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睡眠時無呼吸症候群 減量を心がけることが大事

 DPC病院調査愛知医大病院睡眠科部長(医学部教授)の塩見利明(しおみ・としあき)さんに、睡眠時無呼吸症候群(SAS=サス)について聞きました。――どんな病気ですか。睡眠に伴って、鼻からのどまでの空気の通り道で…

DPC病院調査

 愛知医大病院睡眠科部長(医学部教授)の塩見利明(しおみ・としあき)さんに、睡眠時無呼吸症候群(SAS=サス)について聞きました。

 ――どんな病気ですか。

 睡眠に伴って、鼻からのどまでの空気の通り道である「上気道」周囲の筋肉がゆるんで舌が垂れ下がるなどして、上気道がふさがり、呼吸ができなくなる病気です。原因の多くが、肥満によって首周りに脂肪がつき、上気道が狭くなってしまうことです。肥満は、糖尿病、高血圧症、脂質異常症(高脂血症)、心臓病、脳卒中と関係が深いので、これらの病気の患者さんが、SASを合併していることが多くあります。我々の研究では、SASの約26%が2型糖尿病でした。また、内臓に脂肪がたまるメタボリック・シンドロームを合併している人も多いです。

 肥満のほか、小児では鼻の奥の方にあるリンパ組織のアデノイド増殖または口蓋扁桃(こうがいへんとう)肥大、成人では花粉症などアレルギーによる鼻づまりなどが原因となることもあります。

 日本人では、下あごの発育が悪くて小さい人は気道が狭いことが多く、この病気になりやすいです。最近の若者は、あごも含めて顔全体が小さい「小顔」の人が多くなっており、また、高カロリーのスナック菓子を食べて肥満の人も多いので、今後、SAS患者は増えていくと思います。

 また、アルコールを飲んで寝ると、のどがふさがり、病気を発病することもあります。

 重いSASを放置すると、心臓病や脳卒中で亡くなる割合が高くなるとの調査結果もあり、軽視できない病気なのです。

症状は? 日中の過度の眠気、起床時の頭痛と疲労感、いびき、夜間頻尿

 ――症状と検査方法を教えて下さい。

 症状は、(1)日中の過度の眠気(2)朝起きた時の頭痛と疲労感(3)いびきがあります。深い睡眠が取れないため、日中にあらがいがたい眠気に襲われます。頭痛は、就寝中、脳に酸素不足になっていることで起こります。いびきは、大きな音でかいていたと思ったら、突然止まり、その間は、呼吸は止まっています。しばらくすると、「グワー」と大きな音を発して、目を覚ますということを繰り返します。

 見逃してはいけないのが、「夜間頻尿」です。就寝中、排尿のために起きることを指します。無呼吸が利尿ホルモンの分泌を促すことが知られています。我々の調査では、SAS患者の28%が夜間頻尿でした。中高年は前立腺肥大などが原因で夜間頻尿になりがちですが、それにまぎれて、SASが見逃されることがあります。

 病気の診断基準は、上気道がふさがり、呼吸が10秒以上とまる状態(無呼吸)が、1時間に5回以上起きる状態を言います。一般的に無呼吸の回数が5~15回程度が軽症、15~30回程度が中等症、30回以上が重症です。60回以上を最重症とすることもあります。

 医療機関に1泊してもらい、「睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を受けて、SASかどうか、調べます。この検査は、脳波、眼周囲の筋電図、心電図、呼吸の状態、血液中の酸素レベルなどを睡眠中に調べ、コンピューターで解析するものです。最近は、自宅で睡眠中の呼吸や血液中の酸素レベルなどを測定できる簡易検査器が登場し、比較的手軽に調べることができるようになりました。しかし、詳しい病状を調べるためには、やはり、1泊検査が必要となります。

 ――患者は増えているのですか。

 アメリカの調査では、30~60歳の男性の4%、同じ女性の2%が、この病気の患者でした。高齢になるほど患者は増える傾向にあり、60歳以上だと20%以上になると言われます。名古屋市周辺の調査では、男性が3・3%、女性が0・5%でした。患者は中高年男性に多く、女性は閉経後に増えます。

 いびきをかく人の20%ほどが、この病気の患者と言われます。症状の軽い人も含め全国に200万人いるとの推定がありますが、もっと、多いと思われます。

 居眠り運転をしていた電車やトラック、車の運転手が、この病気だと分かる事態が次々と明らかになり、注目を集めることになりました。車の運転手を対象として過去5年間に居眠り運転事故を起こした人の割合を調べた我々の調査結果によりますと、健康人の6・4%に比べ、SAS患者は11・1%と高く、最重症のSAS患者の場合は16・1%にもなりました。

治療法は? マスク付き送付医療機器で気道広げる

 ――治療法を教えて下さい。

 重症の患者さんは、睡眠中に、マスク付きの送風医療機器「シーパップ(CPAP)」をつける治療法があります。これは、圧力を加えた空気を鼻から送り込み、気道を広げることで呼吸ができるようにするものです。効果は個人差がありますが、装着翌朝に、頭がすっきりして、日中の眠気と夜間頻尿が解消される人がいます。シーパップを装着すると、心臓病などによる死亡率が健常人と変わらなくなったとの調査結果もあります。

 保険が効き、月5000円ほどで治療ができます。患者の呼吸状況を感知して送風圧力を変えたり、のどが乾燥しないように加湿したりする新しい機器も登場しました。ただ、マスクをつけながら眠ることの違和感から、すぐに治療をやめてしまう人がいます。慣れるまで1週間ほどかかることもありますので、少し、気長に取り組んでみてください。

 軽症や中等症の場合、口にボクシングのマウスピースのようなものを装着して眠る治療法があります。下あごが5~6ミリ前に出た状態で固定されることで、気道が確保され、呼吸ができるようになります。

 一部の患者さんには、手術が行われることがあります。手術には、のどの閉塞の原因となる口蓋垂(のどちんこ)や扁桃などを切り取る「軟口蓋咽頭形成術」、扁桃だけを摘出する手術、鼻の粘膜をレーザーなどのよって焼いて鼻づまりを治す治療などがあります。

 ――愛知医大病院は、SASをどのように診療していますか。

 SASの診断・治療は、症状が多様なため、様々な専門領域の知識が必要となります。例えば、いびきは耳鼻科、無呼吸は呼吸器内科、眠気は精神科、肥満や糖尿病は内分泌内科などです。SAS患者で、うつ病を患う人が多いことが分かってきており、精神科や心療内科の医師の力が必要になることもあります。

 そこで、愛知医大は2008年、「睡眠科」を院内に掲げ、各診療科の医師が連携しながら総合的かつ専門的な診療を行っています。「睡眠科」の院内掲示は、日本で初めてのことです。検査のためのベッドが5床あります。2010年1年間におけるSAS入院患者数は438人で、全国トップレベルです。

 SASに限らず睡眠障害は、先ほどお話した通り、様々な知識が必要となるので、診療実績が豊富な医療機関で受診する方が安心です。日本睡眠学会が、睡眠障害の広い知識がある医師、医療機関などを認定し、ホームページで公表していますので、病院選びの参考にしていただけたらと思います。

 ――日常生活の注意点はありますか。

 患者本人は寝ているので、異常ないびきなどSASの症状を本人が気づかないことが多いので、家族が気づいてあげて、睡眠障害の知識が豊富な医療機関に連れて行ってあげてください。

 病気の原因は、何と言っても、肥満が多いので、減量を心がけることが大切です。小顔でSASになる危険が高い若者たちは、あまり、高カロリーのスナック菓子を食べ過ぎず、肥満にならないように注意してほしいですね。

日本睡眠学会
睡眠障害の知識がある医師、歯科医、検査技師、医療機関を認定している。その一覧は、ホームページ(http://jssr.jp/)を参照。

 

睡眠時無呼吸症候群・表の見方

 入院医療費の一部を定額化して計算する方式「DPC(診断群分類包括評価)」を採用している急性期病院の一般病床が対象。大学病院や公立病院など、国内の主要な病院が含まれている。治療・手術件数は、日帰り・通院での治療は含まれず、入院での実績のみ。対象期間は2009年7月~12月の半年間。「国・」は独立行政法人国立病院機構の略。「-」は10件未満。

 手術件数は、のどの閉塞の原因となる口蓋垂(のどちんこ)や扁桃などを切り取ったり、扁桃だけを摘出したり、あごの骨の一部を削ったりして、睡眠時無呼吸症候群の症状を改善させる手術などが含まれる。

 

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睡眠時無呼吸症候群

病院名
都道府県
手術なしの治療件数
手術件数
KKR札幌医療センター 北海道 196 -
JA北海道厚生連 札幌厚生病院 北海道 50 -

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