私のエイジングデザイン

[女優 濱田マリさん]「ばばあ」で結構!(上) 年齢に「悪あがきしない」

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 ハイトーンボイスと歯切れのいい語り口で人気の濱田マリさん。バンドのボーカルとしてデビューし、女優、声優、ナレーターと、仕事の幅を広げてきました。そんな濱田さんに、これまでの道のりや子育て、趣味などについて、お話をお聞きしました。(聞き手・飯田祐子、撮影・秋山哲也)

※Path=小道や細道のほか、人生の進路や歩くべき方向などを意味する。

真面目だったデビュー前

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――デビュー前は、生まれ育った関西でバンド活動をなさっていたそうですね。

 日本中がバブル景気に沸いていた時期でした。20歳前後の青春まっただ中でバブル時代を過ごしたので、同世代には、その頃にすてきな思いをした人がたくさんいます。「メッシー、アッシー、ミツグ君」なんて言葉もあって、デートで男の人にお金を出してもらうのが当たり前という感じでしたけど、私自身は、そういう「いい思い」とは全く無縁でした。

 男の人にそんなことをしてもらうのは申し訳ないし、自分のプライドも許さないという感じでしたね。周りにいたのは、男の子も女の子も一生懸命に音楽をやっている人たちばかりでしたから、私も真面目だったんだと思います。

――バンド「モダンチョキチョキズ」のボーカルとして、1992年にメジャーデビューされています。当時を振り返ってみると、どう思いますか?

  若い頃は視野がとても狭かったと思います。自分の周囲が見えず、状況把握ができないので、感謝すべきことにも気づかずにいる感じでした。毎日、とても楽しかったのですが、いま思うと、とても小さく狭い世界で生きていたな――、と。

 仕事やプライベートで様々な経験を重ねて、40歳を過ぎた頃からでしょうか、だんだんといろんなことが見えるようになってきました。最近は、「私、背中にも目ができたんちゃうか」と感じるほどです。

親に支えてもらった子育てと仕事の両立

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――デビューから数年のうちに、女優の仕事が増えていきましたね。プライベートでは、ご結婚されて、お子さんに恵まれました。

  28歳の誕生日に結婚して、2年後に娘が生まれました。あの頃のことは、あまり細かくは覚えていないのですが、仕事と子育ての両方を同時にこなすのは、苦しかったけど、楽しかったなあ。

――その間も、ずっとテレビでお姿を見ていた気がします。どのようにして、忙しいお仕事と子育てを両立されてきたのですか?

  神戸の両親には、すごく助けてもらいました。子どもは急に熱を出したりするので、そういう時に軽快なフットワークで駆けつけてくれる親という存在に、どれだけ救われたか分かりません。

  いずれ私にも孫ができるかもしれません。というか、できたらいいなと思っているんですが、その時、自分が母にしてもらって助かったこと、ありがたかったことを今度は私が娘と孫のためにやってあげたいんです。

  自分の経験から、子育てと仕事を両立しようとしている女性が何を求めているかというのが大体わかるので、ツボを押さえたサポートができるのではないかと。親にしてもらったことは、親孝行という形で直接返すのもよいのですが、次の世代へと順送りにしていくという恩返しもしたいと思っています。

――お孫さん、早く欲しいですか?

  欲しいです! 自分の子育てでできなかったことをできるんじゃないかと思うんです。やり残したことや「こうしておけばよかった」ということに再挑戦できるチャンスなんじゃないでしょうか。

  おばあちゃんって、全く未知の世界ですけど、経験と余裕を備えて子どもに接することができる、すごくいいポジションのような気がするんです。

娘の「おばはん三か条」を順守

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――「おばあちゃん」と呼ばれるのを嫌がる人もいると思うのですが。

  私は大いにウェルカムです。気を使って「おねえさん」なんて呼ばれるくらいなら、「ばばあ」って言われたほうが、ずっと気持ちいいです。

  実際、私のことを「ばばあ」って呼ぶ人が何人かいるんですけれども、そういう方々とは、ぐいぐい距離を詰めていけますもの。腹を割れるというか、心を開けるというか。

  若く見られたいというのは悪あがきであって、年齢を重ねたことによる体の変化というものは、もう認めないといけないと思うんですよ。そんな私を「おい、ばばあ」と言ってくれる、私よりずっと年下の人たちがいる。

  周りの目に、悪あがきしているように映っていないんだな、という安心感があります。私より若い人には、それが逆に格好いいなというふうに認めてもらっているんじゃないかと思えるんです。

――「おねえさん」って呼んでおけば、この人は喜ぶんだな……と思われるのは心外ですよね。

 その通り! 18歳になった娘から、「おばはんは、はしゃぐな、甘えるな、若ぶるな」という三か条を常に説かれています。

  それを忠実に守っているおかげで、貫禄が出てきました。この頃は、「おばはん」どころか「おっさん」と呼ばれることすらあるのですが、まさに望むところです。

――確かに、濱田さんのお話を聞いていると、「男前だなあ」と言いたくなります。

 ありがとうございます。よく言われます(笑)。「おっさん」と呼ばれている時って、自分が好きな自分になれている瞬間なんでしょうね。

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濱田マリ【はまだ・まり】

 1968年生まれ。神戸市出身。92年にバンド「モダンチョキチョキズ」ボーカルとしてデビュー。95年からソロ活動。テレビ番組のナレーションをはじめ、声優としてアニメ映画「猫の恩返し」(2002年)などに出演。女優としても、映画「血と骨」(2004年)、NHK連続テレビ小説「マッサン」など出演多数。13年間に及ぶフリーマガジンでの連載コラムをまとめた「濱田マリの親子バトル!」(河出書房新社)を11月30日刊行。

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[インタビュー]Women’s Paths