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下肢静脈瘤 もこもこ膨らむ足の静脈

 DPC病院調査足の静脈がもこもこと膨らみ、足のだるさや痛みなどを感じることもある「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」について慶友会つくば血管センター所長(茨城県守谷市)の岩井武尚さんにお話を聞きました。――下…

DPC病院調査

 足の静脈がもこもこと膨らみ、足のだるさや痛みなどを感じることもある「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」について慶友会つくば血管センター所長(茨城県守谷市)の岩井武尚さんにお話を聞きました。

 ――下肢静脈瘤とは、どんな病気ですか。

 まず、足の静脈の仕組みを説明します。足の血液を心臓に運ぶ静脈には、皮膚表面に近い部分に存在する「表在静脈」と、深い部分に存在する「深部静脈」があります。また、両者をつなぐ穿通枝(せんつうし。または交通枝)もあります。静脈血の9割ほどは深部静脈を通っています。1本しか静脈がないと、詰まった場合に血液が運べなくなりますので、特に下腿の深部静脈は、1本の動脈に2本ずつ存在するのです。

 人間は立っている時、足は体の下にあるので、重力に逆らって血液をくみ上げなければなりません。これを可能にしているのが、足の筋肉によるポンプ機能と静脈弁です。

 足を動かすと筋肉により深部静脈が圧迫され血液が上に押し上げられます。逆に筋肉が緩むと深部静脈は広がり、表在静脈の血液などを吸い込みます。上がった血液が逆流しないように、静脈には所々に弁があります。弁が壊れたり、働きが悪くなったりすると血液が逆流し、静脈が蛇行するようにもこもこと膨らんでしまいます。これが下肢静脈瘤です。不思議なことに、深部静脈の弁が壊れることは少なく、壊れるのは表在静脈です。

 命にかかわる病気ではありませんが、美容上、大きな障害となります。他人の目が気になって、スカートをはけない、温泉に入れない、などの不都合が生じることもあります。

 ――患者数や症状は?

 年齢が高くなるほど患者数は増え、全国に1000万人いるとの推定もあります。ただし、40歳未満の若い患者さんもいらっしゃいます。女性患者が多く、男性の1・2~2・8倍と言われます。病気になりやすいのは、(1)料理人や理髪店員、お店のレジ担当者など立ち仕事をする人(2)妊娠中の女性などです。骨盤内の腫瘍や生まれつきの血管異常などによって二次的に発病することもあります。

 我々の研究仲間が切除した静脈瘤を調べたところ、歯茎の病気の原因となる歯周病菌が見つかりました。歯周病は最近、狭心症などの虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症、脳卒中などと関係があることが分かってきました。静脈瘤の発病も歯周病が背景にあるのかも知れません。また、肺炎を起こす肺炎クラミジア菌が血管からも見つかっており、関連性が疑われています。

 症状としては、もちろん、静脈がうねるように、もこもこと膨らむことがありますが、それ以外に、足のだるさ、かゆみ、むくみ、疲れやすさなどを感じることがあります。また、静脈瘤に伴った合併症として、足の内側のくるぶし付近が黒く沈着したり、湿疹が現れたりすることもあります。最新型の超音波装置によって、破壊された静脈弁がチェックできるので、診断がつきます。

 ――どのように治療するのですか。

 症状が比較的軽い場合、「弾性ストッキング」を履くことで症状の進行を抑えます。静脈瘤ができた表在静脈の血流量を減らすことが目的です。ただし、下肢静脈瘤の治療としては保険が効きません。また、(1)長時間立っていることを避ける、(2)寝る時は、20センチほどの高さのマットの上に足の乗せる、(3)ウオーキングなどでふくらはぎの筋肉を鍛える…などのセルフケアも大切です。

 症状が進んだ場合、3種類の治療法があります。それは、(1)ストリッピング手術、(2)フォーム硬化療法(単に硬化療法とも)、(3)レーザー治療です。順に説明したいと思います。

 「ストリッピング手術」は、3つの治療法の中で最も古くから行われており、実績豊かな治療法と言えます。昔は全身麻酔で行うことが多かったのですが、今は手術する足の部位に局所麻酔するだけです。その上で、もこもことした静脈瘤ができた部分の上下2か所に小さな切開を入れます。片方から特殊な針金のような器具(ストリッパー)を入れて、もう一方の出口まで通します。この器具を使って静脈を引き抜きます。前にお話した通り、静脈瘤ができた表在静脈を抜き取っても、深部静脈があるので問題ありません。

 手術時間は1時間ほど。手術を終われば患者さんは歩いて病室に戻れます。治療は医療保険がききます。最近は日帰り手術を行う医療機関が多くなってきましたが、できれば1~2日入院してもらった方が安心です。手術の効果を翌日確かめたいし、痛みや出血があることもあるので、私たちは、最低1泊はしていただくことが多いですね。

 この治療法のメリットは、大きな静脈瘤でも確実に治療することができることです。

 フォーム硬化療法のフォームとは「泡」のこと。界面活性剤と呼ばれる液体などを泡立てて、それを患部に注射で注入します。すると静脈内面が痛めつけられて静脈の内部がくっつき、静脈瘤もつぶれてしまいます。治療は20分ほどで終わります。麻酔は不要です。治療後、静脈がつぶれたままにするために足を包帯でぐるぐる巻きにします。そのまま帰宅または1泊してから帰宅してもらい、1週間後に治療効果をチェックします。治療は保険がききます。

 この治療は、静脈瘤がくねくねと曲がっていたり、瘤が小さかったりする場合などに最適です。ほかの治療法に比べ再発しやすい欠点があります。「再発を繰り返しても良いから、手術は嫌だ」という高齢者にも良いですね。また、つぶした皮膚部分が黒くなる色素沈着が起きやすく、瘤が大きいと痛みが出ることがあります。

 2011年に保険適用になったのが「レーザー治療」です。局所麻酔のもと、静脈内にレーザーファイバーという細い医療器具を入れ、先端からレーザーを血管内壁に向けて照射。少しずつ引き抜きながら患部全体にレーザーを照射し、血管を閉塞させます。治療時間は1時間ほどで済みます。

 最近は日帰りで治療する医療機関が増えています。比較的手軽に受けられるのがメリットです。出血斑や痛みが出ることもあるので1泊してもらう医療機関もあります。

 治療効果も高いです。ただし、まだ歴史の浅い治療ですので長期成績は明らかではありません。くねくねと曲がっていたり、血管が太すぎる静脈には十分にレーザーをあてることが難しく、この治療法は不向きです。

 ――治療を受ける場合、どのように医療機関を選べば良いでしょうか。

 現在、レーザー治療に注目が集まっており、国内の治療法選択の内訳は、レーザー治療が8割ほどを占めていると思われます。続いて、ストリッピング手術、硬化療法の順ではないでしょうか。

 ただ、患者さんの生活スタイル、年齢などによって、最適な治療法は異なると思います。比較的若く、確実に治したいならストリッピング手術。体への負担が少ない治療を受けたい人ならレーザー治療や硬化療法、という感じに。ですから、3つの治療とも実施することができる医療機関を選んだ方が良いのではないでしょうか。現在、静脈瘤の治療を行っている診療科は血管外科、形成外科、皮膚科の一部です。

 3つの治療とも命の危険があるような治療ではありませんが、それぞれ、医師に技術が求められます。例えば、ストリッピング手術では、血管が曲がっていてカテーテルが挿入しにくい場合でも、腕がよい血管外科医なら挿入することができます。やはり治療実績が豊かな医療機関で治療を受けるのをお勧めします。

 日本脈管学会は、脈管(血管やリンパ管)の治療について豊富な技術と知識を持った医師を「脈管専門医」と認定し、専門医名を所属医療機関名とともにホームページで掲載している。
 ★アドレスは
http://www.jc-angiology.org/japanese/special/namelist.html

 日本血管外科学会、日本脈管学会、日本静脈学会の3学会が合同で、脈管の病気の治療にかかわる専門的なコメディカルを「血管診療技師」と認定している。認定を受けたコメディカルは、臨床検査技師、看護師、診療放射線技師ら。全国に約500人いる。彼らが在籍する医療機関名をホームページで見ることができる。
 ★アドレスは
http://plaza.umin.ac.jp/~cvt/cvt_list2011.html


表の見方

 入院医療費の一部を定額化して計算する方式「DPC(診断群分類包括評価)」を採用している病院が対象。大学病院や公立病院など、国内の主要な病院が含まれている。治療・手術件数は、日帰り・通院での治療は含まれず、入院での実績のみ。対象期間は2010年7月~2011年3月の9か月間。「国・」は独立行政法人国立病院機構の略。「-」は10件未満。


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下肢静脈瘤

病院名
都道府県
市区町村
下肢静脈瘤などの手術件数
手術なしの治療件数
札幌徳洲会病院 北海道 札幌市厚別区 79 -
新札幌循環器病院 北海道 札幌市厚別区 71 -

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