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該当病院549か所

睡眠障害 空気送り気道確保

 放置のリスク心不全や高血圧終夜睡眠ポリグラフィーの精密検査の様子。実際の検査時は照明を暗くする=秋田大提供睡眠障害は睡眠に問題が出る病気の総称で、不眠症や閉塞(へいそく)性睡眠時無呼吸症候群など、約70種類の…

放置のリスク 心不全や高血圧

睡眠障害 空気送り気道確保
睡眠障害 空気送り気道確保

終夜睡眠ポリグラフィーの精密検査の様子。実際の検査時は照明を暗くする=秋田大提供

 睡眠障害は睡眠に問題が出る病気の総称で、不眠症や 閉塞へいそく 性睡眠時無呼吸症候群など、約70種類の疾患に分かれている。

 読売新聞は2023年5~6月、日本睡眠学会が認定する専門医と歯科専門医が所属先として登録した505施設に、2022年の診療実績を尋ねた。

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に口や鼻と肺をつなぐ気道がふさがる疾患で、夜間の激しいいびきや一時的に呼吸が止まる症状が特徴だ。日中に強い眠気や疲労感を伴うため、居眠り運転による交通事故や、仕事や勉強の効率低下が起きる恐れがある。

 診断は「終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)」で行う。まずは自宅で行う簡易検査で、酸素飽和度などを測る。無呼吸や低呼吸の回数が多い場合は、医療機関に1泊入院して脳波や睡眠の深さを計測する精密検査を行うことが一般的だ。睡眠中に大声を出したり、手足を振り回したりする「レム睡眠行動障害」の診断にも用いる。

 主な治療法は、軽症の場合は「マウスピース治療」、中等症以上では「CPAP(シーパップ)治療」だ。マウスピースは睡眠中に歯に装着する。下あごを少し前に出すことで、舌が気道を塞ぐことを防ぐ。歯型に合わせて製作するため、歯科クリニックで行われることが多い。CPAPは、鼻に装着したマスクから空気を送り込んで気道を確保する治療法で、国内で約60万人が受けている。

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、中等度以上の症状は国内で900万人以上とする推計もあるが、治療していないケースも多い。秋田大精神科教授の三島和夫さんは「患者の5割以上が心不全、3割以上が高血圧、2割以上が糖尿病を併発する。放置するとリスクは高まる。生活習慣病の持病があって夜中のいびきがある人は、受診を検討してください」と呼びかけている。

 夜間に十分な睡眠をとっても日中に強い眠気が出る「過眠症」の診断は、「反復睡眠潜時検査(MSLT)」で行う。日中の眠気の強さを調べるため、医療機関の照明を暗くした部屋で患者が寝付くまでの時間を4~5回測定する。

 代表的な過眠症「ナルコレプシー」の患者は日本人の0・16~0・18%で不眠症などと比べると少ない。そのため、検査技師などの態勢を整えている医療機関が限られることが課題だ。今回の調査でも、回答した医療機関の約半分で、MSLTの実績がなかった。

 日本睡眠学会理事長で久留米大学長の内村直尚さんは「成人の20~30%に不眠症状があるとみられている。睡眠は不足すると高血圧や認知症などのリスクを高め、長すぎると質が落ちる。睡眠中の症状を自覚することは難しいので、家族などから指摘を受けている方は、専門医を訪ねてください」と話している。(草竹敦紀)


データの見方

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者数(人):睡眠中に気道がふさがる病気で、夜間の激しいいびきや一時的に呼吸が止まる症状が特徴。2022年の新規患者数(実人数)。

過眠症の患者数(人):夜間に十分な睡眠をとっているが、日中に強い眠気が出る病気。2022年の新規患者数(実人数)。

むずむず脚症候群の患者数(人):主に夜中に、足や腹部などに強い不快感を覚える病気。患者によって、「虫がはうようにむずむずする」「ちりちりとほてる」「何かが泡立つ」など症状の感じ方は様々。2022年の新規患者数(実人数)。

終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)の簡易検査(件):自宅などで、患者の睡眠中の呼吸の状況や、血液中の酸素飽和度などを測定する検査。睡眠時無呼吸症候群が疑われる際に行う。2022年の実施件数。

終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)の精密検査(件):医療機関に一泊して、眠っている間の脳波や睡眠の深さなどを調べる検査。簡易検査で無呼吸や低呼吸の回数が多い患者などに行われる。2022年の実施件数。

反復睡眠潜時検査(MSLT)(件): 日中に、医療機関の静かな暗い部屋で、眠りに入るまでの時間を測る検査。過眠症を診断するために行われる。2022年の実施件数。

CPAP治療(人):閉塞性睡眠時無呼吸症候群の中等症以上の患者を対象にした治療法で、鼻から気道に空気を送り込んで行う。2022年の実施件数。

マウスピース治療(人):閉塞性睡眠時無呼吸症候群の軽症の患者に対して行う。歯にマウスピースを装着し、下あごを少し前に出すことで、舌が気道を塞ぐことを防ぐ。2022年の実施件数。

日本睡眠学会が認定する専門医(常勤)(人):2023年5月1日時点

日本睡眠学会が認定する歯科専門医(常勤)(人):2023年5月1日時点

日本睡眠学会が認定する検査技師(常勤)(人):2023年5月1日時点

診療体制について。睡眠障害を担当する診療科:2023年5月1日時点で、睡眠障害を担当する診療科をすべてあげてもらった。

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睡眠障害

病院名
都道府県
市区町村
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者数(人)
過眠症の患者数(人)
むずむず脚症候群の患者数(人)
終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)の簡易検査(件)
終夜睡眠ポリグラフィー検査(PSG)の精密検査(件)
反復睡眠潜時検査(MSLT)(件)
CPAP治療(人)
マウスピース治療(人)
日本睡眠学会が認定する専門医(常勤)(人)
日本睡眠学会が認定する歯科専門医(常勤)(人)
日本睡眠学会が認定する検査技師(常勤)(人)
診療体制について。睡眠障害を担当する診療科
札幌東徳洲会病院 北海道 札幌市東区 128 0 0 168 113 0 437 45 1 0 0 循環器内科、歯科
札幌花園病院 北海道 札幌市中央区 104 67 41 34 134 31 78 15 2 0 0 精神科

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