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病名・テーマ パーキンソン病
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パーキンソン病 治療経験豊富な施設で診療を

 DPC病院調査順天堂大脳神経内科教授の服部信孝さんに、パーキンソン病について聞きました。――パーキンソン病とは、どのような病気ですか。脳内で、神経細胞から神経細胞へと情報を伝える神経伝達物質である「ドパミン…

DPC病院調査

 順天堂大脳神経内科教授の服部信孝さんに、パーキンソン病について聞きました。

 ―― パーキンソン病とは、どのような病気ですか。

 脳内で、神経細胞から神経細胞へと情報を伝える神経伝達物質である「ドパミン」が減少していく病気です。ドパミンは、脳幹の一部である中脳の黒質と呼ばれる組織で作られ、運動機能の調節に関する情報のやりとりで大きな役割を担っています。そのため、パーキンソン病になると、様々な運動障害が現れます。

 ドパミンが減少する原因は、脳内に発生した活性酸素がドパミンを放出する細胞を傷つけているのではないか、と考えられています。そのほか、遺伝、細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアが傷害を受ける説、農薬や麻薬など環境毒が原因とする説などがありますが、明確には分かっていません。

 一方、野菜や果物を食べたり、コーヒーやお茶を飲んだり、たばこを吸ったりしていると病気になる率が下がるとの研究結果があります。

パーキンソン病の4大症状

 ―― どのような症状が現れますか。

 「パーキンソン病の4大症状」というものがあります。それは、<1>振戦(安静時に手や足などが規則正しく小刻みに震える)<2>筋固縮(筋肉や関節が固くなって動きが悪くなる)<3>無動(動作や発語が遅くなる)<4>姿勢反射障害(体のバランスが悪くなり、転倒しやすい)です。

 近年、ドパミンだけでなく、うつ症状と関係があるセロトニン、認知症と関係があるアセチルコリン、やる気や意欲にかかわるノルアドレナリンという神経伝達物質も減少していることが分かってきました。そのため、うつ症状、認知症状、意欲減退などの症状が現れやすいです。また、寝付けない、何度も目が覚めるなどの睡眠障害が起きることもあります。

 ―― 患者さんは増えているのですか

 患者さんは年々増えており、現在、15万人ほどいると推定され、男女、同じくらいです。多くが50~60歳以上になって発病しています。高齢者人口の増加が患者増につながっていると見られます。また、診断技術の進歩により、見逃されていた患者の診断がつくようになったことも、影響しています。

 ―― 診断方法を教えて下さい。

 まず、先ほど説明した「パーキンソン病の4大症状」があるかどうか、を問診でチェックします。この問診が、最も大切です。

 その上で、<1>片側の手や足から発病しているか<2>症状は徐々に進行しているか<3>頭部のCT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)検査で異常がない<4>パーキンソン病治療薬の「L-ドーパ」を使うと明らかに効果がある・・・と、パーキンソン病と診断されます。

 「MIBG心筋シンチグラフィー」という検査を行うこともあります。パーキンソン病では、メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)という物質が心臓の筋肉(心筋)に取り込まれにくくなるので、放射性物質を使い、心筋におけるMIBGの集積具合を調べます。日帰りで検査が行われます。

病気の重症度で5分類・・・Ⅲ度以上は「特定疾患」、医療費を公費補助

 ―― 治療は、どのように行うのですか。

 病気の重症度によって、軽い方から重い方にⅠ度~Ⅴ度に5分類(ヤールの重症度分類)されます。日常生活が介助なしで送ることができる場合、経過観察することが多いのですが、最近の考え方として早期治療の介入が推奨されつつあります。しかしながら、まだ十分なエビデンスがないので日常生活に支障が出始めたら、薬物療法を検討します。

 重症度がⅢ度以上になると、「特定疾患」として認められ、医療費の公費補助が受けられます。早期における治療の基本薬は、「L-ドーパ」と「ドパミンアゴニスト(ドパミン受容体作動薬)」の2薬です。

 L-ドーパは、脳内で不足するドパミンを補充する薬です。非常に有効性が高い薬ですが、病気を治すことはできません。また、長期間、服用していると<1>薬の効いている時間が短くなる「ウェアリング・オフ(すり切れ)現象」<2>体が勝手にくねくね動いたりする「ジスキネジア」が起きます。

 また、薬が効いている状態と効かない状態が突然起きる「オン・オフ現象」が見られることがあります。

 一方、ドパミンアゴニストは、神経細胞でドパミンを受け取る受容体を刺激して、ドパミン同様の効果を示します。ただし、L-ドーパほどの効果はありません。

 ―― 患者の年齢、症状によって治療法は異なるのですか。

 70歳未満で、認知障害が見られない患者さんは、ドパミンアゴニストで治療を始めるのが一般的です。比較的若い患者さんほど、ジスキネジアが起きやすいからです。しかし、最近発表された日本神経学会ガイドラインでは、仕事の内容など特別な事情がある場合はL-ドーパから開始して良いとの指針を示しています。

 一方、70歳以上の高齢者、または、年齢にかかわらず認知障害が見られる場合は、ドパミンアゴニストによって幻覚、妄想、錯乱などの精神症状が起きやすいので、L―ドーパにより治療を始めるのが良いとされます。高齢者は、L―ドーパによるジスキネジアの発現割合が若い人ほど多くないことも理由です。

 どちらの薬から始めても、効き目が悪くなってきた場合、もう一つの薬を併用して治療効果の改善を目指します。

 基本の2薬を長期的に使い、薬の効いている時間が短くなる「ウェアリング・オフ現象」が現れた進行期の場合は、薬の投与回数を増やしたり、量を増やしたりします。それでも、効果が薄い場合は、治療補助薬と位置づけられる薬を併用します。治療補助薬には、ドパミンの働きを増強する「MAO-B(マオビー)阻害薬」(セレギリン)や「COMT(コムト)阻害薬」(エンタカポン)などがあります。

 また、抗てんかん薬として認められていたゾニサミドが2009年にパーキンソン病にも使えるようになりました。特に振戦に対する効果が高いとされます。

 また、睡眠障害が現れたら睡眠薬を、うつ状態なら抗うつ薬などを使うことがあります。筋肉や関節が固くなったり、歩幅が狭く転びそうになったりする時は、リハビリを行うと改善することがあります。

薬物療法が困難なら、外科治療

 ―― 薬物療法が効きにくくなったり、薬の副作用が強くて薬物療法が困難になったりした場合は外科的治療が行われるのですね。

 はい。主に行われるのが「脳深部刺激療法」です。これは、頭の骨に穴を開けて、細い電極を脳の刺激したい部位に差し込み、胸に埋めた心臓ペースメーカーのような装置からの指示を受けて電気刺激を与える治療です。パーキンソン病と関連が深い視床下核と呼ばれる部位に電極を置く手法では、L-ドーパの薬量を半減できる効果があるとされます。10~12日ほど入院して治療するのが一般的で、医療保険で治療ができます。

 ただし、全員に効果がある訳ではありません。

 ―― 患者は、この病気に、どのように向き合えば良いのでしょうか。

 パーキンソン病発病後、15年目までの死亡率は一般健康人と変わらないというデータがあります。患者さんは悲観することなく、前向きに生きてほしいと思います。

 この病気では、薬効のない物質でも、効果がありそうな暗示にかけられると、治療効果が現れる「プラセボ効果」があることが知られています。楽しみや気持ちの張りを持って趣味や仕事を続けると、状態は良くなります。家に引きこもらないようにしましょう。

 パーキンソン病は、複雑な病気ですから、治療経験が豊富な病院で診てもらうのが重要です。日本神経学会のホームページには、専門医一覧が掲載されていますが、必ずしもパーキンソン病に詳しい訳ではありません。各医療機関のホームページを参考にするのも良いかも知れません。

 また、患者団体として、「全国パーキンソン病友の会」(http://www.jpda-net.org/)があります。相談してみてはいかがでしょうか。


パーキンソン病・表の見方

 入院医療費の一部を定額化して計算する方式「DPC(診断群分類包括評価)」を採用している急性期病院の一般病床が対象。大学病院や公立病院など、国内の主要な病院が含まれている。治療・手術件数は、日帰り・通院での治療は含まれず、入院での実績のみ。対象期間は2009年7月~12月の半年間。「国・」は独立行政法人国立病院機構の略。「-」は10件未満。

 手術なしの入院治療件数は、症状が悪化し、薬の量や種類を変えたりするために入院治療が必要になった件数。

 手術は、主に脳深部刺激療法装置を植え込む件数。パーキンソン病の症状に関わる神経細胞を働かないように破壊する手術方法もあるが、患者の負担が大きく、現在は、あまり行われていないという。

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パーキンソン病

病院名
都道府県
市区町村
手術なしの治療件数
脳刺激装置植え込みなど手術件数
国立病院機構 旭川医療センター 北海道 旭川市 73 -
市立札幌病院 北海道 札幌市中央区 58 -

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