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[長生きにエール]<1>祖母の認知症をきっかけに介護の道を志した25歳女性 ヘルパーの魅力をどう感じている?・・・介護現場を支える若者たち

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「天職」と言われる 「ゴールはないが挑戦こそがやりがい」 

 自宅で暮らすのが難しくなった後、その人らしい生活を支えているのが介護施設の職員たちだ。

[長生きにエール]<1>高齢者 一番近くで支える 介護現場の20代

 昨年12月のお昼時、千葉県成田市の特別養護老人ホーム「 もり の家なりた」のリビングで、入居者の山下真澄さん(74)が、昼食の準備作業に参加していた。右手足にまひがあるため左手にトングを握り、人数分の小鉢にサラダを少しずつ取り分けていく。傍らで見守る介護福祉士の 古山こやま 弘人さん(26)=写真=は、こぼした時に手を添えるぐらいだ。

 「入居者のできることに着目し、その力を生かせるような関わり方を意識しています。排せつや入浴、食事の介助だけが、介護じゃないんですよね」

[長生きにエール]<1>高齢者 一番近くで支える 介護現場の20代

山下さんを介助する古山弘人さん(奥)(昨年12月20日、千葉県成田市で)=和田康司撮影

 高校の担任教師の勧めで東京都内の福祉系の大学に通った。2019年に「杜の家」を運営する社会福祉法人「福祉楽団」に入った。

 その年の夏、新しく入居してきたパーキンソン病の70歳代女性を担当した。女性は当初、自分で化粧や掃除ができていたが、徐々に体を動かせなくなり、口から食べることも難しくなっていった。女性の言葉に 真摯しんし に耳を傾けていたところ、いろいろな打ち明け話をしてくれるようになり、目の前で何度となく涙を流した。

 カラオケ好きというので部屋で演歌を流したり、毎朝好きな服を選んでもらったり。生活の楽しみを大切にした。いつ頃からか、同僚と協力して女性の「症状日誌」をつけ始めた。起床時や就寝時の様子はどうだったか、何時に体がこわばったか……。詳細を主治医に伝え、薬をきめ細かく調整してもらった。

 女性はやがて症状が重くなり、担当から4年後に亡くなった。古山さんは、振り返る。

 「入居者の話をしっかり聞き、他の職員と協力しながら、どうすればその人の暮らしが良くなるかを考え、実践していく。ゴールはないが、その挑戦こそがやりがいだとわかった」

 昨秋から管理職になり、他の職員も気にかける立場になった。

 「天職じゃん」。仕事のことを楽しそうに話すためか、身近な人にそう言われる。自分ではまだ、本当のところよく分からない。それでも、看護やリハビリの勉強など、やりたいことはたくさんある。

介護職員の平均年齢は50歳 ヘルパー60歳以上が38%

 介護の現場は、高齢化と担い手不足が続いている。

 「介護労働安定センター」の介護労働実態調査(2022年度)によると、介護職員の平均年齢は50歳で、4人に1人が60歳以上だ。

 特に訪問介護を担うヘルパーの高齢化が顕著で、60歳以上が38.1%、70歳以上が13.5%を占める。

 一方、厚生労働省の雇用動向調査で、介護など社会福祉関係の22年の離職者数は、入職者数を上回った。「離職超過」は10年以降では初めてだ。

 介護関係の22年度の有効求人倍率は、施設で働く職員が3.79倍、ヘルパーは15.53倍に上った。高齢のヘルパーが引退し、若手の働き手を確保できずに存続が危ぶまれる事業所も少なくない。

 人が集まりにくい一因として、賃金の低さが指摘される。介護職員の22年の平均給与は月29万3000円(賞与含む)で、全産業平均より7万円近く少ない。

 厚労省によると、高齢者数がほぼピークを迎える40年度には約280万人の介護職員が必要になり、19年度比で約69万人不足する計算だ。(2024年1月8日付の読売新聞朝刊に掲載された記事です)

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