【特集】睡眠のヒント

年をとってからの睡眠に役立つ知識

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

~田中美加さん(北里大看護学部教授)の睡眠教育~

 睡眠は年齢とともに変化してきます。年を重ねると眠りは浅く、短くなります。若い頃のようにぐっすり、長く眠ろうと思っても、そうはいきません。でも、翌日、日中の眠気で活動に困るようなことがなければ、必要な睡眠はとれているということです。年をとってからの睡眠について知っておくと役に立つ知識を、北里大看護学部の田中美加教授に紹介していただきます。

1.若い人の睡眠

 眠っている間、深い睡眠と浅い睡眠を繰り返します。ひとつのサイクルは90分ぐらいです。深い睡眠で脳を休め、浅い睡眠で体を休めます。睡眠には、脳の疲れをとり、体を守る免疫を活性化するといった働きがあります。

若い人の睡眠

 

2.高齢者の睡眠

 赤い線が高齢者の睡眠のリズムです。年をとってくると、睡眠は全体的に浅くなり、ぐっすりとした睡眠がなくなります。床にく時間が早くなり、早く目が覚めます。年齢とともに目覚める時間が早くなる傾向がありますが、特に男性の方がより朝型になります。

高齢者の睡眠

 

3.高齢者の睡眠の悪循環

 眠りが浅くなると、目覚めやすくなり、早く眠くなるので早く床に入るという悪循環に陥って、「よく眠れない」という感じを持つようになることが多くあります。

高齢者の睡眠の問題

 

4.良い睡眠にするための三つのポイント

 良い睡眠を取り戻すために心がけたいことを紹介します。大きく分けて三つのポイントがあります。

 その1は、できるだけ遅く布団に入るようにすること。遅寝のすすめです。眠気が強くなってから布団に入ると、深い眠りに入りやすくなります。ぐっすり眠ると休養感が増します。

 その2は、できるだけ昼寝をせず、昼寝をする場合も、30分以内に抑えることです。長い昼寝は夜の眠気を妨げてしまいます。テレビを見ながらのうとうと寝も同じです。意識して長い昼寝やうとうと寝を避けましょう。

 その3は、眠りを邪魔するものを避けること。コーヒーや緑茶、紅茶などに入っているカフェインは眠気を抑えてしまいます。しかも作用は人によって、4時間から8時間残ります。ですから、午後3時のお茶の後は、麦茶やハト麦茶などノンカフェインの飲み物にしましょう。これを徹底するだけで、眠りやすくなります。

 アルコールにも注意が必要です。お酒は、寝つきをよくしますが、眠りを浅くして途中で目が覚めやすくなります。

 脳梗塞の予防にと、寝る前に水を飲む方がいますが、予防の効果の方ははっきりしていません。ですが、夜間にトイレで起きることになるかもしれません。

 大切なのは、リラックスして布団に入ることです。

眠りを邪魔する

 

5.睡眠時間の長さにこだわらない

 平均睡眠時間は、25歳で7時間半、45歳で6時間半、65歳で6時間、75歳では5時間台です。「8時間睡眠が健康」なんていうことはありません。必要な睡眠時間は人それぞれ。日中にひどい眠気で困るようなことがなければ問題はありません。若い頃のように眠るのは無理です。長く寝ようとすればするほど、良い睡眠は逃げていきますよ。

 

北里大学看護学部看護学科教授
田中美加(たなか・みか)
【略歴】2004年東京大学医学系研究科博士課程修了。企業の保健師を経て、2013年東海大学健康科学部看護学科准教授、2015年より現職。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

インタビュー/コラム