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教えて!ヨミドック

医療・健康・介護のニュース・解説

能登半島地震で長引く避難 低体温症、エコノミークラス症候群、ノロウイルス感染…健康を守るには

   能登半島地震が起きたけど、避難生活では健康の上で何に気をつけたらいいの?

  ヨミドック  寒い中での避難は本当に大変です。体の内部の体温が下がる「低体温症」に注意しましょう。床の冷たさは体温を奪うので、床面に直接寝ないように段ボールを敷くなどの工夫をします。

 同じ姿勢を長く続けると、脚の静脈でできた血の塊が肺の血管に詰まる「エコノミークラス症候群」になる危険性が高まります。足首を含め、脚をこまめに動かすことが予防になります。

   持病で薬が必要な人もいるよね。

   薬を飲み続けることが持病の悪化を防ぎます。薬がなくなる前に、避難所にいる保健師や看護師に相談しましょう。生活の変化で体調が悪くなりそうなら、早めに伝えます。水分を控えるのは体によくないので、しっかり水分補給してください。

   感染症も心配だね。

   新型コロナやインフルエンザなど呼吸器に関わる感染症のほか、この時期はノロウイルス感染をはじめ、感染性胃腸炎も心配です。予防には、マスク、手指消毒剤の使用のほか、トイレで履物を替えること、寝る空間に土足で入らないことも大切。周りで同じ症状の人が増えたら、医師などに相談してください。

   避難生活が長引く時に注意することは?

   生活の中で動く機会が減ると、特に高齢の人は、全身の機能が低下する「生活不活発病」になってしまいます。飲み込む力が弱まると、食べものや唾液が気管に入って「誤嚥ごえん性肺炎」を起こしやすくなります。体を動かすために、避難所で何らかの役割を引き受けるのもいいですね。

   片付けをする時は?

   家や土砂が崩れ、海や川の水、下水が街に流入しました。普段は土の中に潜む破傷風菌は、傷口から感染し、神経に作用します。定期予防接種が始まった1968年より前に生まれた人は、特に注意が必要です。レジオネラ菌は粉じんに混じることがあり、重症肺炎を起こします。

   予防の方法は?

   作業時は傷を作らないように長袖・長ズボン、底の厚い靴や手袋を着用します。粉じんを吸い込まないようマスクもして。体調変化があればすぐに医師に相談し、作業したことも伝えましょう。(余門知里、鈴木希/取材協力=中森知毅・横浜労災病院救命救急センター長、賀来満夫・東北医科薬科大特任教授)

 ヨミドックは読売新聞の医療サイト・ヨミドクターのお医者さんキャラクターです。

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