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病院の実力

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病名・テーマ 災害医療
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該当病院356か所

災害拠点、受水槽容量に差

 地震や台風などで被災した重症者の受け入れや搬送を行い、地域の医療機関を支援するのが災害拠点病院だ。2019年4月1日現在、742病院が都道府県から指定されているが、病院間で備えに差があるのが実情だ。読売新聞は19年…

 地震や台風などで被災した重症者の受け入れや搬送を行い、地域の医療機関を支援するのが災害拠点病院だ。2019年4月1日現在、742病院が都道府県から指定されているが、病院間で備えに差があるのが実情だ。

 読売新聞は19年12月~20年2月、全ての災害拠点病院を対象に、19年11月時点の災害時の備えについてアンケートした。

 災害時に連携・協力が不可欠な地元の市町村などと、役割分担や運用方法を定めた計画や話し合いがあるかどうかを尋ねたところ、回答した病院の8割以上が「ある」「計画中」などと、地元との関係強化に動いていた。

 災害拠点病院の指定要件は、診療を継続するために必要な建物の耐震性、発電設備、水の確保をはじめ、業務継続計画(BCP)の策定、災害派遣医療チーム(DMAT)の派遣体制など、分野別に細かく定められている。

 近年は大型台風や豪雨などの気象災害が多発。停電や断水などで診療が困難になり、搬送避難を行うケースも出ている。ハザードマップの浸水域に病院がある場合、浸水時に入院患者を院外に円滑に避難させる体制が必要になる。

 今回、浸水域に立地していると回答した病院に「搬送避難計画」の有無を尋ねたところ、8割強の病院が「ある」または「計画中」と回答した。

 診療の機能を維持するため、水や電気の確保が災害拠点病院には欠かせない。

 アンケートによると、大半の病院に受水槽はあったが、確保している水の日数はばらつきがみられた。国は、井戸水や優先的な給水協定も含めて、最低3日分の水の確保を求めている。

 電気については、通常の6割程度をまかなえる自家発電機と、3日分程度の備蓄燃料の確保が指定要件になっている。アンケート時点で、自家発電機は85%、燃料は88%の病院が要件を満たしていた。

 発電が制限される事態を想定し、人工透析など命に関わる患者の対応など、診療の優先順位を決めておくことが重要だ。こうした時の運用方法を定めている病院は53%だった。

 自由回答欄からは「有事の際に活動できる医師や看護師が参集できない恐れがある」「備蓄スペース、維持費用に限りがある」などの課題も浮かび上がった。

 国立病院機構本部でDMAT事務局長を務める医師の小井土雄一さんは、「災害時に自力で避難できない高齢者など、『災害弱者』を地域でどうやって守っていくかが重要だ。災害拠点病院と地元の市町村などが日頃から顔の見える関係を築き上げておくことで、連携・協力の質はより高まっていく」と話している。(久保晶子)


「災害拠点病院」データの見方(2019年11月時点)

災害拠点病院の指定要件などに関する整備状況を中心にまとめた。

基幹災害拠点病院:各都道府県に原則1か所設置。都道府県下の地域災害拠点病院の機能を強化するための訓練・研修機能を持つ。◇は該当病院。

施設の構造:診療機能の維持に関わる部分の施設の耐震構造。

浸水域の立地:ハザードマップの浸水域に立地している病院。●は該当病院。

浸水時の「搬送避難計画」:浸水時に入院患者らを避難させるための「搬送避難計画」の策定状況。

非常用発電やボイラーなどの設備の設置場所(上階への設置):浸水想定よりも上の階に発電設備を設置することで電源の稼働を確保する。一部の設備のみの場合も含む。

広域避難計画:災害時に病院の機能が失われる事態に備え、他の医療機関や行政などと連携し、患者の移動も考慮した広域避難計画の策定状況。

ヘリコプターの発着場所:ヘリコプターで傷病者や医療物資をピストン輸送する。主に被災地と被災地外の災害拠点病院間を結ぶ。原則として発着場所が病院敷地内にあることが求められる。

食料備蓄日数、医薬品備蓄日数、飲料水備蓄日数:いずれも3日分程度の備蓄が求められる。

受水槽の容量(3日分):診療機能を維持する水を少なくとも3日分確保することが求められる。3日分の容量の受水槽を保有、または、停電時にも使用可能な井戸設備などを整備することが望ましい。自治体と優先的な給水協定などを締結している場合も含む。

自家発電機の保有状況、発電量(通常診療時に対する割合)、燃料備蓄日数:通常時の6割程度の発電容量のある自家発電機を保有し、3日分程度の備蓄燃料を確保することが求められる。

発電量が制限された際に、どの診療行為に優先的に使用するかといった運用方法:人工呼吸器や人工透析など、電気や水がないと生命維持が行えない患者、緊急手術などへの対応について、運用方法を定めていることが重要となる。

ベッド数、災害時の簡易ベッド数の備蓄数:ベッド数は通常時。災害時に入院患者は通常時の2倍、外来患者は5倍の受け入れを想定したスペースの確保および簡易ベッドの備蓄をしておくことが望ましい。ソファ、処置台などでの対応を想定している場合もある。

高機能の情報通信機器:衛星電話、衛星回線インターネットが利用できる環境の整備が求められる。また、複数の通信手段を保有することが望ましい。

自治体などとの連携・協力体制の話し合い:災害時に備えて、地域の医療機関や介護施設、市町村、地域包括支援センターなどと、地域連携、役割分担や運用方法などについて日頃から話し合い、計画を立てておくことが今後さらに必要となる。

つづきを読む

災害拠点病院

病院名
都道府県
市区町村
施設の構造
「浸水域」に立地している=●
浸水時の「搬送避難計画」
非常用発電機、ボイラー設備(上の階に設置しているか)一部設置含む
広域避難計画
ヘリコプター発着場所
食料備蓄日数(日)
医薬品備蓄日数(日)
飲料水備蓄日数(日)
受水槽の容量(日分)
自家発電機の保有
通常診療時に対する発電量の割合(割)
備蓄燃料(日分)
災害時の優先使用運用方法(〇=定めている、X=定めていない)
ベッド数(床)
災害時の簡易ベッドの備蓄数(床)
高機能の情報通信機器
自治体等との連携・協力体制の話し合い
札幌医科大学附属病院 北海道 札幌市中央区 ①耐震構造 ①計画あり 設置していない ①計画あり 3 5 3 1 6 3 932 110 ③今後、話し合いを行う予定
JA北海道厚生連 帯広厚生病院 北海道 帯広市 ②免震構造 ③なし 3 3 1 1 14 5 651 50 ②計画中

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