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医療大全

結節性多発動脈炎・顕微鏡的多発血管炎

結節性多発動脈炎・顕微鏡的多発血管炎

けっせつせいたはつどうみゃくえん・けんびきょうてきたはつけっかんえん
Polyarteritis nodosa (PN), Microscopic polyangitis (MPA)

【初診に適した診療科】
内科、泌尿器科、リウマチ科
【どんな病気か】
結節性多発動脈炎(PN)は、主に中等度の太さ(中型)の動脈の動脈壁に炎症が生じる病気です。全身の諸臓器に分布する血管に動脈炎が生じるため、多様な症状を示します。
 一般に抗好中球(こうちゅうきゅう)細胞質抗体(ANCA)陰性で中型の動脈炎を生じるものを古典的多発動脈炎(cPN)といい、ANCA陽性で中・小型動脈から静脈までの血管炎を生じるものを顕微鏡的多発血管炎(MPA)と分類します。
【原因は何か】
原因はわかりません。男性にやや多く、MPAは高齢者に多く認められます。
【症状の現れ方】
cPN・MPAともに高熱(38℃以上)、体重の減少、関節痛、紫斑(しはん)、皮膚の潰瘍、貧血、胸痛、腹痛、血痰(けったん)、高血圧、脳出血・脳梗塞、腎機能の低下、血尿・蛋白陽性・潜血(せんけつ)反応陽性などが認められます。重い症状として、MPAでは腎機能の低下、腸出血、肺出血があります。
【治療の方法】
cPN・MPAともに入院し、大量のステロイドで治療を開始し、以後、薬の量を減らしていきます。同時に免疫抑制薬のシクロホスファミド(エンドキサン)を約6カ月間服用します。腎不全時には、血液透析(とうせき)を受けます。
 cPN・MPAともに診断6カ月未満の死亡率が高くなっています。予後は決してよいとはいえません。感染症、肺出血、腎不全が主な死亡原因です。
【病気に気づいたらどうする】
生命や臓器不全の危険性があるので、専門医の意見を聞き、入院治療を受けることが重要です。早期診断・早期治療が望まれます。膠原病(こうげんびょう)内科、腎臓内科などを受診してください。さまざまな病態・症状のため専門医による指導を守ることが大切です。 なお、この疾患は、国の特定疾患(難病)に指定されています。

(C)法研

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