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<更年期>いつから始まるの?

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 女性は一生の間に、「幼年期」を経て、月経を迎える「思春期」、月経がある「性成熟期」、月経を終える「更年期」、月経を終えてからの「老年期」の五つのライフステージを経験します。今回から、平均寿命が延びる中で“セカンドライフ”の出発点として関心が高まっている「更年期」について、美咲、愛、智子、恵子の4人とともに学んでいきます。

 「更年期」は、いつ頃から始まり、どれくらいの期間続くのか。日本女性医学学会理事長で、福島県立医科大ふくしま子ども・女性医療支援センター長の水沼英樹さんに聞いた。

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Q.「更年期」って、何歳頃から始まるものなんですか?
 最近、すごく疲れやすくて、ゆううつだったり忘れっぽくなったりするんです。この感じって、更年期なんでしょうか。

更年期とは、閉経の前後約10年間をいう

 「更年期」というのは定義がきちんと決まっていて、閉経の前後5年、計約10年間のことを言います。

 女性の体は40年ほどの間、女性ホルモン(エストロゲン)に守られているということは前回にも触れましたね。エストロゲンは月経を毎月起こし、妊娠・出産に大きな役割を果たすだけでなく、肌の張りやうるおい、髪のつややかさを保ち、血管を丈夫にして動脈硬化などを予防しています。骨を丈夫にするほか、感情や自律神経の安定、記憶・認知機能の維持との関係も指摘されています。

 これらは女性ホルモンの恩恵によるものですが、やがて終わる時が来ます。つまり、卵巣の活動が次第に低下し、ついに女性ホルモンが卵巣から分泌されなくなり、月経が永久に停止します。それが、閉経です。

 閉経時期は個人差が大きく、予測ができません。医学的には、月経が1年以上ないと閉経したと見なします。後から振り返ってわかるものなのです。

智子:閉経する年齢の個人差って、どれくらいあるのかしら?

 下のグラフを見てください。少し古いものですが、女性456人の閉経年齢を分析した調査結果(1995年報告)です。40歳頃で閉経を迎える人もいれば、55歳を過ぎても月経がある人もいます。更年期は、閉経の前後約10年間に当たりますので、43歳で閉経したグラフのAさんは38歳から48歳頃、56歳で閉経したCさんは51歳から61歳頃といえるでしょう。

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日本女性の平均的な閉経年齢は50歳頃

智子:ずいぶん個人差があるんですね。それに、閉経も更年期も後付けで分かるなんて、知らなかった。グラフを見ると、50歳頃が多い感じがしますね。

 そうですね。日本産科婦人科学会では、この調査も参考にして、日本人女性の閉経年齢の中央値は50.5歳と報告しています。つまり、平均的な更年期は45歳から55歳頃と考えられます。グラフのBさんが、まさに平均的ですね。

 また、徳島大学教授の安井敏之先生らが2012年に「日本ナースヘルス研究(JNHS)」という大規模研究の調査結果を報告しています。この調査で40~59歳の看護職の女性2万4153人を分析したところ、閉経年齢の中央値は52.1歳でした。看護師だけが対象になっているという偏りはありますが、とても興味深い研究です。

智子:すると、46歳の私の場合、平均的にはぎりぎり更年期の年代に入るかどうかというところですね。私の不調は、更年期による症状なんでしょうか?

 今、智子さんは46歳で、疲れやすいなどの不調を抱えているのですよね。例えば、3年後に閉経を迎えれば、それは更年期による不調だったとなるし、55歳頃に閉経となれば別の原因によるものだったのだろうとなります。後になってみないと、更年期が原因の不調だったかは、はっきりしないものなのです。

  ただ、智子さんのような40歳代後半から50歳代前半の女性の場合、そうした不調があれば「更年期かも」と感じるのは当然ですし、一般的に、その可能性が十分ありますね。

 私は診察時に患者さんから「更年期なの?」と尋ねられたら、必ず「月経周期」が乱れていないかを聞きます。月経の変化は、卵巣機能の状態を反映しています。だから、特に大きな乱れがなければ、医学的には更年期症状ではないと考えます。仕事や家庭でのストレスなどによる自律神経失調症でも、疲れやすくなったり、ゆううつになったりしますからね。また、不調の背景に病気が隠れている場合もあるので、注意が必要な時もあります。更年期の初期のサインや症状などについては、次回以降で詳しく説明しましょう。

喫煙習慣などが、閉経年齢を早める

 先ほどの日本ナースヘルス研究では、閉経年齢を早めたり遅らせたりする要因も分析しています。それによると、喫煙習慣のある人、またBMI(身長と体重の関係から肥満度を表す指数)が低い人、つまりやせている人ほど閉経年齢は早くなっていました。若い時からの生活習慣が閉経年齢に関係しているということが分かってきたのです。

 そのほかにも、自然閉経を早める要因として、初経年齢が早い、妊娠回数が少ない、子宮内膜症と関連した不妊症になったことがあるということが示されました。

智子:閉経年齢が早いと、何が問題なのですか?

 2~3年の違いで何か問題がある訳ではなく、個人差と言えるでしょう。

 ただ、注意が必要なこともあります。冒頭でお話ししたように、女性の体はエストロゲンに守られています。閉経年齢が極端に早いと、エストロゲンに守られる時期が短くなり、閉経後に増える動脈硬化や心血管系疾患、糖尿病、骨粗しょう症などが、比較的早く発症する可能性が考えられます。海外の研究では、平均42歳と早く閉経したグループと、一般的な51歳頃に閉経したグループを追跡すると、70歳代後半になって骨粗しょう症や骨折率に差が見られたという報告もあります。

 そのため、閉経年齢が早い女性では、平均寿命が延びる中で閉経後のセカンドライフを充実したものにするためにも、生活習慣に気をつけるなどして、こうした疾患を予防していくことがより重要になってきます。

 特に、40歳未満の閉経は「早発閉経」と言って、100人に1人程度と多くはないのですが、医学的には病気と考えて女性ホルモンを補充するなどの治療が必要になってきます。また、病気で卵巣を摘出したり、がん治療などで卵巣機能を失ったりして早発閉経となった場合も、その後の対応が大切です。

 こうした研究により、若い時の健康状態や生活習慣が、更年期後の健康にどんな影響を与えるのかを解明することで、女性の一生を通した健康づくりやライフデザインに役立てることができるようになればと考えています。

(本田麻由美)

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