を認めることが大切です。作り話を指摘したり叱ったりしがちですが、反発や症状の悪化を招く恐れがあります。

 例えば、壁に蛇がいるという妄想には、「私が追い払うから大丈夫。一緒についています」と伝え、安心させてください。すると、本人が「守ってくれる」と相手を認めるようになります。そして、家事や清掃などの地域活動もできることはやってもらい、周囲の人が少しだけ手を貸す感覚が大事です。

回想法で睡眠や血圧の改善を

 ――回想法の意義を教えてください。

 多くのお年寄りは、昔の自慢話や苦労話に花を咲かせます。認知症の人も昔の話は覚えています。輝いていた頃の記憶を刺激して引き出す回想法は、快適な時間を過ごしてもらうのに有効な方法です。楽しい時間を過ごすうちに、認知症の人も気持ちが穏やかになります。

――病院で回想法をどのように進めていますか?

 進行役の作業療法士や音楽療法士が、旅行の思い出などを尋ねています。参加者同士で新婚旅行やデートに会話が広がり、旅先に関連する歌や懐メロをみんなで歌います。「よく歌詞を覚えていますね」と声をかけられた認知症の人は、「当然だよ」と言って自信を持ちます。

 回想法を適切に行うと、気持ちが穏やかになり、記憶の保持に加え、睡眠やお通じ、血圧を安定させ、免疫力の向上にもつながると考えています。認知症の人の穏やかな表情を見た家族は喜びます。

生涯の振り返りに役立つ記事や映像

――「よみうり回想サロン」のDVDを見て、どう感じましたか?

  歴史上の出来事が系統立てて整理され、興味深い記事や映像がそろっています。非常に感動しました。

 140年以上報道を続けてきた読売新聞だからこそ、「人生100年時代」にお年寄りに寄り添った内容を提供できるのだと思います。 お年寄りが素晴らしい生涯だったと振り返り、生き生きと暮らすのに役立つでしょう。

 戦後の復興や高度成長期の話題に合わせて、プロレスラーの力道山や演歌歌手の三波春夫など当時国民を元気づけた著名人の名前を進行役が挙げれば、会話は広がっていくのではないでしょうか。病院や施設で話を弾ませるきっかけになります。(聞き手・米山粛彦)

吉田 勝明(よしだ・かつあき)
【略歴】1956年生まれ、福岡県出身。1982年金沢医科大学医学部卒、東京医科大学外科学第一講座入局。その後国立がんセンター研究所病理部、上尾中央総合病院救命救急・呼吸器科などを経て、1993年から現職。金沢医科大学客員教授・理事、神奈川県病院協会副会長、日本老年精神医学会専門医。著書に「認知症は接し方で100%変わる!」(IDP出版)、「職場うつからの生還」(IDP新書)など

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