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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

地震でブロック塀が倒れ小学4年女子が死亡…あれから対策は進んでいるのか

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 子どもは様々な場所で事故に遭います。キャンプ場や、思いもよらない場所でも事故が起こります。今回は、屋外での子どもの事故についてお話しします。

地震でブロック塀が倒れ小学4年女子が死亡…あれから対策は進んでいるのか

イラスト:高橋まや

キャンプでの一酸化炭素中毒

 最近はキャンプブームですが、テント内での一酸化炭素中毒には気を付ける必要があります。

事例1: 2017年11月。両親と子ども(8歳の男児、6歳の女児)の4人でキャンプ場に2ルームテント(寝室とリビングの二つの部屋を備えたテント)を持参してキャンプをしていた。張り出したタープ(布屋根)の下でバーベキューをして午後7時過ぎに終了。テント内に入ったところ、午後7時半ごろ、子ども2人が頭痛を訴え始め、数分後に意識を失って倒れ込んだ。すぐにテント外に出し、数分後に意識は回復した。医療機関を受診し、血液検査の結果、一酸化炭素中毒と診断され入院。翌日には回復して退院した。調理時にテントの入り口を開放していたため、発生した一酸化炭素がテント内に充満した可能性がある。

事例2: 2005年4月9日午後4時過ぎ。鹿児島市武岡の公園斜面の防空 (ごう) 跡と見られる横穴で、中学2年の男子生徒4人が倒れて死亡しているのが見つかった。壕内で段ボールや木くずを燃やした跡があり、空気が循環しにくい構造で不完全燃焼し、一酸化炭素が発生したとみられる。

 炭素を含む燃料が燃えると、酸素と炭素が反応して二酸化炭素ができます。二酸化炭素には毒性はありません。換気の悪い室内などで、炭素と反応する酸素が不足すると不完全燃焼となり、二酸化炭素になれず、一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は、無味・無臭の気体です。血液中のヘモグロビンとの親和性が酸素に比べて200倍以上強いという特徴があります。このため、酸素と結びついて全身に酸素を運ぶヘモグロビンが、酸素ではなく一酸化炭素と結合してしまい低酸素状態、一酸化炭素中毒となります。

 子どもの一酸化炭素中毒は比較的まれですが、灯油ストーブ、練炭・豆炭こたつ、プロパン湯沸かし器などの不完全燃焼、火災などによって起こります。

 死亡事故が発生していることから、テントやキャンピングカー内でコンロ、オイルランタン、炭を使うグリルなどは絶対に使用しないよう指摘されています。

 一酸化炭素中毒では、自動車の排気口が雪に埋もれた状態で、暖房のためにエンジンをかけるのは危険だということも知っておきましょう。

 大雪が降った翌日、エンジンをかけた自動車内に子どもを置き、保護者が車外で雪かきをしていたところ、雪でふさがれた排気口から排気ガスが車内に逆流し、子どもが一酸化炭素中毒になった事例がありました。(「 車内への乳幼児置き去り…なぜ悲劇は繰り返されるのか 」)

温泉地での意外な事故

 アウトドアでは思いもよらない事故が起こります。

事例3: 2010年6月20日、午前6時45分頃。青森市の 酸ヶ湯(すかゆ) 温泉付近で、タケノコ採りに来ていた中学2年の女子が倒れたと通報があった。救急隊員によって、死亡が確認された。同行していた家族、親類ら3人も頭痛などを訴えた。

 硫化水素は、卵の腐ったようなにおいがする可燃性のガスで、温泉地帯でかいだことのある方も多いのではないでしょうか。実は空気中の濃度が0・15パーセント以上になると死に至るといわれています。風が強ければ空気と混合されてしまうので危険性は低いのですが、風のない状態が続いて、くぼ地などに充満すると事故につながります。冬場で積雪があると、普段とは違う場所にくぼみができて、硫化水素が集まって高濃度になることがあり、特に危険となります。

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yamanaka-tatsuhiro_prof

山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。キッズデザイン賞副審査委員長、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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