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医療大全

耳介軟骨膜炎

耳介軟骨膜炎

じかいなんこつまくえん
Perichondritis

【初診に適した診療科】
耳鼻咽喉科
【どんな病気か】
耳介は、軟骨の上に薄い皮下組織をおいて皮膚におおわれています。とくに耳介前面は皮下組織が少ないために、感染や機械的刺激により炎症が軟骨膜に容易に及びます。ひとたび軟骨膜に炎症が及ぶと耳介全体に波及し、耳介の腫脹(はれ)・血腫・変形を来します。
【原因は何か】
耳介の外傷(虫刺され、裂創、打撲、圧挫(あつざ))や感染に続いて発症します。ヘルメット着脱時の圧挫に伴う耳介血腫(じかいけっしゅ)およびピアスなどの機械的刺激に感染が加わり、耳介軟骨膜の炎症と、それに起因する軟骨膜下の浮腫(むくみ)や滲出液(しんしゅつえき)および出血が生じます。
 感染の原因菌はグラム陰性菌、とくに緑膿菌(りょくのうきん)が多いとされます。
【症状の現れ方】
感染初期は耳介表面の発赤と軽度の腫脹ですが、徐々に増強して、厚ぼったい感じになります。腫脹の度合いに応じて灼熱感や痛みを伴うことが多く、初期の処置が奏効しないと、発赤・腫脹が進行し軟骨膜の肥厚や軟骨の変形を生じます。
【治療の方法】
できるだけ早期に炎症を鎮めなければ耳介の変形を来すので、広域スペクトラム抗生剤(効く菌の範囲が広い)と消炎鎮痛薬の投与および局所の冷却に努めます。炎症が高度の場合は、副腎皮質ステロイド薬の全身投与や軟膏塗布・局所注射などが必要になります。
【病気に気づいたらどうする】
耳介がはれたら、まずはアイシング(冷却)が基本です。ただし、直接氷温で冷やすと低温やけどや凍傷が生じるので、氷が直接患部に接しないようにしてください。

(C)法研