高血圧をコントロールしよう

運動療法のススメ~健康長寿を目指して~

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福岡大学筑紫病院 副病院長 浦田秀則さん

 高血圧は、日本で一番多い病気です。人口のおよそ3分の1が高血圧で、いろいろな病気の原因になっています。そんな高血圧の治療は、生活習慣の修正(運動療法・食事療法)と薬物療法です。

 生活習慣病をまとめて改善

  運動の頻度は、できれば毎日定期的に実施し、運動量は30分以上、強度は中等度の有酸素で動的運動、と日本高血圧学会2014のガイドラインでも推奨されています。薬物療法中の方でも、薬の量を減らす、同じ薬でも小用量の薬に変えたいと思うなら、運動効果で降圧すれば、薬を減らすことができます。運動療法により、降圧効果が得られ、高血圧が改善されても、運動を中止すると降圧効果が消失するので、大事なことは継続して運動療法を行うことです。

  運動療法は、降圧効果のみならず、体力向上・脂質代謝改善・糖代謝改善・体重減少・喫煙率低下・脳心血管病予防・認知症予防・死亡率低下などの予後改善効果が報告されています。すなわち、生活習慣病を一括して改善できます。

 1日30分のニコニコ運動を

  大事なことは「歩くこと」です。その時の運動強度として福岡大学のスポーツ科学部と共に「ニコニコペース運動」を提唱してきました。それは、1984年頃から福岡大学スポーツ科学部と共同で施行した高血圧者の運動療法の研究結果に基づいています。

  運動負荷を与えた時、高血圧症の方は、体力がとても低いことが分かり、これを改善したらどうなるかという観点から試験を始めました。

  ニコニコ笑いながらできるほどのペースで有酸素運動を1日30分ぐらい、週に3時間程度行います。運動の強度は、最大運動能力の50%から55%で、いわゆる軽い運動ですが、効率的には十分です。7週間経(た)つころから、上の血圧も下の血圧も有意に下がってきました。

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運動自体に「キツイ」というイメージがあり、あんなキツイことをするくらいならエレベーターに乗ろうとか、車に乗ろうとなります。しかし、軽い運動だと1日30分くらいやっていただくと、終わった時にすごく幸せ感も味わえます。

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 この運動療法でなぜ血圧が下がるのか研究したところ、腎臓から塩が抜け、イライラ神経の交感神経が抑制されることが分かりました。軽い運動をすることが“塩抜き”になり、リラックス効果もあるのです。

 人間の遺伝子は塩分1グラム

  人間は動物ですから、元の動物の生活に戻れば良いのです。チンパンジーは、塩分1グラムぐらいで生活しています。人間の体の中には塩を再吸収して再生する仕組みが元々あり、1グラムの塩で生活していたことの遺伝子が働いているのです。ですから、普通に塩分を取りすぎると高血圧になってしまうのです。

  買い物は歩いて行き、塩分の少ない食品を買ってきます。車には乗らず、公共交通機関を使います。そういう基本的な生活をしていただければ薬も減らせるし、健康寿命は延びます。皆さん、運動を生活の中に取り入れましょう。

urata_photo300【プロフィル】福岡大学筑紫病院 副病院長 浦田秀則(うらた ひでのり)さん

1980年、福岡大学医学部医学科卒業。米国クリーブランドクリニック研究員、ドイツ・マックス・デルブリュック分子医学研究センター(MDC)プロジェクトリーダーを経て、2003年に福岡大学筑紫病院循環器内科教授。13年から現職。

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