私のエイジングデザイン

香りの効果はマジック?それとも…(下) 生理周期にともなう心、体、そして肌の不調にも

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ストレスへの対応力を高める

 華やかな化粧品のイメージが強い資生堂は、女性ホルモンに着目した基礎研究にも長年取り組んでいる。女性は生理周期の変動に伴って、気持ちや体、肌の状態が大きく揺れ動く。健康で快適な日々を送るため、香りの効果を使ってどのようなサポートが可能なのだろうか。

 20代から40代の女性に対して、資生堂が「生理周期に伴うなんらかの不快な症状があるかどうか」についてアンケートしたところ、「弱い」「中程度」「強い不調」のうち、「中程度」が23%、「強い不調」と答えた人が21%を占めた。女性の半数近くが何らかの不調を感じ、5人に1人はひどく悩まされているとの結果だ。

 「卵胞期」「排卵期」「黄体期」「月経期」を循環する生理周期のうち、月経前の黄体期に入ると、様々な不快症状(PMS)が出やすくなる。PMSの発症メカニズムにはまだ不明な点もあるが、女性ホルモンのバランスが大きく変動することに、脳がうまく適応できていないことが原因の一つとも考えられている。 

  それに加え、過剰なストレスが悪さをしている可能性もある。

 資生堂ライフサイエンス研究センター先端領域研究グループの合津陽子さんは「人間の体は、ストレスがかかると、ストレスホルモンのコルチゾールが上がってくることで対応しようとします。ところが、PMS症状の強い方たちは、ストレスによるコルチゾールの上昇度合いが小さかった。そこで、ストレスに対する対応がうまくできないことが、不調の原因になっているのではないかとの仮説を立て研究を進めました」

 そこでまず、様々な香りについて、ストレスに対する応答の改善効果を調べたところ、スイートオレンジの香りに効果が認められた。

図1 次に、スイートオレンジの香りを中心にブレンドしたフレグランスを開発し、PMSを訴える人たちに2か月間にわたり使用していただいた。すると、ストレス状態が軽減されるとともに、PMS症状にも改善が認められた。さらに、肌機能の改善にもつながり、肌にも良い効果をもたらした。

 香りによるPMS症状の改善について、合津さんは「一つにはストレスへの対応力が上がったことが考えられます。ストレスホルモンは、必要な時に出て、必要がなくなれば速やかに抑えることを繰り返しています。この調節機能を香りによって潤滑にすることで、ストレス応答力が上がり、身体の機能が改善することで、様々な不快症状が改善されたと考えられます」と話す。

図2 香りの研究成果は、スキンケア製品にも応用されている。イライラが続いているときなど、過剰なストレスがかかっていると肌の状態まで悪くなることを実感している人は多い。実際、同社の研究によると、ストレス状態では、肌荒れからの回復が遅くなるが、ストレスを軽減する香りを嗅ぐことで、改善が認められる。スキンケア製品に香りの効果を加えることで、内面からの効果も期待できる。

 好きな香りに包まれて「気持ちよく」「穏やかに」過ごしていたい――。この思いは、誰もが感じる「美しく健康的に」暮らしたいという、根本的な欲求のあらわれなのかもしれない。

 (おわり)

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