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医療大全

細菌性尿路感染症

細菌性尿路感染症

さいきんせいにょうろかんせんしょう
Bacterial urinary tract infection

【初診に適した診療科】
小児科
【どんな病気か】
腎臓の腎盂(じんう)から尿管、膀胱(ぼうこう)へと続くおしっこの通り道を尿路といいますが、そのなかに細菌が入り込んで炎症を起こす病気を細菌性尿路感染症といいます。
【原因は何か】
細菌は、例外的に血液のなかを回って腎盂に直接入ることもありますが、尿の通る方向とは反対に、おしっこの出る尿道口から侵入した大腸菌が原因になることがほとんどです。
 女児のほうが尿道が短いために細菌が入りやすいのですが、まだおちんちんの皮がむけていない男児の場合も、包皮と亀頭(きとう)の間に垢(あか)がたまって細菌が入りやすい状態になっています。したがって何らかの理由で尿が逆流したり、停滞した状態が続くと、菌が侵入したり繁殖しやすくなって感染を起こします。
 尿路に先天的な奇形があり、そのために尿路感染症を繰り返す場合もあります。
【症状の現れ方】
尿路感染症は尿路のどこで炎症が起きているかで、膀胱炎や腎盂腎炎などに分けられます。膀胱炎では尿が黄色くなる、においがする、尿の回数が増える、排尿時に痛みがあるなどの膀胱刺激症状といわれる症状が起こりますが、腎盂腎炎ではかぜ症状がないのに突然38.5℃以上の発熱がみられ、嘔吐や下痢を伴うこともあります。
【治療の方法】
膀胱炎なら抗生剤の内服で治りますが、腎盂腎炎の場合には入院のうえ、抗生剤の点滴治療が必要になります。また、先天的な尿路の奇形(尿路のどこかが狭い先天性水腎症や、膀胱の尿が尿管や腎盂に逆流してしまう膀胱尿管逆流現象)が原因で尿路感染症を繰り返す子どもでは、それらに対する手術を行うこともあります。
【病気に気づいたらどうする】
乳児の細菌性尿路感染症のほとんどは便に含まれる大腸菌が尿路をさかのぼって起こるので、再発を防ぐには「うんちがでたら早めにおむつを交換する」「女の子のおしりを拭く時は前から後ろに拭くよう心がける」などに注意します。
 おしっこの流れが滞ると細菌も繁殖しやすくなります。膀胱炎や腎盂腎炎にかかったら、たっぷりと水分を補給します。尿量が増えておしっこがたくさん出ると菌もいっしょに排出される効果があります。

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