高血圧をコントロールしよう

高血圧と生活習慣~あなたは何ができますか?

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製鉄記念八幡病院院長 土橋卓也さん

 4月号の本コラムで高血圧の発症には遺伝的要因と環境要因が関与することを書きました。では、高血圧にならないために、すでに血圧が高い方は重症化しないために、何を心がければいいのでしょうか。

もっとも重要なのは食塩の制限、1日6グラム未満

 日本高血圧学会による高血圧治療ガイドラインでは高血圧に対する生活習慣の修正項目を6項目提示しています。その中でもっとも重要なのはナトリウム(食塩)の制限です。ガイドラインでは1日の食塩摂取量を6グラム未満にするよう提唱しています。一方、野菜や果物に多く含まれるカリウムは腎臓からナトリウムを排出する働きがあるので、積極的に取りましょう。ただし、腎臓が悪く、カリウムを制限する必要がある方や糖尿病があって果物の摂取がカロリーの増加につながる方は注意が必要です。

 肥満の診断は、体重[kg]÷(身長[m])²で計算されるBMI(Body Mass Index)の値で行い、25以上の方が肥満と診断されます。例えば、身長が170センチの人が肥満と診断されるのは、体重が72.3キロ以上です。

高血圧に対する生活習慣

 肥満の方の血圧を低下させるには減量が効果あります。習慣的に運動すると、カロリーが消費され痩せるので、高血圧には有効です。運動の効果は、たとえ体重が減少しなくても血圧低下が期待できます。運動によって、腎臓から体内のナトリウムを体外に排出させるホルモンが増え、血圧を上昇させる交感神経の働きが低下するので、血圧が下がることが分かっています。

毎日30分の有酸素運動を心がける

 ウォーキング、ジョギングなど毎日30分の有酸素運動を心がけましょう。運動の強さは脈拍が指標となります。通常安静にしている時の脈拍は1分間に60~80ぐらいですが、運動をすると脈拍数が上昇します。例えば40~50歳代の方は120~130程度、60~70歳代の方だと110前後の脈拍数が目安となります。ただ、不整脈がある方や脈拍を下げる薬(βべーた遮断薬など)を服用している方は脈拍数が運動の強さの目安とはなりませんので注意が必要です。自覚的には「汗ばむ」程度、「少し息が上がっていても話はできる」程度が適度な運動と言えます。高齢化社会を迎えた現在では、身体を動かすのに必要な運動器の機能が低下するロコモティブシンドロームが問題となっています。ストレッチなどで柔軟性を高めたり、階段昇降や早足歩きなどで身体活動量を上げたりする工夫も必要です。

 お酒を飲む方は1日の量をビールで中瓶1本程度、日本酒なら1合以内に抑えることが必要です。晩酌習慣のある方は、飲酒後の血圧は低下する一方、翌朝の血圧は上昇することが知られていますので、朝の血圧に要注意です。

健康長寿のために禁煙は不可欠

 喫煙は高血圧によって起こる脳卒中、心筋梗塞など心血管病に対するリスクを増加させますし、がんのリスクとなることも明白ですので、健康長寿のために禁煙は不可欠です。

複合的な生活習慣の改善が効果的

 これまでに述べた生活習慣の修正項目の一つ一つによる降圧効果はそれほど大きくありません。しかし、複合的に行うことにより効果が増すことが分かっていますし、何よりも健康寿命の延伸のために必要な項目ばかりですので、高血圧の有無にかかわらず、家族皆さんで取り組んでいただきたいと思います。

 高血圧に良い生活習慣の各項目については、次回以降で詳しく解説いたします。

 (次回は6月17日掲載予定です)

【プロフィル】製鉄記念八幡病院(北九州市)院長、理事長  土橋卓也(つちはし たくや) さん 1980年九州大学医学部卒業、高血圧専攻。米国クリーブランドクリニック留学を経て、2003年九州医療センター高血圧内科科長、九州大学医学部臨床教授。14年1月、製鉄記念八幡病院副院長、高血圧センター長。15年4月から現職。日本高血圧学会減塩委員会委員長。
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