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医療大全

髄膜炎・脳炎

 髄膜炎は、脳や脊髄(せきずい)を覆っている膜に細菌やウイルスが感染し、炎症を起こす病気。ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)の場合は自然に治ることも多いが、細菌性髄膜炎(化膿(かのう)性髄膜炎)は重症化する場合も多い。細菌性髄膜炎の約6割がHib(インフルエンザ菌b型)によって引き起こされ、5歳未満の乳幼児2000人に1人が発症する。患者の5%が死亡、25%に後遺症が残る深刻な病気だ。Hibワクチンは先進国では日本だけ承認されていなかったが、2008年12月、ようやく発売された。

 【症状】頭痛や発熱、おう吐など。細菌性の場合、ひきつけを起こすこともあり、悪化すると、発育の遅れや聴力障害などの後遺症が残ったり、死亡したりする。

 【診療科】小児科、内科、神経内科、脳神経外科

髄膜炎・脳炎

ずいまくえん・のうえん

【初診に適した診療科】
神経内科、内科、小児科
【どんな病気か】
髄膜炎は持続する頭痛を主な症状とし、発熱、項部(こうぶ:うなじ)硬直などの髄膜刺激症状、髄液細胞増加などが認められます。脳炎は、脳実質の炎症を主体とし、発熱、意識障害、けいれん、髄膜刺激症状などがみられます。これらは、両者を合わせた髄膜脳炎としてみられることがあります。
 一般的に予後が悪く、早期の診断、治療が大切です。
【原因は何か】
病原にはさまざまなウイルス、細菌、寄生虫などがあげられ、他臓器での感染巣からウイルス血症、菌血症として、あるいは特発性に髄膜腔や脳実質へ侵入するといわれています。病因からみた主な髄膜炎は、ウイルス性、細菌性、結核性、真菌性で、このほか、寄生虫、髄膜がん腫症(がん性髄膜炎)などによる髄膜炎もあります。
 急性脳炎では単純ヘルペスウイルスによる単純ヘルペス脳炎の頻度が高く、日本では年間で約400例の発症とされます。日本脳炎の場合7~9月に数例の小流行がみられます。このほか、インフルエンザ、風疹、麻疹などに伴う急性脳炎・急性脳症(二次性脳炎)などがあります。
【症状の現れ方】
発熱、頭痛、意識障害、けいれんなどが急性に現れたか、あるいは亜急性、慢性に起こってきたかに注意する必要があります。細菌性髄膜炎やウイルス性髄膜炎・ヘルペス脳炎では急性に起こり、結核性・真菌性髄膜炎では亜急性であり、遅発性ウイルス感染症では慢性に数年かけて発症するとされています。
【治療の方法】
各種髄膜炎・脳炎には、それぞれの原因に対し特異的な治療があります。髄液検査の所見から細菌性髄膜炎が疑われた場合には、起炎菌の同定(突き止めること)結果を待つことなく抗菌薬投与を開始する必要があります。
 結核性・真菌性髄膜炎には、抗結核薬、抗真菌薬を使います。ヘルペス脳炎が疑われる場合、アシクロビルの点滴静脈注射が行われます。
【病気に気づいたらどうする】
診断には髄液検査、頭部CT・MRI・脳波検査、病原検査が必要であり、加えて意識障害、けいれん、呼吸管理などに迅速に対応できる高次医療機関の神経内科、感染症科などの内科、小児科の受診をすすめます。

(C)法研

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