なつかしスポット巡り

家電の歴史に見る暮らしの変化…パナソニックミュージアム(大阪・門真)

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 創業100周年を迎えた総合電機メーカーのパナソニックが、記念事業として大阪府門真市の本社敷地内に今年3月にオープンしたのが、パナソニックミュージアムです。同社をつくった松下幸之助さんの足跡をたどる「松下幸之助歴史館」と、同社の製品を集めた「ものづくりイズム館」などがあります。
 そのうち、昭和以降の家電を中心に収蔵・展示している「ものづくりイズム館」を川原陽子副館長に案内してもらいました。

時代と歩んだ100年

 入り口を入ると、同社のクーラーや冷蔵庫などの1号機が並んでいます=写真=。中には製造から70年以上がたつものもあり、レプリカも含まれています。

 洗濯機の正面には、大きく「National(ナショナル)」の文字が。2008年に松下電器産業から現在の社名に変更するまで、長年使われてきたブランド名です。年配の方には、むしろこちらの方が、なじみ深いかもしれません。

 展示室へと続く廊下の左側には、一面ガラス張りの大きな収蔵庫があり、家電約400点が収められています。

 脚がついたブラウン管テレビ=写真=は、日本独特のもの。「畳の部屋に合うように家具調デザインにしたのです」と、川原さんが教えてくれました。テレビの奥には、旧型の携帯電話が並んでいるのが見えます。普段はガラス越しでの見学のみですが、毎週土曜日や祝祭日のガイドツアーに参加すると、収蔵庫の中まで入って、間近で見ることができます。

製品の進歩とともに生活も豊かに

 メイン展示室であるマスターピースギャラリーでは、暮らしの中の「思いやり」「感動」「家事楽」など六つのテーマに沿って、新旧の製品が交ざり合って並んでいます。より小さく、より軽く、より操作しやすく……家電の進歩とともに、人々の生活も便利になっていったことが実感できます。

 生活に密着した様々な製品を開発してきた同社ですが、やはり「家電の王様」と呼ばれたテレビを抜きには、その歩みを語ることはできません。同社は、テレビの本放送開始に向けて、前年の1952年に白黒テレビ1号機を29万円で発売。この頃の公務員の初任給は6000円くらいでした。

 1959年の皇太子殿下(現在の天皇陛下)ご成婚の際には、パレードの生中継を含む計13時間半にわたる祝賀番組を単独スポンサーになって放送しました。それに合わせて6万円台の白黒テレビを発売して、大ヒット。全国的にテレビを普及させ、「一家に一台」といわれる時代の幕を開けたのです。この製品も、当時の新聞広告とともに展示されています。

 皇太子殿下ご成婚は生まれる前のことなのでわかりませんが、子どもの頃に我が家や近所の家で見たような、レトロな品々があちこちにあります。祖父母の家で使われていたものと同じ掃除機=写真右の奥=を発見して、思わず歓声を上げてしまいました。

 川原さんが「これも懐かしいという方が多いんですよ」と指さしたのは、ピアノの鍵盤のような大きな四角いスイッチがある扇風機=写真左=。確かに、小学生の夏休みを連想しました。

 世代を問わず、日々の暮らしとともにある家電は、記憶と深く結びついているのでしょう。来場者が感想や意見を記入するカードには、「幼いころの家電を見て、思い出がよみがえりました」(32歳女性)といった声が多いそうです。

 休憩スペースでは、大きなモニターで古いテレビコマーシャルを見ることができます。亡き俳優の森繁久弥さんが「マックロード君」と、製品を友人のように呼ぶ家庭用ビデオデッキのCM(1977年)などは、記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。

 1966年発売の洗濯機「うず潮」のCMは、荒々しく渦を巻く水流の中心から洗濯機が浮上してくる光景が、いま見ても衝撃的です。鳴門海峡で決死の撮影か……と思いきや、「実はプールで撮った」(川原さん)のだとか。CGなどない時代、視聴者の印象に残る映像を作るための制作側の工夫と苦労を思いました。

懐かしの家電をおみやげに

 懐かしさをおみやげとして持ち帰ることもできます。家電などをモチーフにしたオリジナルグッズが充実しているのです。

 レトロな家電のミニチュアが出てくる「ガチャガチャ」は1回500円。受付横のミュージアムショップの一番人気は、1957年登場のキャラクター「ナショナル坊や」の貯金箱(800円)です。特に60歳代以上の来場者が「懐かしい」と言って購入するそうです。

 川原さんのお薦めは、家電トランプ(1500円)です。2はアイロン、9は炊飯器、Jは電気シェーバー……と、数字ごとに異なる13種類の家電が印刷されています。スペードは創業から1960年頃まで、ハートは60~80年頃、クローバーは80~2000年頃、ダイヤは00年頃から現在までと製造年代が分かれているので、七並べで順番に並べれば、身近な家電の変遷が一目瞭然。盛り上がること間違いなしです。

 毎週土曜日には、ガイドツアーのほかにも、「ものづくり」をテーマにしたワークショップを開いていて、ホームページから参加申し込みができます。また、「松下幸之助歴史館」でも、創業時の自宅兼作業場を再現した「創業の家」や古い記録映像など、それぞれの時代を映す資料を展示しているので、こちらも見学してみてはいかがでしょうか。

(飯田 祐子)

パナソニックミュージアム
【所在地】〒571-8501 大阪府門真市大字門真1006
【電話】06-6906-0106
【アクセス】京阪線 西三荘駅下車 徒歩2分
【開館時間】午前9時~午後5時 ※開館時間は変更になる場合がある
【休館日】日曜日、年末年始
【料金】無料
【ホームページ】https://www.panasonic.com/jp/corporate/history/museum

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