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医療大全

ウィルソン病

ウィルソン病

ウィルソンびょう
Wilson disease

【初診に適した診療科】
内科、消化器科
【どんな病気か】
ウィルソン病は、遺伝に基づく先天性銅代謝異常症です。銅が全身の臓器、とくに肝、脳、角膜、腎などの細胞内に過剰に沈着して起こる細胞障害、臓器障害によってさまざまな臨床像を示します。肝障害と脳幹基底核変性に基づく症状が特徴的なため、肝―レンズ核変性症とも呼ばれています。
【原因は何か】
ウィルソン病は常染色体劣性遺伝形式に基づいています。保因者は日本では100~150人に1人と推定され、決してまれな病気ではありません。保因者の頻度は近親婚率によって左右されます。
【症状の現れ方】
多様な臨床症状を示します。とくに肝硬変、錐体外路症状(構音障害・嚥下障害、振戦、不随意運動、筋緊張亢進など)、カイザー・フライシャー角膜輪(角膜周辺に銅が沈着して1~3mm幅の暗褐色の輪が認められる)の古典的な3主徴のほか、精神症状、腎尿細管障害、造血障害、骨異常など種々の症状を伴うのが特徴です。
 ウィルソン病の原発臓器である肝臓の障害は、大きく劇症肝炎型(急性発症型)と慢性肝炎型に分けられます。後者は、脂肪変性から始まって慢性肝炎の時期をへて、徐々に経過しながら10~20年後に肝硬変になります。
 好発年齢は、5~20歳ころまでですが、30~40歳で発症することもあります。銅の過剰蓄積は肝臓から始まるため、通常、肝障害が神経症状に先行します。一般に、10歳以下の若年発症のウィルソン病で肝障害が多いのはこのためです。
 その後年齢とともに、肝臓のほかに、脳幹基底核、腎、角膜への銅過剰蓄積が始まります。したがって、10歳以降では神経・精神症状での発症が多くなります。
【治療の方法と予後】
治療の基本方針は、銅の排泄促進を図ることです。早期に発見して早期に適切な治療を行えば、銅代謝異常をコントロールすることが可能であり、予後を十分に改善できます。
 食事療法では、銅含有量の多い食物(たとえば貝類、レバー、チョコレート、キノコ類など)を制限して低銅食(1日1.5mg以下)にします。薬物療法では、体内にたまった銅の除去、銅毒性の減少を目指して、銅排泄促進薬(キレート薬)による治療が、発症予防を含めて第一選択になります。どちらの療法も生涯にわたって必要な治療であり、納得して治療に専念することが大切です。

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