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病名・テーマ 静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
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肺塞栓 急性と慢性で異なる治療法

 DPC病院調査肺血栓塞栓症(肺塞栓症)について藤田保健衛生大学心臓血管外科教授の安藤太三(あんどう・もとみ)さんに解説していただきました。◇――肺塞栓症とは、どんな病気ですか。心臓から肺に血液を送る肺動脈に…

DPC病院調査

 肺血栓塞栓症(肺塞栓症)について藤田保健衛生大学心臓血管外科教授の安藤太三(あんどう・もとみ)さんに解説していただきました。

 ――肺塞栓症とは、どんな病気ですか。

 心臓から肺に血液を送る肺動脈に血栓(血液の塊)が詰まり、突然死の危険性がある病気のことです。「肺血栓塞栓症」と言います。

 東日本大震災など大災害後に、車の中などで寝泊まりしていた人が「エコノミークラス症候群」になった、などのニュースを聞いたことがあると思います。飛行機内などで長時間同じ姿勢を取り続けることで、足の静脈に血栓ができて、それが肺動脈に流れていき、肺塞栓症を起こすことがあります。飛行機のエコノミークラスだけでなく、ビジネスクラスでも起き、「ロングフライト症候群」、正確には「深部静脈血栓症」と言います。

 肺血栓塞栓症は、このような深部静脈血栓症の合併症として起きることが多いことから、肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症の2つを1つの連続した病態であると考えて「静脈血栓塞栓症(VTE)」と総称することがあります。

 ――肺血栓塞栓症の患者は増えているのですか。

 この病気は2つに大別されます。(1)急激に肺動脈が閉塞する「急性肺血栓塞栓症」(発症2週間以内)(2)血栓が肺動脈にくっつき、6か月以上にわたって慢性的に閉塞する「慢性肺血栓塞栓症」です。

 まずは、急性肺血栓塞栓症について解説します。

 少しデータが古いのですが、2006年の年間患者数は7864人で、過去10年間で2・25倍に増加しました。女性の患者が男性より多く、60歳代から70歳代で発病するケースが多いですね。

 日本のデータによると死亡率は14%、急激に心臓の働きが悪化する心原性ショックを起こした場合は30%に達する怖い病気です。

 一方、慢性肺血栓塞栓症は、急性肺血栓塞栓症になった患者が慢性化するケースもありますが、原因不明なものが多いです。薬による治療は効果が薄く限界があります。この病気は「特発性慢性肺血栓塞栓症(肺高血圧型)」として、治療費の公的補助がある難病に指定されています。患者数は現在、800人~1000人ほどとされます。女性患者が男性の3倍弱で、40歳代以上の方が多いです。

 ――症状と原因、診断方法は?

 急性肺血栓塞栓症は、起立したり、排便や排尿を終わったりした後などに、急激に胸痛、呼吸困難を感じることが多いです。

 この病気の3大要因は、(1)血流の停滞(2)血管内皮障害(血管の内側に傷がつくなど)(3)血液凝固能亢進(こうしん)(血液が固まりやすくなること)です。「血流の停滞」は長期にベッドで寝ていること、肥満、妊娠など、「血管内皮障害」は様々な手術、外傷や骨折、カテーテル検査・治療など、「血液凝固能亢進」はがん、妊娠、脱水などが、それぞれ引き起こしますので、注意が必要です。

 診断は、肺動脈の造影検査、CT(コンピューター断層撮影)検査、血液検査などをもとに行われます。

 慢性肺血栓塞栓症の患者は、体を動かすと息切れすることが多いです。このほか、胸痛、乾いたせき、失神なども現れます。発病の要因としては、何らかの血液凝固異常などが影響していることがあります。肺のエックス線検査、心電図、心エコー検査、カテーテルを使った肺動脈圧検査などによって診断します。

 ――治療法を教えて下さい。

 急性肺血栓塞栓症の発症直後は、1分1秒を争う対応が求められます。ただし、急性期を乗り切れば、予後(治療後の経過・見通し)は良好ですので、早期診断・早期治療が最も大切になります。

 治療はまず、血液を固まりにくくする抗凝固薬(未分画ヘパリンなど)の点滴投与を行います。血栓を溶かすt-PAなどを静脈投与することもあります。血栓が存在する肺動脈までカテーテルを挿入し、血栓を物理的に砕いたり、血栓を溶かす薬をピンポイントに投与したりすることもあります。

 重症例では、薬による効果が期待できません。人工心肺装置をつけて肺動脈を切開し、直視下に血栓を取り除く外科的治療が行われます。

 慢性肺血栓塞栓症では、血栓をできにくくするワルファリンを一生飲み続けることになります。右側の心臓の働きが悪い右心不全と呼吸不全が進行してくるので、安静と水分摂取の制限、利尿薬などの服用が行われます。閉塞している肺動脈を拡張させる薬(ベラプロスト、ボセンタンなど)の投与も行われますが、多く患者では効果が期待できません。太い肺動脈が器質化した血栓によって狭窄や閉塞した状態が見られることから、人工心肺を使って古い血栓を肺動脈内膜とともに摘出する外科治療が最近では積極的に行われます。

 ――肺血栓塞栓の主因となる「深部静脈血栓症」とは、どんなものですか。

 手足の静脈には、皮膚表面に近い「表在静脈」と、奥深くにある「深部静脈」がありますが、深部静脈に血栓ができる病気のことです。この血栓が流れて心臓に向かい、肺塞栓を起こすことがあります。

 2006年の肺塞栓症研究会の調査では患者数は年間1万4674例と推定されました。過去10年で約30倍に増加したことになります。病気が起きる場所は、足と骨盤内の静脈が中心です。病気の要因としては、加齢、長時間の座位、旅行、脱水、足の骨折などの外傷、手術などが挙げられます。

 診断は、足のエコー検査、造影CT検査、血液検査などによって行われます。治療は、未分画ヘパリンやワルファリンによる抗凝固療法が行われます。足を圧迫して血栓をできにくくする弾性ストッキングの着用も効果的です。手術中の発病を防ぐために、薬の投与、特殊なマッサージ器で足底部を反復的に圧迫する「間欠的空気圧迫法」などが行われることがあります。

 日常生活において予防するには、(1)十分な水分補給(2)飛行機内などでは血栓ができないように足をマッサージすること(3)定期的な運動(4)肥満にならないこと・・・などが大切です。

 ――治療を受ける病院選びで大切なことは?

 安静にした状況から立ち上がったり、排便や排尿をしたりした後、急な呼吸困難や胸痛などの症状が現れた場合、肺塞栓症を疑い、すぐに医師の診察を受けてほしいと思います。

 急性期・急性肺血栓塞栓症では、病院を選んでいる余裕はないかもしれませんが、心臓血管外科の専門医、循環器内科の専門医がいる病院を受診した方がいいと思います。肺血栓塞栓症は、薬、カテーテル、手術など様々な治療法が考えられるので、経験豊かな内科医・外科医がいると安心できます。

 慢性期・慢性肺血栓塞栓症は、治療が難しく専門的な知識が求められます。基本的には、心臓カテーテル検査や心臓手術を行っている病院を選んでください。インターネットなどで慢性肺血栓塞栓症の専門医を探して受診するのも良いと思います。


肺塞栓症・表の見方

 入院医療費の一部を定額化して計算する方式「DPC(診断群分類包括評価)」を採用している病院が対象。大学病院や公立病院など、国内の主要な病院が含まれている。治療・手術件数は、日帰り・通院での治療は含まれず、入院での実績のみ。対象期間は2010年7月~2011年3月の9か月間。「国・」は独立行政法人国立病院機構の略。「-」は10件未満。

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肺塞栓

病院名
都道府県
市区町村
手術なしの治療件数
手術件数
KKR札幌医療センター 北海道 札幌市豊平区 11 -
東北大学病院 宮城県 仙台市青葉区 12 -

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