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乳がん 同時再建手術の方法確認を…予防切除「強く推奨」 学会が指針

 乳がんは、女性が最も多くかかるがんだ。2019年に新たに乳がんと診断される人は9万2200人と予測されている。一方、乳がんで亡くなる人は1万5100人と推計され、女性では大腸や肺などに続いて5番目に多い。乳がんは早期に…

 乳がんは、女性が最も多くかかるがんだ。2019年に新たに乳がんと診断される人は9万2200人と予測されている。一方、乳がんで亡くなる人は1万5100人と推計され、女性では大腸や肺などに続いて5番目に多い。乳がんは早期に発見し、適切な治療を受ければ、命を落とさずに済むことが多いがんとも言える。

 読売新聞は19年7~8月、がん診療連携拠点病院や関連学会認定施設など1499の医療機関に、18年の治療実績や検査体制をアンケート調査した。

 手術には、乳房切除術(全摘)と、しこりと周囲の組織を切除する温存手術がある。温存手術は、手術後に、放射線治療を行うのが基本だ。

 失った乳房を人工乳房を使って再建する手術が保険適用になった13年以降、全摘手術と同時に再建手術を選ぶ患者も増えていた。

 だが、19年7月、人工乳房を入れた後に起こる血液がん(リンパ腫)で世界的に死亡例が出ていることから、国内でも人工乳房が自主回収され、人工乳房を使った再建手術がストップした。その後、新しい人工乳房が承認された。新製品の発症リスクは低いとされるが、再建手術を受ける場合は、自分の組織を使った方法(自家再建)との違いなど説明を受けて選ぼう。

 がん細胞を詳しく調べ、再発リスクを予測する検査は、通常の病理診断結果では、抗がん剤が必要かどうかを決めきれない場合などに役立つ。保険が適用されず、自費で約40万円かかる。

 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)は、BRCA1、2という遺伝子に変異がある。乳がん患者全体の約5%を占める。若年での発症や、家族・血縁者に乳がんや卵巣がんになった人が多い場合は、遺伝子検査を検討することになる。

 日本乳がん学会は18年に改訂した診療指針で、乳がんを発症したHBOC女性が、反対側の乳房を切除する手術について、発症予防だけでなく、死亡リスクも下がるとして、強く推奨した。遺伝子検査に対応できる医療機関は増えており、早期診断が可能になってきた。検査は、治療薬「リムパーザ」(一般名・オラパリブ)を使えるかどうかを調べる目的以外は自費で、約10万~20万円程度かかる。

 検査結果が家族らに関係する場合もあり、患者の精神的な負担は大きい。遺伝子検査や治療の内容、周囲への対応などについて、説明や相談を通じて患者を支援する遺伝カウンセリングが大切だ。

 治療の選択肢が広がる乳がんだが、鏡で乳房の変形や左右の違いを見たり、指で触ってしこりがないか確認したりするなど、普段から自分でチェックすることも重要だ。

 昭和大乳腺外科教授の中村清吾さんは「まずは主治医とよく相談し、自分のがんの状況と、適した治療を理解することが大切。納得のいく治療を受けるために、セカンドオピニオン(別の医師の意見)の利用も役立つ」としている。(中島久美子、安藤奈々)


【データの見方】(2018年の治療実績)

乳がん手術:主に乳房全摘手術と温存手術に分けられる。一般的に、しこりが3センチ以下で多発していなければ、温存手術が検討される。

同時再建手術:乳がんの手術と同時に、新たに乳房を作り直す手術。自身のおなかや背中の皮膚や脂肪を移植する方法と、人工乳房を使った方法がある。

センチネルリンパ節生検:わきの下のリンパ節転移を診るため、がん細胞が最初に転移するセンチネルリンパ節を摘出して調べる検査。

術前化学療法:乳がんの摘出手術の前に、抗がん剤を投与する治療法。しこりが比較的大きめでも、術前の抗がん剤投与で縮小させた後、温存手術が可能な場合もある。

再発リスク遺伝子検査:乳がんの細胞の遺伝子を詳細に分析して、再発リスクや薬の効果を調べる検査。「オンコタイプDX」「マンマプリント」「キュアベスト」などがある。実施している施設は、より専門性が高い傾向がある。

セカンドオピニオン受診:治療を納得した形で行うため、最初に受診した医師に加え、別の医師にも診断や治療方針を尋ねること。治療実績が高い医療機関で、件数が多い傾向がある。

放射線治療:主に乳房温存手術後、乳房に放射線を照射する。摘出した部分の周囲に残っているかもしれない微少ながん細胞を放射線で死滅させる。

形成外科医の協力:乳房再建手術を希望する場合は、再建手術を手がける形成外科医がいる、もしくは連携できる形成外科医のいる施設を選ぶことも検討する。

乳腺専門医:日本乳癌学会が認定する専門医。乳がん診療の専門性の高さを示す指標となる。

遺伝カウンセリング体制:20〜30歳代など若年での発症や、家族・親族に乳がん・卵巣がんなどが多発している場合は、遺伝性乳がん・卵巣がんの可能性を検討することになる。詳細な検査を受ける場合、結果によっては他の親族にも影響するため、検査後の対応も踏まえ、遺伝に詳しい医師やカウンセラーの説明を受けることが欠かせない。

遺伝性乳がんの遺伝子検査:遺伝性乳がんなどが疑われる時、BRCA1、2という遺伝子に変異がないかを調べる検査。

発症前の乳房の予防切除:BRCA1、2の遺伝子に変異があった場合、乳がんを発症する確率が高くなるため、乳がんを発症していない人に対し、予防的に乳房切除を行う手術。

発症前の卵管・卵巣の予防切除:BRCA1、2の遺伝子に変異があれば、卵巣がんを発症する確率も高まるため、予防的に卵管や卵巣の切除を行う手術。

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乳がん

病院名
都道府県
市区町村
乳がん手術件数
うち同時再建手術件数
センチネルリンパ節生検件数
術前化学療法 件数
再発リスク遺伝子検査(行っている場合は〇)
検査の種類(オンコタイプDX=A、マンマプリント=B、キュアベスト=C。その他=D)
セカンドオピニオンのみの受診件数
放射線治療が受けられる-自施設で可能
放射線治療が受けられる-他施設で可能
形成外科医の協力が得られる
乳腺専門医が常勤している
遺伝カウンセリング体制を院内に整備
BRCA1、2などの遺伝子検査
発症前の両側乳房の予防切除
両側乳房の予防切除の実施件数(2018年末まで)
片側の乳房にがんが見つかった場合、未発症のもう片側の乳房切除
片側乳房の予防切除の実施件数(2018年末まで)
発症前の卵管・卵巣の予防切除
両卵管・卵巣の予防切除の実施件数(2018年末まで)
国立病院機構 北海道がんセンター 北海道 札幌市白石区 371 46 281 89 A:オンコタイプDX 43 A:行える 0 A:行える 4 A:行える 2
札幌乳腺外科クリニック 北海道 札幌市中央区 362 73 280 19 A:オンコタイプDX、D:その他 61 B:行えない B:行えない B:行えない

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