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医療大全

肺血栓塞栓症、肺梗塞症

肺血栓塞栓症、肺梗塞症

はいけっせんそくせんしょう、はいこうそくしょう
Pulmonary thromboembolism, Pulmonary infarct

【初診に適した診療科】
呼吸器科、呼吸器科
【どんな病気か】
心臓から肺へ血液を運ぶ肺動脈に、塞栓子(そくせんし:血液の塊り、脂肪の塊り、空気、腫瘍細胞など)が詰まり、肺動脈の流れが悪くなったり閉塞(へいそく)してしまう病気を広く肺塞栓症といいます。このなかで血液の塊り(血栓)が原因で起こったものを肺血栓塞栓症と呼び、肺塞栓症の大部分はこれにあたります。 一方、肺梗塞症は、肺塞栓症によって肺組織への血流が途絶え、その結果、その部分から先の肺が壊死(えし:組織が死んでしまうこと)してしまった状態をいいます。
【原因は何か】
最も多いのは、下肢(脚)の静脈内でできた血栓が原因となるものです。近年問題になっている「エコノミークラス症候群」もこのひとつです。海外旅行などで飛行機から降りようと立ち上がった時に、血栓が血液の流れに乗って移動し、肺動脈を閉塞するというものです。病気や手術のため長い間寝たきりの人なども、同じように血栓をつくりやすい傾向にあります。 下肢の屈伸運動をする、長時間の座位を避ける、脱水にならないように水分を十分にとることが予防になります。
【症状の現れ方】
肺血栓塞栓症の3つの徴候として、突然の胸痛、呼吸困難、頻呼吸(ひんこきゅう:呼吸回数が多い)があげられます。血栓が小さい場合には症状がないこともあります。しかし、血栓が大きく、太い血管に詰まった場合には、ショック状態となり死に至ることもあります。肺梗塞症を合併すると胸痛のほかに、血痰や発熱、発汗が現れます。
【治療の方法】
○発症直後の治療…抗凝固薬(血液が固まらないようにする薬)を点滴静注で使います。重症の場合にはt-PAといった血栓溶解薬を使って積極的に治療します。そのほかに、手術やカテーテルで血栓を取り除く方法もあります。
○病状安定後の治療…予防的治療として抗凝固薬(ワルファリン)の内服を少なくとも6カ月、危険因子をもつ人は一生涯服用します。下大静脈にフィルターを留置して肺動脈に血栓が流れ込むのを予防する方法もあります。
【病気に気づいたらどうする】
肺血栓塞栓症は、急性期の死亡率が約10%と高く、救急の病気です。できるだけ早く循環器内科や呼吸器内科を受診することが必要です。

(C)法研

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