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健康経営推進で徹底議論…丸井グループ ~KENKO企業会から~

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 多種多様な業界から健康経営を目指そうという企業が集まった「KENKO企業会」には5月現在、59社が加入している。社員の健康向上に向けた各社の取り組みを情報共有することで、自社の健康経営を推進するためのヒントを見いだす活動を地道に続けている。独自の健康施策を行っている企業を順次紹介していく。

2年連続で健診受診率100%

 小売り店舗の「マルイ」や、クレジットカードの「エポスカード」などを全国展開する丸井グループ(本社・東京都中野区)の正社員数は約5700人。企業のイメージに対して、社員の平均年齢は男性45.3歳、女性36.4歳と意外に高い。グループの従業員に対する健康管理体制は、しっかりとした基盤が築かれている。
 丸井グループ健康推進部の関口明央チーフリーダーは、「会社と健保の心理的距離が近いことによって、相互の意思疎通がスムーズに図れる」と説明する。グループには自前の健保施設があり、社員は健康診断や人間ドックが受けられる。各地の店舗や事業所などでは、健診の巡回を実施している。2016年度には2年連続で健診受診率100%を達成した。
 メタボ対策にも力を入れている。指導対象の社員に対し、就業時間中に医師や保健師と面談できるようにするなどした結果、メタボ率は2008年度の27%から15年度には16%にまで減少した。グループと健保がタッグを組んでの健康施策は着実な成果を上げている。メタボ対策について、健康推進部の渡辺由紀リーダーは「生活習慣病の予防をしっかりやっていこうということ」と、その理由を説明する。
 社員の平均年齢が高いということは、それらの社員が退職した後の健康状態が健保財政に直結するという切迫した事情もある。社員に現役世代のうちから健康維持に努めてもらうことが、高い健康意識を持ち続けること、健保の健全経営の維持につながる。
 こうした健康対策の理由として、関口氏は「私たちが仕事をする上で健康こそが活力の基盤となる」という考え方がグループの共通認識としてあることを挙げる。「医療費削減も大事だが、社員一人一人の活力を高めて生産性を上げ、企業価値を高める」という考え方をグループ全体として持つことを目標としている。

社内プロジェクトに5倍の応募

マルイプロジェクト集合写真-補正 グループの取り組みとしてとりわけユニークなのが、昨年11月にスタートした「健康経営推進プロジェクト」=写真=だ。公募で選ばれたメンバーが「丸井グループが目指す健康とは何か?」などについて討議を交わし、その論議の結果を社員に還元しようというものだ。社員の主体性を尊重するため、メンバーは公募制にした。260人の応募者の中から51人を選抜。渡辺氏は「丸井には、新規プロジェクトに参加したい人が積極的に手を挙げる社風があり、今回は応募が5倍を超える人気プロジェクトとなった」と振り返る。

毎月1回集い、語り合う

マルイプロジェクト プロジェクトの参加者は、新入社員から52歳までいる。全国各地から集まった幅広い顔ぶれで、月に1回、丸1日をかけて健康経営推進について話し合う機会を持った。「なぜ健康であることが必要なのか?」「どのような状態を目指すのか?」「身体、頭脳、情動、精神の四つの健康をどう理解するか?」などについて徹底的に語り合った=写真=。
 また、各店舗などで現場レベルの健康志向の活動も広がっていった。都内の新宿マルイ本館や池袋マルイでは毎週、店舗の屋上でラジオ体操を行った。グループ本社では月2回のめい想体験会が開かれた。川崎市のマルイファミリー溝口では、階段利用を推進するチャレンジ企画が実行に移された。
 プロジェクトでは、8月に、健康経営について話し合った内容を管理職に伝える「全体共有会」を開催するほか、全社員を対象にしたイベントを開き、プロジェクトの取り組みを広く知ってもらう計画を立てている。

課題は、健康と仕事の関係の「見える化」

 このほか、グループでは、「レジリエンスプログラム」と題する部長クラスを対象にした研修を始め、健康への関心を高めてもらう内容を盛り込んだ。研修に参加した管理職の中には、肥満を解消したり、有酸素運動を継続したりする向きが増え、職場全体に健康づくりに対する良い影響が広がりつつあるという。
 グループ全体の取り組みが功を奏して、16年度の1人あたりの平均残業時間は約44時間、月平均3.7時間を実現。経済産業省の「健康経営優良法人2017(ホワイト500)」に選ばれるなど、高い外部評価を受けている。
 反面、課題も残っている。
まず禁煙対策が進んでいないこと。関口氏は「女性の喫煙率が比較的高く、全体の喫煙率は29%にのぼる。KENKO企業会の禁煙部会に入り、他社の例を参考に喫煙率を下げるヒントを探している」と明かす。また、健康経営への取り組みが、本当に企業の収益に結びついているのかという具体的な指標を示すことも困難だ。渡辺氏は「目で見える形で実際に利益がどのぐらい上がっているのかなどが表せたら」と話す。
 さらに担当者が目指しているのが、「健康=オシャレ、かっこいい」という新しい価値観を作り出すこと。「若い人からお年寄りまで、そして衣食住すべてが健康につながっている。マルイに行くと健康になるぐらいに思われるのが理想」と関口氏。課題はまだ多いが、グループとして健康経営に取り組む姿勢は伝わってくる。(塩崎 淳一郎)

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