文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

医療大全

子宮内膜増殖症

子宮内膜増殖症

しきゅうないまくぞうしょくしょう
Endometrial hyperplasia

【初診に適した診療科】
婦人科、産婦人科
【どんな病気か】
子宮内膜が過剰に増殖し、内膜の肥厚と内膜腺の形態異常を起こす疾患です。上皮細胞の細胞異型(いけい)の有無により、子宮内膜増殖症と子宮内膜異型増殖症に分類されています。さらに、腺構造の異常の程度により、それぞれ単純型と複雑型に分けられ、4つの型に分類されています。
 これらの病変は、一部は子宮体がんに進行することもあります。とくに子宮内膜異型増殖症では、約30%ががん化すると報告されており、注意が必要です。
【原因は何か】
2種類の女性ホルモンのうちプロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌されない状況で、ある一定濃度以上のエストロゲン(卵胞ホルモン)のみが子宮内膜へ長期間持続的に作用すると、内膜の過剰増殖を引き起こします。
 エストロゲン分泌があまり低下していない多嚢胞性卵巣症候群のような卵巣機能不全の場合には、排卵後に分泌される黄体ホルモンが欠如して子宮内膜増殖症を起こすことがあります。 また、閉経前後に卵巣機能が低下し、無排卵の場合にも時々起こります。ホルモン剤治療として、黄体ホルモンを併用せずにエストロゲンのみを長期投与されている場合や、まれにエストロゲン産生卵巣腫瘍などでも起こります。
【症状の現れ方】
不正性器出血が、ほとんどの例でみられます。
【治療の方法】
異型のない子宮内膜増殖症ではがん化率は低いので、基本的には経過観察となります。若年者で排卵障害が原因と思われる場合は、排卵誘発療法を行います。ほかに、周期的黄体ホルモン療法を行うこともあります。 子宮内膜異型増殖症の場合には、子宮内膜全面掻爬や子宮鏡検査などにより子宮体がんに進んでいないことを確認したうえ、子宮全摘術を行います。妊孕性(にんようせい:妊娠できること)の温存を強く希望する場合には、高用量の黄体ホルモン療法を施行することもあります。

(C)法研