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医療大全

低血糖症

低血糖症

ていけっとうしょう
Hypoglycemia

【初診に適した診療科】
内科
【どんな病気か】
血糖値の正常な変動幅は、だいたい70~120mg/dlの間におさまっています。血糖値がこの正常な変動幅を超えて低いほうに傾き、それによる症状が現れた時、低血糖症といいます。
【原因は何か】
外因性の原因として多いのは、糖尿病治療薬(インスリンや経口血糖降下薬)によるもの、アルコール摂取(とくに空腹時の)によるもの、抗不整脈薬などの薬剤によるものなどです。 内因性の原因として、反応性低血糖と呼ぶもの(胃切除後のダンピング症候群や胃下垂(いかすい)の人、またインスリン感受性の高い人)がありますが、食事のとり方に注意することで予防することができます。
 治療が必要な内因性低血糖の第1はインスリノーマ(膵臓β細胞の腫瘍性増殖)、第2に平滑筋肉腫や肝がんなどの腫瘍によるもの、第3はインスリン自己免疫症候群です。インスリン自己免疫症候群とは、インスリン注射の治療をしたことがないのにもかかわらず自発性低血糖を起こし、血中に大量のヒトインスリンと、このインスリンの90%以上と結合した抗体がある疾患です。
【症状の現れ方】
一般に自律神経症状と中枢神経症状とに分けられます。血糖値が急激に下がる時は自律神経症状が強く、血糖値が緩やかに下がる時は中枢神経症状が強く出ます。
 自律神経症状は、空腹、発汗、震え、不安、動悸、口唇乾燥などです。中枢神経症状には、意識の混乱、おかしな行動、集中力の散漫、眠気、発語困難、頭痛、複視、けいれん、昏睡(こんすい)などがあります。
 そのほかに無自覚性低血糖があります。本人が低血糖症状を発しない(狭義には低血糖症状を自覚できない)、他人の介助を必要とするものをいいます。糖尿病神経障害が存在したうえに無自覚性低血糖が起きると、生命に危険を及ぼすこともあります。
【治療の方法】
低血糖に対してはブドウ糖の静脈注射、グルカゴンの筋肉注射または皮下注射を行います。インスリノーマに対しては腫瘍を切除します。インスリン自己免疫症候群に対しては分割食(1日6回の食事にする)、さらにα‐グルコシダーゼ阻害薬の投与が有効です。

(C)法研

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