メディカルトリビューン
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たった5項目でオーラルフレイルをチェック 医科・歯科の3学会が合同ステートメント発表
日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会は4月1日に記者会見を開き、オーラルフレイルの概念および定義を明確化した「オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント」を発表した。ステートメントには5項目でオーラルフレイルをチェックできる「Oral frailty 5-item Checklist(OF-5)」が盛り込まれ、非専門職でもオーラルフレイルが簡便に評価できるという。
ポピュレーションアプローチにつなげる狙い

オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント作成ワーキンググループメンバー(左から東京大学高齢社会総合研究機構特任助教の田中友規氏、飯島勝矢氏、荒井秀典氏、日本老年歯科医学会理事長の水口俊介氏、日本老年医学会理事長の神﨑恒一氏、平野浩彦氏、上田貴之氏)
今回のステートメント作成に当たり、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会は、オーラルフレイルに関する3学会合同ステートメント作成ワーキンググループ(WG)を設置。オーラルフレイルの概念を「口腔機能の健常な状態(健口)と、口腔機能低下との間にある状態」とし、「歯の喪失や食べる、話すといった口腔機能の軽微な衰えが重複して、口腔機能低下の危険性が増加しているが、改善も可能な状態」と定義した。
ステートメント作成の狙いとして、一般市民や非歯科専門職の医療者などにより分かりやすく理解してもらい、ポピュレーションアプローチにつなげる点がある。
日常の診療でもOF-5活用を
会見では、オーラルフレイルのセルフチェックができるOF-5の説明も行われた。〈1〉残存歯(インプラントは除く)が19本以下、〈2〉半年前と比べて硬いものが食べにくくなった、〈3〉お茶や汁物などでむせることがある、〈4〉口の渇きが気になる、〈5〉普段の会話で言葉をはっきりと発音できないことがある―のうち、2項目以上該当する場合は「オーラルフレイル」と判定される( 図 )。
図.一般市民向けオーラルフレイル概念図(上)および専門職向けオーラルフレイル概念図とOF-5(下)
(記者会見資料より)
WGメンバーで東京都健康長寿医療センター歯科口腔外科部長の平野浩彦氏は、OF-5による評価の妥当性について、「OF-5でオーラルフレイルと判定された場合に、将来の要介護および死亡のリスクが高く、社会的孤立や身体的フレイルにも関連することが示された」と説明。
口腔機能が社会的・身体的機能にも影響することから、WGメンバーで東京大学高齢社会総合研究機構機構長の飯島勝矢氏と日本サルコペニア・フレイル学会代表理事の荒井秀典氏は「医科での日常診療や薬剤師による服薬指導などでもOF-5を活用してほしい」と呼びかけた。WGメンバーで東京歯科大学老年歯科補綴学講座教授の上田貴之氏も、これまでオーラルフレイルは歯科が診るものと認識されてきた点を指摘し、非歯科専門職を含めた産学官連携によりオーラルフレイル予防を推進する重要性を訴えた。(須藤陽子)
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