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伊藤清世の「あれ?コレ 介護食 plus」

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[能登半島地震]東日本大震災を経験した管理栄養士が本当に必要だと感じた「非常食」…おいしかったキャラメルの思い出

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 こんにちは、在宅訪問管理栄養士の伊藤清世です。

 東日本大震災のとき、私は宮城県の病院に管理栄養士として勤務していました。支援物資のありがたみを感じる反面、現場にそぐわない支援物資も多くあると感じました。

[能登半島地震]東日本大震災を経験した管理栄養士が本当に必要だと感じた「非常食」…おいしかったキャラメルの思い出

 例えばカップ麺。カップ麺を作るのに必要な水がどのくらいか、ご存知でしょうか。少なくても300ml、多いものだと500ml必要です。水が貴重でお湯をわかす熱源もない被災地。しかも、下水道も使えない状態で、残った汁はどこに捨てるのでしょう。全部飲み干すことで健康状態にも関わる場合があります。

 平時に頭の中でイメージする非常食と、被災地で実際に必要なものは違うことがあります。

 現在、能登半島地震の被災自治体の多くは、支援物資について、企業、団体、自治体からのまとまった提供のみを受け付けています。仕分けの手間がかかることから個人の提供は受けていません。

 今回は、東日本大震災のときの私の経験から、いざというときのために備えておきたい非常食について、お伝えしたいと思います。

食べ慣れたものや好物を「ローリングストック」

 自宅、会社、病院など、場所によって、備えておくべき非常食は異なりますが、いずれにせよ、発生直後と復旧時期を分けて考えておくことが必要です。

 発生直後については、ライフラインが断絶した状況を想定した備えが必要です。数時間ごとに訪れる余震でいつ避難指示が出るかわからない、避難所も人がひしめき合っている……そんな状態で、大袋の食品をみんなで分け合う余裕はありません。

 個人単位で配れる、開封後すぐに食べられ、開けたキャップをふたたび閉めることができる、持ち歩ける、欲を言えば栄養が豊富である――こんな食品が望ましいでしょう。

 例えば、ペットボトルの飲みものなら2リットルよりも500mlのもの、個包装のお菓子やまんじゅうなど。水分でむせやすい人がいれば、栄養補助ゼリーなどがあると水分補給に役立ちます(商品名を挙げれば、「inゼリー」「カロリーメイトゼリー」などがあります)。

 数週間にわたる復旧の時期には、加熱調理ができる可能性があるため、少しの加工で調理ができるようなもの、体調を整えるためビタミンやミネラルを含んだものなどが良いでしょう。

 冷蔵庫などは使用できない可能性があるので、常温保存できるものの方が安心です。例えば、缶詰やレトルトカレー、ロングライフ牛乳(LL牛乳)やトマトジュース。

 加熱調理ができることを想定すれば、私たちの主食であるコメが最大の非常食です。耐熱性のポリ袋の中に水を加えて、湯煎する「パッククッキング」で、ごはんも炊けますし、おかゆにもできます。そこにレトルトのパスタソースやカレー、親子丼のもとなどがあれば、温かく食べ慣れたものを食べられます。

 鍋が洗える環境であれば、鍋で炊いても良いでしょう。米は紙コップでも計量できます。紙コップですり切り1杯の米と、同量の水を入れれば米飯を炊くことができます。

 発生直後、復旧期のどちらも、食べ慣れたもの、好物や甘いものなど食が進むようなもの、おなかだけでなく心も満たされるようなものを備えておくとよいでしょう。

 普段の食事に利用する食品を備蓄食料として、日常で使った分を買い足し、常に備蓄のある状態にしておくことを「ローリングストック」といいます。今、挙げた食品などを「ローリングストック」で備えておくとよいでしょう。

 東日本大震災のとき、病院にはカセットコンロがあったので、レトルトのおでんを金属の洗面器で湯煎して温め、紙コップに入れて提供したところ、とても喜んでもらえました。

 残ったおでんの汁でアルファ化米(急速乾燥して長期保存できるようにした米。市販されている)を戻し、味付きのご飯にできました。また、魚肉ソーセージはそのままでも温めても提供できましたし、煮ることで軟らかくなるので、幅広い方々に食べてもらうことができました。

 ドラッグストアで売られている栄養補助飲料も非常食として有効です。災害後は、生鮮食品が手に入りにくく、食事内容が糖質に偏り、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足したり、心理的ストレスで食が進まなかったりすることもあります。こうした栄養補助飲料でエネルギーやたんぱく質、ビタミンやミネラルを補うことができます。「エンジョイクリミール」「明治メイバランスMiniカップ」などの商品があります。

 写真は、被災時に備蓄食品で作れて、お年寄りでも食べやすい「サバのトマト煮」です。レシピはこちら。

サバ缶と冷凍ジャガイモのトマト煮

缶詰めのサバ、冷凍フライドポテト、トマトジュースでつくった「サバのトマト煮」

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伊藤清世(いとう きよ)

在宅訪問管理栄養士・介護食アドバイザー
委託給食会社で病院・高齢者施設・保育所等の調理業務、総合病院の管理栄養士を経て、現在は仙台市の「ないとうクリニック複合サービスセンター」で在宅訪問管理栄養士として活動中。また、地域での講演活動を通じ、かむ、のみ込む力が低下した方にも喜ばれる、食べやすくおいしい食事作りを提案している。

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