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<更年期>相談先を探そう

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 更年期に関する悩みや心身の不調があっても、どこに相談すればいいのか分からずに抱え込んでしまう人は少なくない。そこで今回は、女性の生涯を通した健康問題に取り組むNPO法人「女性の健康とメノポーズ協会」理事長の三羽良枝さんに、更年期世代を支援する活動や電話相談の活用法などについて話を聞いた。

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Q.更年期かもしれないといった不調や悩みを相談できる窓口や医療機関がどこにあるのか、よく分かりません。女性の健康とメノポーズ協会が行っている「電話相談」は、どういったものですか?

 4万5000件超の電話相談 共感をもって受け止め、情報提供も

 メイン 450三輪さん 「女性の健康とメノポーズ協会」は、1996年に「メノポーズを考える会」としてスタートしました。「メノポーズ」とは、英語で「更年期」「閉経」の意味です。更年期世代を中心に、女性の生涯を通した健康づくりや医療問題、ワーク・ライフ・バランスなどに関する情報発信、啓発・サポート活動を行っています。

 活動の柱の一つが、1998年から約20年間続けている「電話相談」です。毎週火曜日と木曜日に、当協会で研修を受けて認定された「女性の健康相談対話士」が、個々の相談に応じています(※連絡先や受付時間等は末尾に)。

 これまでに、全国から更年期世代を中心に約4万5000件を超える相談を受けてきました。一件一件に問診票を作成し、データ化して、継続的にきちんと対応できるような体制を敷いています。

愛:「電話相談」には長い歴史があるのですね。どんな内容の相談が多いですか?

 本当に様々ですが、「これって更年期のせいでしょうか?」など、症状に対する不安や悩みが多いですね。最近はインターネット情報などから、更年期について知識を持っている人も少なくありませんが、自身の症状と結びつかず、気づかない場合もあるのです。

 更年期の初期というか、40~50歳代前半の女性には、皮膚関係の悩みが目立ちますね。湿疹が出て皮膚科に行くと、ステロイド薬を処方されたけれど一向に治らないとか、肌のチクチク感がひどくてタートルネックの服が着られないとか。そのほか、頭痛がちになった、指の関節がこわばる、多くの人が「ふわふわ感」と表現するめまいなどが、この年代には多いです。また、いろいろな話を聞くうちに性交痛の悩みになることもあります。とても大事なことですが、なかなか口に出しにくいもの。それを話せるという点も電話相談だからできることだと思っています。

 更年期症状には、エストロゲン(女性ホルモン)の欠乏に加えて、家庭の事情や職場環境、本人の性格も影響しています。当協会では、研修を受けた同年代の女性がじっくり話を聞き、必要に応じて情報提供も行いますので、「共感を持って受け止めてもらえて気持ちが落ち着いた」「経験者のアドバイスが役立った」といった声もいただいています。

最大の課題は、女性の健康を総合的に診る医療

 サブ 三輪さん電話相談で痛感するのは、多くの女性が適切な女性医療や更年期障害の治療に出合えず、いろいろな診療科をさまよっている現状です。

 例えば、手のこわばりに悩んで整形外科を受診した女性は、「老化でしょう。赤外線をあてに週3回いらっしゃい」「痛み止めを塗ってください」などと診断され、治療を受けたものの、少しも良くならない。長引くうちに、動悸どうきや頭痛など様々な症状が日替わりで出るようになっていく。そのたびに循環器科、神経内科、精神科などを巡り、多くの医療費がかかるうえ、クレーマー扱いされて傷ついてしまう。

 こうした相談が少なくないのです。

愛:それはひどいわ。様々な症状が出るから各診療科を回らなければならないのでしょう?それにもかかわらず、改善せずにクレーマー扱いされるなんて。更年期の不調を総合的に診てくれるところはないのですか?

 そこが大きな課題です。本来は婦人科の更年期外来などが受診先なのですが、頭痛や動悸で婦人科を受診しようと考える女性は少ないのが現状です。また、今の医療は専門分化していますから、専門外の診療科では、更年期の不調を含めて女性特有の疾患などを総合的に診る体制が乏しい。さらに、専門外の医療者は女性医療に詳しくないこともあり、「これは更年期の症状と思われるので、婦人科に行ってみてはどう?」と勧めるケースも少ないのです。

 数年前に、女性医学の状況を視察するため北欧に行きましたが、医学部の段階で学生たちは女性医学も学ぶので、婦人科以外の専門科の医師も、基本的な女性医療の知識は十分に持っているとのことでした。日本の医学部の卒前教育にも、女性の健康を長期的に、そして心と体を総合的に捉えて診るカリキュラムを、ぜひ取り入れてほしいと考えます。

 当協会では、更年期医療に詳しい医療機関の全国調査を行って、そのリストをホームページで公開しています。電話相談でも、希望があれば各地域の専門医療機関の情報提供も行っています。日本女性医学学会のホームページでも、同学会が認定する女性医療の専門医を地域ごとに検索できるので、参考になります。

「女性自らが生き方をデザインする」ことをサポート

愛:女性の健康づくりの中でも、更年期世代に焦点をあてたのは、どうしてですか?

 きっかけは、私自身の手術体験です。40歳前後の約10年の間に、子宮筋腫や直腸、胸郭の良性腫瘍など、4回の手術を受けました。とても素晴らしい医療チームに出会えましたが、反対に、統合されていない、疑問を感じるような医療チームにも会いました。当時は、インフォームド・コンセントもまだ十分ではなく、同じ手術を体験した患者同士のネットワークなどの体制もほとんどありませんでした。それに、術後のQOLについても患者本人任せとなる部分が多々ありました。

 こうした経験から、患者自身が適切な情報を得て、自ら勉強することがとても大切だと思いました。知識や情報の共有のために、他の患者たち、女性たちとのネットワークの必要性も痛感しました。当時、私は出版社で編集の仕事をしていましたが、こうした女性医療の問題に没頭し、1996年に仲間たちと会を結成して、女性の視点に立った活動を始めたのです。

愛:女性たちの反応はどうでしたか? 当時、「更年期」への理解はどうだったのでしょうか?

 今も覚えていますが、会発足の翌年、第1回メノポーズフォーラムの開催告知が新聞に載ると、申し込みのファクスが殺到しました。「夫にも姑にも分かってもらえない」「もう女じゃない、などと差別的に捉えられ、更年期の『こ』の字も言えない」など、女性たちの悲痛な叫びがたくさん届きました。情報が少なかった時代、多くの女性が苦しみ、理解や共感、正しい情報を求めていることを実感しました。

 以来、フォーラムは毎年続け、女性の健康意識調査を行って医学会で発表するほか、医療・健康政策へ提言してきました。例えば、今では「更年期うつ」はよく知られていますが、20年前は、「更年期と言えばホットフラッシュ」という程度の理解でした。私たちの調査が「更年期世代のうつ症状が多い」とのデータを示し、世の中に発信したことで、医療界でも対応の必要性が認識されました。行政の女性施策は母子保健と老年対策が主で、その間の更年期世代の健康対策が手薄でしたので、充実を訴えてきました。

 その後、思春期から妊娠・出産の時期、更年期、老年期と各時期の健康課題を知っておくことが大切だと考え、2011年に会の名称を現在のものに変更しました。働く女性が増える中で、企業の労務担当者などの男性にも知ってもらおうと「女性の健康検定」を開始、「女性の健康とワーク・ライフ・バランス推進員」などの認定を行い、より良い職場の環境づくりと働き方の提案をしています。

 「健康づくり」と言うと「健康じゃなきゃいけない」と思われがちですが、そうではなく、いろいろ抱えていてもいいと思うのです。女性自身が症状や病気の対処法・治療法を知り、選択し、自身の健康増進や生活をデザインしていくことこそが大切。私たちは、そのお手伝いと、様々な立場をつなぐ架け橋となる活動を続けていきたいと考えています。

(本田麻由美)

<電話相談可能な窓口等>

・NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会:http://www.meno-sg.net/

  電話相談:専用電話番号 03-3351―8001

       (火曜・木曜の午前10時半~午後4時半、祝日等休み)

・全国の女性健康支援センター(全国一覧):http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/boshi-hoken14/

・日本助産師会:http://www.midwife.or.jp/general/consultation.html

   電話相談:03-3866-3072(思春期、子育て、更年期)

        (火曜の午前10時~午後4時、祝日等休み)

 

<女性医療に詳しい医師・医療機関検索>

・日本女性医学学会認定の専門医:http://www.jmwh.jp/n-ninteiseido.html

・NPO法人 女性の健康とメノポーズ協会:http://www.meno-sg.net/?page_id=189

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