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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

エスカレーターに引っかかったベビーカーから赤ちゃんが10段下まで落下、入院…育児用品の事故を防ぐには

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 今回は、「抱っこひも」「ベビーカー」「歩行器」と、育児をしている人がよく使用する製品で起こる事故とその予防についてお話しします。

エスカレーターに引っかかったベビーカーから赤ちゃんが10段下まで落下、入院…育児用品の事故を防ぐには

イラスト:高橋まや

抱っこひもから落ちる

 近年は背中でおんぶする人は減り、ほとんどが前抱きになりました。保護者は肩ベルトや腰ベルトで抱っこひもを装着します。

 スリングという製品もあります。幅広の布を保護者がたすき掛けにし、布の柔らかくて、たわんだ部分で子どもを保持するものです。

 抱っこひもからの乳児の転落は多発しており、この連載でも紹介してきました。

 東京都生活文化局が2014年12月に 「抱っこひも等の安全対策」 という報告書をまとめています。4か月未満の赤ちゃんでは、「保護者が前かがみになった」「保護者がつまずいた」時などに事故が起きています。ひもが緩く装着されていて子どもがすり抜けて落ちたり、留め具を調整中に転落したりするケースもあります。

 4か月以上では、おんぶする時に子どもが動いたり、暴れたりして転落する事例が見られます。

 スリングからの転落では、「袋状になっているところに納まらず、転落」「抱っこからスリングに入れようとしたところ、子どもの足が引っかかってうまく入らず、頭より転落」などの事故が起きています。

抱っこひもの安全な使用のためのポイント

 抱っこひもを安全に使用するための8か条をまとめました。

(1)抱っこひもを購入するときは、実際に装着して試してみる。

(2)抱っこひもを使用する前に、動画を見て、取り扱い方法や装着方法を学ぶ。

(3)抱っこひもに子どもを乗せたり、降ろしたりするときは、座ったり、しゃがんだりした低い姿勢で行う。

(4)できる限り、畳や布団の上など、軟らかい床の上で着脱を行う。

(5)着ている服の厚みに合わせて、ひもの緩みがないように毎回調整する。留め具が留まっているか、毎回確認する。

(6)両親で同じ抱っこひもを使用する場合には、サイズの調整を必ず行い、しっかり装着できているか確認する。

(7)前かがみになる時は子どもを手で支え、頭が下向きにならないように、膝を曲げ、腰を落とす。

(8)保護者の体に赤ちゃんの顔を強く押し当てて気道をふさぐことがないように注意し、子どもの顔を時々チェックする。

 抱っこひもは、子育てに必要不可欠な育児用品ですが、製品としてはまだ改善の余地が多いものです。

 2015年2月、メーカーや輸入代理店などによって「抱っこひも安全協議会」が設立されました。1年に1回、事故や「ヒヤリハット事例」を収集し、会員に周知しています。2023年3月から4月に、インターネットで行った調査によると、抱っこひもユーザーの27%、約4人に1人がヒヤリハット経験をしていました。抱っこひも等の使用状況を聞き取り、なぜ転落したのかを検討すれば安全な製品開発に生かすことができると思います。

ベビーカーから落ちる

 ベビーカーは子どもを連れて移動するのに便利な製品ですが、正しく使わないと事故につながるおそれがあります。

事例: 施設で、別の階にエレベーターで移動しようとしたが、目的の階に止まらなかったため、下りエスカレーターを利用した。乗る際に、ベビーカーが引っかかり、シートベルトをしていなかった0歳児が投げ出されて10段下まで転落し、頭蓋内損傷のため入院となった。

 ベビーカーの事故は多発しています。「子どもがベビーカーの座席に立ち上がり、バランスを崩して落下」「子どもを抱き上げようと持ち手から手を離したところ、持ち手にかけていた荷物の重みでベビーカーが倒れ、子どもが後頭部を負傷」「折りたたまれたベビーカーを子どもがつかんでいたのに気づかず保護者が開いたところ、子どもの指がフレームに挟まれた」「階段を降りる時、保護者がベビーカーの前方の手すり部分と、後方の取っ手部分を持って持ち上げると、急にベビーカーが折りたたまれてしまい、座っている赤ちゃんがはさみこまれてけが」などの事故が起こっています。

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。キッズデザイン賞副審査委員長、こども家庭庁教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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