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不眠症にリラクゼーションは逆効果か RCT 241件のメタ解析

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 米国では、人口の4~22%が慢性不眠症と推定される。有効性と安全性から、不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)が第一選択とされているが、CBT-Iは複数の手法から成るため、どの要素が効果を発揮するかは明らかでない。東京大学病院精神神経科の古川由己氏らはCBT-Iの効果を検討したランダム化比較試験(RCT)241件を対象にシステマチックレビューとコンポーネントネットワークメタ解析(CNMA)を実施。検討の結果、「不眠症に対する睡眠衛生指導の有効性は認められず、リラクゼーションは逆効果である可能性が示唆された」とJAMA Psychiatry( 2024年1月17日オンライン版 )に報告した。

CBT-Iは治療負担の低減、効果の最大化が課題

不眠症にリラクゼーションは逆効果か RCT 241件のメタ解析

(C)Adobe Stock ※画像はイメージです

 CBT-Iは、〈1〉教育的要素(睡眠衛生指導、睡眠日誌)、〈2〉認知的要素〔認知再構成、第三世代認知行動療法(以下、第三世代)、建設的心配〕、〈3〉行動的要素(睡眠制限、刺激統制、逆説的意図、リラクゼーション)などから構成される非薬理学的療法である。しかし、各要素が不眠症症状の寛解にどの程度資するかは明らかでなく、治療負担の低減や効果の最大化を図る上で課題となっている。個々の構成要素を検討したRCTは複数あるが、条件制御が異なるため、RCT間のメタ解析による有効性の評価は困難だった。

 古川氏らはPubMed、PsycInfoなどに2023年7月21日までに収載されたRCTを対象にシステマチックレビューを実施。〈1〉18歳以上の慢性不眠症患者が対象、〈2〉別の治療法群または対照群とCBT-I群を比較-に該当するRCT 241件(3万1,452例、平均年齢45.4±16.6歳、女性67%、治療期間中央値6週間)を抽出した。併用療法については全ての群に等しく割り当てられている場合のみ許容した。主要評価項目は治療後の効果(自己報告式尺度)とした。副次評価項目は睡眠持続性(睡眠効率、総睡眠時間、睡眠潜時、中途覚醒)、長期的寛解、全ての原因による脱落とした。

認知再構成、第三世代、睡眠制限、刺激統制は効果あり

 ランダム効果CNMAの結果、認知再構成〔増分オッズ比(iOR)1.68、95%CI 1.28~2.20〕、第三世代(同1.49、1.10~2.03)、睡眠制限(同1.49、1.04~2.13)、刺激統制(同1.43、1.00~2.05)に寛解との有意な関連が見られた。一方、睡眠衛生指導(同1.01、0.77~1.32)、建設的心配(同0.91、0.55~1.51)との関連は見られなかった。さらに、リラクゼーション(同0.81、0.64~1.02)はむしろ逆効果になる可能性が示唆された。

 治療の提供方法について、〈1〉個別(対面、オンラインを問わない)、〈2〉グループ、〈3〉対面、〈4〉オンライン(セルフケア+治療ガイド)、〈5〉オンライン(電話やメールなどを用いたセルフケア受講の促しのみ)、〈6〉オンライン(自動リマインダーによるセルフケア受講の促しのみ)-を比較した。その結果、セラピストによる対面提供(iOR 1.83、95%CI 1.19~2.81)が最も有益だった。

 睡眠持続性についての解析では、認知再構成、第三世代、対面提供は主に睡眠の質の向上に有効であった。睡眠制限は睡眠の質、睡眠効率、中途覚醒に効果が見られた。刺激統制は睡眠の質、睡眠効率、睡眠潜時に効果が見られた。長期的寛解については、認知再構成で良好な傾向が見られたが(iOR 1.38、95%CI 0.99~1.93)、いずれの要素も有意な関連はなかった。

 以上の結果について、古川氏らは「未知の交絡因子が影響を及ぼしている可能性は否定できない」と断った上で、「成人の慢性不眠症患者に対するCBT-Iでは、認知再構成、第三世代、睡眠制限、刺激統制を対面提供することが有益である半面、リラクゼーションはむしろ有害な可能性が示された」と結論。「今回の知見を踏まえ、効果的かつ効率的なCBT-Iプログラムの開発が期待される」と展望している。(小田周平)

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