[プロ野球解説者 江本孟紀さん](1)今の野球選手はラクしているから、みんな糖尿になるぞ

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江本 孟紀さん

――現役時代からプロ野球選手としてスリムな体形で、今もスラリとされたままです。糖尿病と聞いて意外な気がします。

 自覚症状は何もないので、実感はまったくありません。それでも検査をするとヘモグロビンA1cが7.8ぐらいになりますので、やはり糖尿病です。それに現役時代に比べると体重は10キロぐらいは増えているんですよ。選手のころは77~8キロぐらいでした。引退後、もっとも多かった時には94キロぐらいはありましたから。

――身長190センチに対して80キロ以下では、プロ野球選手としては痩せすぎだったのではないですか?

 そんなことはありません。いいバランスだったと思います。今の選手たちは体重を増やしすぎですよ。無駄な筋肉が付きすぎている。最近のピッチャーは僕が投げていた時代の年間の投球数に遠く及びませんからね。僕らの時のほうがスタミナはあったわけです。逆に言えば、それだけ自分の体を絞っていたのに、34年前から急にやらなくなった。食べる量と運動量のバランスが悪くなったわけです。糖尿病の原因はこれです。

――糖尿病と診断されたのはいつごろですか?

 10年ぐらい前です。健診の数値で糖尿病を指摘されました。肝臓も腎臓も問題ないですし、内臓脂肪も非常に少ない。健康診断ではヘモグロビンA1cの項だけに「高め」を示す「H」の印がつくわけです。

――自覚症状が少ない病気ですからね。

 そうそう。いつか合併症を引き起こす可能性があるから数値を下げなければならない。

――糖尿病は高血圧を合併しやすいと言われますが?

 血圧はむしろ低いほうです。コレステロールも問題ない。健診ではすべて標準の範囲内におさまっています。

――ご両親に糖尿病はありましたか?

 母親は80歳過ぎてから糖尿病を発症したようです。若い頃にはまったく糖尿の気配もありませんでした。86歳で亡くなりましたが。ある程度、遺伝的な要素はあるのかもしれませんが、僕が糖尿病になった理由は間違いなく食べ過ぎです。体を動かす運動量と食事量のバランスが悪くなったことにつきます。

――現役時代はかなり食事量も多かったと思いますが。

 そうですね。食べなければスタミナがつかなかったですから。実際には試合で投げた後は食べられなかったですけどね。

――当時は今ほどの投手分業制が確立されていなかったので、先発ピッチャーは常に完投を目指していましたよね。

 そうです。夏場なんか、試合で投げるとその後はほとんど食べられなくなりました。よれよれになりました。今の選手はラクしているから、プリプリ太っている。「みんな糖尿になるぞ」と言っているんですが。

 我々は現役時代には、いつも体をギリギリに絞ってやっていたので、選手生活を終えると逆に運動拒否症みたいになっていました。運動してもお金にならないし。昔は生活するために体を絞っていたわけです。それがなくなると怠けていきますよね。

 国会議員を辞めるころに体重が増え、血糖値も上がってきたので、気をつけるように医師から言われました。基準値よりも少し上がっただけなのに、かなり脅かされました。そんなことは初めての経験だったので、すごく怖かったですね。

 それで一時、がんばって体重を絞ったりもしましたが、症状がないから長く続かないんですね。糖尿の一番厄介なのはそこです。病名がついても、痛くも苦しくもない。

(聞き手・染谷 一)

江本 孟紀(えもと・たけのり)プロ野球解説者。元参議院議員
 1947年7月22日高知県生まれ。高知商業高、法政大、熊谷組を経て、東映フライヤーズ(現北海道日本ハムファイターズ)、南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)、阪神タイガースで活躍。92年、参議院議員初当選。2001年1月には参議院初代内閣委員会委員長に就任。現在はテレビ、ラジオ、新聞などでプロ野球解説者として活動中。
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