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子宮頸がんの「HPVワクチン」 接種機会を逃した人の救済措置はいつまで?…2013年6月~22年3月は積極的な推奨を中止
Q 子宮 頸 がんってどんな病気なの?
ヨミドック 子宮の入り口にできるがんです。主に、性交渉でヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因です。日本では年間約1万人がかかり、3000人が亡くなります。患者数は20歳代後半から急増し、ピークは40歳代。30歳代までに治療で不妊になる人が1000人います。
Q 予防する方法は?
ヨ ワクチンがあり、2013年4月、小学6年~高校1年の女子を対象に全額公費助成での定期接種が始まりました。しかし、接種後の重い体調不良が注目され、国は2か月後に積極的な接種勧奨を中止しました。
接種率は、勧奨中止前は7割以上でしたが、中止後に対象となった世代は、長く数%程度でした。22年4月に積極的な接種勧奨が再開され、接種率は改善しつつあります。
Q 対象年齢で接種を逃した人は、自費になるの?
ヨ いいえ。現在27歳までの女性は、救済措置として今年度までの接種は無料です。
Q え、今年度まで?

ヨ 数種あるワクチンはいずれも、間隔をあけて2~3回接種するため、今年9月までに初回を済ませないと間に合いません。自費だと1回2万~3万円で、多くの場合、計10万円前後かかります。
Q 何歳で打つのがいい?
ヨ 16歳頃までの接種が最も効果が高いとされますが、上の年齢でも有効性があるとの国内外の研究があります。
男性が接種した場合、肛門がんや中咽頭がんに対する予防効果もあります。費用を補助する自治体もありますよ。
Q 体調不良が不安だな。
ヨ 欧米での大規模調査では、慢性的な疲労や自己免疫疾患などが要因で、接種との関連はないとされています。国内でも、接種歴がなくても原因不明の痛みや運動障害を訴える人は一定数いるとの報告があります。勧奨再開後、接種後に入院相当の重篤な症状と判断されたのは1万人あたり3~5人です。
Q じゃ、安全なんだね。
ヨ どんな薬も絶対に安全とは言えません。しかし、30歳までにワクチン接種をした人としなかった人計167万人を比べて、子宮頸がんの発症リスクが6割以上低くなったとするスウェーデンの論文があります。効果と安全性を合わせて検討することが大切です。(小山内裕貴/取材協力=上田豊・大阪大産婦人科講師、厚生労働省予防接種課)
ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。
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