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医療大全

肥大型心筋症

肥大型心筋症

ひだいせいしんきんしょう
Hypertrophic cardiomyopathy

【初診に適した診療科】
循環器科、内科
【どんな病気か】
肥大型心筋症は、心筋の細胞が大きくなって、とくに心室の心筋があちらこちらで部分的に厚くなる心筋症です。心筋が厚くなると、心臓内部の空間が狭くなって、心臓は十分な量の血液を送り出せなくなります。厚くなる部分が心室上部の流出路付近にある場合には血液の出口を狭めてしまい、さらに血液を送り出しにくくなります。このような状態の有無で、閉塞性肥大型心筋症と非閉塞性肥大型心筋症に分類されます。
 閉塞性肥大型心筋症の場合、流出路に近く、また心筋が厚くなるほど重症になります。非閉塞性心筋症のなかに、とくに心臓の底の部分(心尖部)の心筋が厚くなる心尖部肥大型心筋症と呼ばれるものがあり、日本人によくみられます。
【原因は何か】
特定の原因がはっきりしていないため、診断は高血圧、大動脈弁疾患、先天性心疾患、貧血、甲状腺機能亢進症など心肥大を来すさまざまな疾患を除外することによって行われます。最近、肥大型心筋症と遺伝子異常の関係が確認されています。また、遺伝子異常の種類と生命予後との間には一定の関連があることも明らかになっています。
【症状の現れ方】
重症になると運動した時などに動悸(どうき)や息切れ、胸痛などを感じることがありますが、多くの場合、自覚症状が出ることはありません。自覚症状がないまま、突然死するケースもあります。閉塞性肥大型心筋症の場合、失神発作が発見のきっかけになることもあります。
【治療の方法】
β遮断薬やカルシウム拮抗薬、ジソピラミド(リスモダン)などの薬剤が処方されます。これらは心臓の弾力性を保ったり、左心室の流出路の狭窄(きょうさく)を軽減したりする目的で用いられます。軽症の場合は薬物治療により多くの例で失神などの症状をなくすことが可能ですが、重症患者では効果が得られないことも少なくありません。
 左心室の流出路付近が狭まる閉塞型心筋症については、かつては手術が多く行われていましたが、最近では、手術療法に代わる治療法としてペースメーカーの植え込みによる治療が行われます。植え込み後は、ほとんどの症例で短期間のうちに失神発作などの症状がなくなります。

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