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がん治療や費用 情報提供

 相談支援センター無料で専門的ながん医療を提供するために国が指定した「がん診療連携拠点病院」には、がん患者や家族らの相談に無料で応じる「がん相談支援センター」が設置されている。読売新聞は2023年4月~5月、がん診療…

相談支援センター 無料で

がん治療や費用 情報提供

 専門的ながん医療を提供するために国が指定した「がん診療連携拠点病院」には、がん患者や家族らの相談に無料で応じる「がん相談支援センター」が設置されている。

 読売新聞は2023年4月~5月、がん診療連携拠点病院456施設に、2021年に同センターが行った相談支援の実績を尋ねた。

 がん患者や家族は、治療中も仕事を続けられるか、治療後に妊娠できるかといった課題に直面する。調査では、件数が多い相談内容を最大三つ選んでもらった。「医療費・生活費・社会保障制度」と回答した施設は110にのぼり、「不安・精神的苦痛」109施設、「がんの治療」108施設と続いた。

 新型コロナの影響などで、「在宅医療」と回答した施設は37%(97施設)にのぼった。19年に行った調査では30%(73施設)だった。帝京大学病院腫瘍内科病院教授の渡辺清高さんは、「入院が難しくなり、面会制限も厳しい状況が続いたため、在宅で療養したいと考える人が増えたのではないか」と分析する。

 センターは「ネットで調べた治療法や支援制度が正しいか、わからない」「気分の落ち込みを受け止めてくれる人がいない」などと悩む人が、いつでも利用できることを目指している。調査では、相談者の77%が自施設の患者・家族で、他施設の患者や家族、職員などが計23%を占めていた。

 患者や家族が交流できる患者サロンや患者会が闘病生活の支えになるケースもある。センターで紹介が受けられることも多い。

 静岡社会健康医学大学院大学教授の高山智子さんは、「患者や家族の間で、希望する治療などの考え方が異なることもある。お互いを大切に思うからこそ悩みも深い。相談員に話すことで見えてくることもあります」とセンターの利用を呼びかけている。(久保晶子)

〈がん相談支援センター〉

 専門研修を受けた看護師や社会福祉士、精神保健福祉士などの相談員を最低2人配置し、治療や療養、経済的な負担などの相談に応じる。2023年4月に適用されたがん診療連携拠点病院の新整備指針では、初診から治療開始までに、患者や家族が一度はセンターを訪問できるよう、病院全体で取り組むことを求めている。


データの見方

新規相談件数(件):2021年1月~12月にがん相談支援センターで対応した新規相談件数。合計件数の他、内訳として、「自施設の患者、家族」「自施設以外の患者、家族、地域住民など」「他の医療機関の職員」を示した。

2021年に対応した主な相談内容(上位三つ): がん相談支援センターによる「相談記入シート」を参考とした次の28分類から、2021年1月~12月に相談件数の多かった三つを選択してもらった。
1.がんの治療、2.がんの検査、3.症状・副作用・後遺症、4.妊孕にんよう 性・生殖機能、5.アピアランス(外見)、 6.セカンドオピニオン、7.治療実績、8.臨床試験・先進医療、 9.受診方法、10.転院、11.医療機関の紹介、12.がん予防・検診、13.在宅医療、14.ホスピス・緩和ケア、15.食事・服薬・入浴・運動・外出など、16.介護・看護・養育、17.社会生活(就労・仕事・学業)、18.医療費・生活費・社会保障制度、19.補完・代替医療、20.生きがい・価値観、21.不安・精神的苦痛、22.告知、23.医療者との関係・コミュニケーション、24.患者―家族間の関係・コミュニケーション、25.友人・知人・職場との関係・コミュニケーション、26.患者会・家族会(ピア情報)、27.不明、28.その他

相談支援センターの体制 職員数(人):2023年4月現在における相談支援センターの職員数。常勤、非常勤それぞれを示した。

相談支援センターの体制 職種(人):「社会福祉士」「精神保健福祉士」は医療ソーシャルワーカーとして、「看護師」は医療職として、専門分野を生かしながら様々な相談を受け、信頼できる情報提供や支援を行う。センターには、国立がん研究センターのがん対策情報センターが定めた相談員研修を修了した者で、業務に従事する時間が8割以上の「専従」、5割以上の「専任」を1人ずつ配置する必要がある。「その他」は5割未満。それぞれの人数を示した。 ※1人が複数の職種を兼ねるケースもあるので、職員の合計数とは必ずしも合致しない。

フィードバック体制の構築状況:がん相談支援センターの業務内容を病院や地域で共有し、検討できるフィードバック体制の状況を尋ねた。体制を整備することで相談支援の質の向上に活用するだけでなく、各都道府県の地域内の他施設にも広く共有されることが求められている。A.センターの現場レベルのみで構築されている、B.病院で共有、検討されるレベルに構築、C.地域内で共有、検討されるレベルまで構築、D.患者や家族に相談センターの役割や業務が一部理解されず、フィードバック体制の構築が現場レベルでも難しい部分がある――から選択してもらった。

患者サロンの開催件数(件):2021年1月~12月に開催した、がん患者サロンの開催件数。院内にサロンを常設し、患者や家族が自由に利用できる病院もある。

連携協力しているがん患者団体の数:2023年4月現在、患者団体が活動する上で、会合場所や情報の提供、合同で勉強会を開催するなど、何らかの連携協力をしている団体の数を挙げてもらった。患者や家族から、その患者団体について問い合わせがあった際に、具体的な紹介ができる団体を対象としている。

院内外の患者団体、患者サロンとの合同の活動や連携:2023年度に予定している活動や連携で、あてはまるものをすべて挙げてもらった。

1.院内での患者・家族との交流会など(直接面談)
2.院内外の患者・家族との交流会など(オンライン併用含む)
3.医療情報を患者・家族にわかりやすく伝える講演会や意見交換会(オンライン併用含む)
4.ミニコンサートなどの心身の安らぎの場の提供など
5.経済的な相談、就労相談などの橋渡し役になるといった活動
6.その他

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がん相談支援センター

病院名
都道府県
市区町村
新規相談件数合計(件)
相談件数/自施設の患者、家族(件)
相談件数/自施設以外の患者、家族、地域住民等(件)
相談件数/他の医療機関の職員(件)
2021年に対応した主な相談内容(上位3つ)
職員数(常勤)(人)
職員数(非常勤)(人)
職種:社会福祉士/専従(人)
職種:社会福祉士/専任(人)
職種:社会福祉士/その他(人)
職種:精神保健福祉士/専従(人)
職種:精神保健福祉士/専任(人)
職種:精神保健福祉士/その他(人)
職種:看護師/専従(人)
職種:看護師/専任(人)
職種:看護師/その他(人)
フィードバック体制の構築状況
患者サロンの開催件数(件)
連携協力している患者団体数(23年4月現在)
院内外の患者団体、患者サロンとの活動連携(23年度予定)
北海道大学病院 北海道 札幌市北区 1711 1391 303 17 11.医療機関の紹介、14.ホスピス・緩和ケア、21.不安・精神的苦痛 2 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 2 4 1.院内での交流会など(直接面談)、3.医療情報をわかりやすく伝える講演会や意見交換会(オンライン併用含む)、5.経済的な相談、就労相談などの橋渡し役になる活動
手稲渓仁会病院 北海道 札幌市手稲区 1470 1441 28 1 10.転院、13.在宅医療、18.医療費・生活費・社会保障制度 16 0 1 1 10 0 0 0 0 0 3 5 3 1.院内での交流会など(直接面談)、2.院内外の交流会など(オンライン併用含む)、3.医療情報をわかりやすく伝える講演会や意見交換会(オンライン併用含む)、5.経済的な相談、就労相談などの橋渡し役になる活動

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