認知症
認知症の5割を占めるアルツハイマー型では、物忘れが目立つようになる。前日の知人との会話の内容などを忘れてしまうのは、老化による物忘れで問題ないが、認知症では、知人と会話したことや、会ったこと自体を忘れてしまう。次第に時間の感覚や季節感もなくなり、場所の感覚が失われていく。そのため、はいかいなどが目立つようになる。脳梗塞などから起こる脳血管性とレビー小体型も、それぞれ認知症の2割を占める。レビー小体型では物忘れは目立たず、「部屋の隅に子供が見える」などの幻視が起こることが多い。筋肉が固くなったり、体の動きが遅くなったりするパーキンソン症状が現れることもある。アルツハイマー型とレビー小体型は、脳内にゴミのようなタンパク質がたまり、脳機能が悪化して起こる。その他の1割に含まれる病気で代表的なのが、ピック病。脳の前頭葉と側頭葉の異常で起こり、同じ行動を繰り返すのが特徴。自分のひざや、隣の家族の肩をたたき続けたり、同じ所をぐるぐる回ったりする。食べ物でも、特に甘い物を食べ続けるような繰り返し行動がみられる。万引きや車での暴走など、反社会的な行動が現れることもある。治療では認知症の進行をゆるやかにする薬が投与されることが多い。だが、進行を止めることは難しく、周囲の関わり方が重要になる。
【診療科】神経科、神経内科、精神科、脳神経外科、老年科