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医療大全

咽頭炎

咽頭炎

いんとうえん
Pharyngitis

【初診に適した診療科】
耳鼻咽喉科
【どんな病気か】
咽頭は鼻腔や口腔の奥にある部分で、ここには咽頭扁桃(へんとう)や口蓋(こうがい)扁桃、口蓋垂(すい)などが存在しています。咽頭炎とは咽頭に起こった炎症のことです。ただし、口蓋扁桃に強い炎症のある場合には、扁桃炎という別の病名で呼んでいます。
【原因は何か】
急性咽頭炎は、アデノウイルス、コクサッキーウイルスなどのウイルス感染や、A群β(ベータ)溶血性連鎖球菌(溶連菌)、インフルエンザ菌などの細菌の感染によるものが一般的です。
 慢性咽頭炎は、急性咽頭炎が治りきらなかったり、たばこの煙、お酒などが慢性的に咽頭を刺激したりすることによって起こります。
 咽頭特殊感染症は、クラミジア、梅毒トレポネーマ、結核菌、ジフテリア菌などの特殊な病原体が原因です。これらの感染症は社会環境の変化などにより近年増加の傾向にあり、問題になっています。
【症状の現れ方】
急性咽頭炎では、咽頭の痛みが急激に現れ、そのほか全身倦怠感(けんたいかん)、頭痛、発熱などを伴うこともあります。溶連菌感染の場合、全身に発疹の現れることがあり、猩紅熱(しょうこうねつ)と呼ばれます。
【治療の方法】
よくうがいをして咽頭を清潔に保ち、喫煙、飲酒などもひかえ、刺激を与えないようにします。痛みや発熱に対しては解熱鎮痛剤を用います。抗生剤は、細菌感染が明らかな場合以外には用いる意義は少ないと考えられますが、溶連菌感染の場合には合併症を防止するために、十分に使用する必要があります。
 咽頭特殊感染症では、それぞれの原因微生物に対する治療をします。
【病気に気づいたらどうする】
がまんできる程度の痛みの場合には、うがいなどをして様子をみてもよいと思います。しかし、唾液が飲み込めないほどの痛みであったり、発熱を伴う場合には医師の診察が必要です。
 咽頭特殊感染症は一般的な診察や検査では普通の咽頭炎との鑑別が難しいことも少なくありません。咽頭の症状がなかなか改善しない場合には、特殊感染症に対する検査が必要になることもあります。病原体保有者と接触した可能性がある場合には、その旨を医師に伝えておくことも大切です。

(C)法研

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