高血圧をコントロールしよう

減塩のススメ~できることから少しずつ

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製鉄記念八幡病院院長 土橋卓也さん

 高血圧の発症や重症化を予防するためには、生活習慣の修正、とくに減塩がもっとも重要です。では、具体的に何をすればいいのでしょう。

高血圧の人は1日6グラムが目標

 2015年の国民健康・栄養調査によると日本人の1日当たりの食塩摂取量は男性で11.0グラム、女性で9.2グラムと報告されています。昔に比べると減ってきましたが、それでも欧米に比べると依然として多く、厚生労働省は男性で8グラム、女性で7グラムを目標として減塩に取り組むよう提唱しています。「高血圧と生活習慣~あなたは何ができますか?」でも書きましたように高血圧の方は1日6グラムとさらに低い目標を目指す必要があります。

  さて、皆さんに「食塩をどれくらいとっていますか?」と聞いてもなかなか答えられないと思います。エネルギー(カロリー)は身近なものなので、「2000キロ・カロリー以上食べたから太るかも…」などと言ったりしますが、「食塩を15グラムとったから、血圧が上がるかも…」などと話すことはないと思います。よく塩分には気をつけていて「薄味にしている」とか「みそ汁は具沢山だくさんにしている」などと言われますが、私たちが高血圧の方を対象に減塩の意識の有無と実際の食塩摂取量を調査したところ、減塩の意識がある人とない人でほとんど食塩摂取量が変わりませんでした。私たちはいろんな食材から食塩をとっていて、知らないうちにとっている食塩があるため、このような結果になるのだと思います。

日本人の食塩摂取…調味料から44%、加工品から39%

 日本人が何から食塩をとっているかについて調査した「栄養と血圧に関する国際共同研究」(INTERMAP)によると、しょうゆ、みそ、食塩など調味料から約44%、漬物、魚(干物などを含む)、パン、麺など加工食品から約39%という結果でした。家庭での調理で使う調味料に含まれる食塩と違って買ってきた食品そのものに含まれる食塩の量がわかりにくいことが、うまく減塩できない原因の一つとなっています。

 食品に含まれる塩分量は「ナトリウム」で表示されています。食塩(塩化ナトリウム)はその2.5倍ですので、手に取った食品の表示を見てもすぐに食塩含有量を理解できないことが問題でした。日本高血圧学会では消費者庁など関係省庁に「食塩相当量」での表示の義務化を申し入れてきました。2015年4月に施行された「食品表示法」で「食塩相当量」での表示が義務化され、経過措置期間を経て2020年3月までには新基準で表示されることとなりました。これによって購入した食品にどれくらい食塩が含まれるかが分かり、減塩しやすい環境となることが期待されます。

※正確には2.54だが、暗算しやすいよう2.5とした

※正確には2.54だが、暗算しやすいよう2.5とした

 「あなたの塩分チェックシート」は、食塩を多く含む食品の摂取頻度やしょうゆ、ソースなどをかける頻度、麺類の汁を飲むか、外食やコンビニ弁当を食べる頻度など食習慣に関する問題点、味の嗜好や食事の量など食塩摂取に関わる項目をチェックし、減塩のために何が必要かをわかっていただくために作成したものです。試してみて下さい。

  日本高血圧学会減塩委員会では、減塩でもおいしい減塩食品を審査し、ホームページで紹介する取り組みを行っています。現在25社、156品目を掲載していますので、心強い減塩の味方としてご利用いただきたいと思います。

塩分チェックシート

 (次回は7月17日掲載予定です)

【プロフィル】製鉄記念八幡病院(北九州市)院長、理事長  土橋卓也(つちはし たくや) さん 1980年九州大学医学部卒業、高血圧専攻。米国クリーブランドクリニック留学を経て、2003年九州医療センター高血圧内科科長、九州大学医学部臨床教授。14年1月、製鉄記念八幡病院副院長、高血圧センター長。15年4月から現職。日本高血圧学会減塩委員会委員長。
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