【最終回】落ち着いてきた父 自分でブレザーを着て出かけ…「事件簿」もう増えないで!

「先生、やっぱり家の周りをよく歩いたほうが、健康にはいいんですよね」父が、数か月に1度通っている神経内科の医師に言った。正論だが、私にしてみれば「何を言い出すの。やめて!」であった。なぜなら、父は、昨年7月、家の近…
コラム
「先生、やっぱり家の周りをよく歩いたほうが、健康にはいいんですよね」父が、数か月に1度通っている神経内科の医師に言った。正論だが、私にしてみれば「何を言い出すの。やめて!」であった。なぜなら、父は、昨年7月、家の近…
「危ないから運転はもうやめて。誰か、ましてや、ちっちゃな子供をひいたら、どうするの?」「運転は、やめないといったらやめない。自分のことは自分が一番わかっているから、ほっといてくれ」2017年12月、82歳で父が…
「金属をはずしたら、奥歯が粉々だよ。夜、寝てる時に、食いしばりすぎだね」と、医師があきれたように言う。ずっと奥歯でかむと痛かったので、ゴールデンウィーク前に病院に行ったら、何十年も前に神経を取って治療し、今は表面がぺ…
「お父さんの臀部(でんぶ)や腕に赤いぶつぶつが出てるのよ。すごくかゆいみたいだから、病院に行ったほうがいいと思う」通所している看護小規模多機能型居宅介護事業所のケアマネさんから、ある日、電話があった。しょうがない…
「いいかげんに手を放して!糖尿病なんだからあきらめて」そう父に言いながら、アメの袋を引っ張る手にますます力を入れたが、父の力もさらに強まり、袋は双方の間の空中で止まったままだ。踏ん張りながら、胸に悲しさと怒りがわい…
「お父さんが意識を失いました」「お父さんが看護師を殴ってしまいました」父が形成外科でおでこの皮膚移植手術 (前回コラム参照)を受けた後、毎日のように入院先の病院から電話がかかってきたり、看護師さんから注意があった…
小泉八雲の「貉(むじな)」という怪談に、夕方、のっぺらぼうの女に出会ってしまった商人が、驚いて逃げ込んだ蕎麦(そば)屋の主人に、その話をしたところ、「こんな顔でしたかい?」と振り返ったその主人の顔も、のっぺらぼ…
「うるさい、俺はどこもおかしくなんかない。自分のことは自分が一番わかっている」いきなり父が怒鳴った。それは、あきらかに認知症の症状が出ているのに、車の運転をやめない父に、「病院で認知症かどうか見てもらおう」と促した時…
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