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[女優 南野陽子さん]50歳代は「セクシーに」(下)やんちゃな色気でなくエレガントに

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20~30歳代は「見て、聞いて」、40歳代は「人のために」

 ――先日、更年期の不調などの相談を受けているカウンセラーを取材した際、きちょうめんで、「昔はできたのに」と以前の自分と比べて頑張り過ぎちゃう人ほど、症状がひどく出がちだと感じるとのお話でした。

  そうそう。「あの頃はできたのに」と比較したって、結局、今の自分にはできなくて落ち込むだけ。だから、そうじゃなくて、肩の力を抜いて、何か言われても、「あら、そうだっけ?」と忘れちゃったフリをするくらいの方が楽だし、それでいいなって思うんです。

 私ね、小さな頃から夏休みの予定表だとか計画を立てるのが大好きだったんです。それで、ある作家さんの影響もあって、「何歳ではこうして、何歳ではどうして」って思い描いたりしてきたのです。

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――人生の計画を立てていたのですか? 例えば、どのような?

 10歳代は「夢を見ること」、20~30歳代は「見て、聞いて」といった感じで。40歳代は「人のために」。親の介護などが始まる年齢でもあるし、それと同時に、これまで自分が教えてもらったことを若い世代の人に教えてあげようとか。

 それで今、50歳代は「セクシーに」でいきたいと考えているんです。

――「セクシーに」って、どういうことなんですか?

 もちろん、やんちゃな意味の「セクシー」ではなく、むしろ「エレガントな」という意味ですけど。ある種、ゆとりのあるセクシーさです。

 若いときは、40歳代でセクシーでありたいと思っていたけれど、実際にその年齢になると、どういうことだろうと考えちゃったのと、母が亡くなり、父が倒れて、と余裕もなかった。

 それも落ち着いてきた今、50歳代でそうありたいなと。

 たとえば、日本茶を入れるとき、若い頃だったら熱湯をがーっと注ぐだけだったのに、今はお湯の温度が60度とか70度になるのをじっくり待って、丁寧に入れようと思います。別に作法にこだわった丁寧さを追求するのではなく、「おいしいお茶が入れられたらいいな」ぐらいの気持ちで。

 自分の家でアロマをたいて、好きな香りで彩るのもいいですね。

 若い頃にはなかったゆとりや雰囲気を持つことが年を重ねた女性のセクシーさなのかなと思うんです。フェロモン系のタレントさんの「セクシーさ」とはニュアンスが違いますけど(笑)。

――セクシーの基準がおもしろいですね。その「セクシー」さというのは、若い女性にはない、大人の女性の専売特許ですね。

 若い頃ならイライラしていた場面でも、「まずお茶を一服してから」というようなゆとりを持つ。忙しいのに、頭痛があったり体がしんどくて気だるかったりするとき、若い頃なら「キーッ」となっちゃうけど、静かに黙っていれば、ちょっとアンニュイでゆとりがあるように見える。無理して頑張っているのに誰も分かってくれないときだって、余裕で受け流せるようになる。

60歳になったら「若々しくスポーティーにいきたい」

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――確かに、それはある意味、セクシーなことかもしれない。

 更年期の時期を過ぎたら、55歳くらいでしょうか、また知的なことをいろいろ学びたいと思うし、60歳ぐらいになったら今度は若々しくスポーティーにいきたいです。ジーンズなんかをはいてね。65歳頃からは「健康的に」、70歳頃では「エレガントに」。今のセクシーのもう一段上の品の良さというか、にこにこと人の話が聞けるようにね。

 75歳頃になったら「謙虚に」です。人の手を借りなければならなくなる頃には、我を張っても誰も手を差しのべてくれないし、うっとうしいおばあさんにならないように。そして80歳になったら、もうシワも気にせず「自由に、私らしく」。

 きっと死ぬ間際まで試行錯誤を続けるわけだから、今の時期ぐらいは、あえて新しいことを仕掛けずに、休んでもいいのかなと思っています。

――今日はピンク色の洋服を着ていらっしゃいますね?

  昔はかわいらしくピンクを、と思っていたのですが、今はおばさんっぽく着ようと。

――全然、おばさんっぽくはないですよ。

 実際は、女子としてまだ終わりたくはないと思います。ただ、今の時代、女性は頑張り過ぎていることも感じます。仕事でもそうだけど。男性と張り合うわけではなく、女性にしかできないことを見直した方がいい。堂々とみんな自分が女性であることを認めて、実感すべきだと思うんですよ。

とにかく無理をせずに逃げ切る

――50歳代を迎えるに当たって、今、感じていらっしゃることを教えてください。

 仕事については、お話をいただければ、できる限りやりたいなとは思います。だけど、がっつかない方がいい、この年齢になると。「できます」と言って、できない方がよっぽど後味が悪いから。50歳代はいろいろなことを整える時期だと思っています。とにかく無理をせずに逃げ切る、1回休みです(笑)。それに、色気って何かなと思ったとき、やんちゃな方ではなく、何か女性ならではの甘さというか、ゆとりみたいなものを身につけてね。

 私はみなさんのお手本にはなれないことは分かっています。だから見本になれればいいですよ。

――見本……、ですか?

 こんな人もいるよっていう、女性の見本のひとつ。似たタイプの人はこういうふうに過ごしてみてはいかが、という感じですね。

(終わり)

minamino_photo200南野 陽子【みなみの・ようこ】
1967年、兵庫県伊丹市生まれ。1985年に「恥ずかしすぎて」で歌手デビューし、「楽園のDoor」「はいからさんが通る」「吐息でネット」などでオリコンシングルチャート9作1位を記録した。女優としても、デビューと同時にテレビドラマ「時をかける少女」「スケバン刑事Ⅱ少女鉄仮面伝説」に主演。これまで250作以上のドラマや舞台などに出演し、映画では「寒椿」「私を抱いてそしてキスして」(ともに1992)で日本アカデミー賞優秀主演女優賞、「三たびの海峡」(1995)で横浜映画祭助演女優賞を受賞した。2008年にファッションブランド「Actress Princess」を立ち上げた。2月に昨年のデビュー30周年記念コンサートを収録したBlu-ray&DVD「NANNO 30th & 31st Anniversary」を発売。5月から6月にかけて全国8会場で上演される「音楽劇 大悪名 ~The Badboys Last Stand!~」(http://www.co-colo.com/live/2017daiakumyou/daiakumyou.html)に出演する。
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[インタビュー]Women’s Paths